第12回政治山調査「消費税増税に関する意識調査」(1/2)  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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消費税の増税、国民への議論と説明不足か

第12回政治山調査「消費税増税に関する意識調査」(1/2) (2013/9/30 政治山)

関連ワード : 消費税 調査 

 2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げられる予定の消費税について、安倍首相は10月1日に最終判断を行うと表明している。それに先立って、政治山では9月18日(水)から19日(木)にかけて、ネット意識調査「政治山リサーチ」を利用し、全国の20歳以上の男女を対象に、消費税に関する意識調査を実施した。回答者は1,114人。

 その結果、与党・内閣支持層と野党支持層または世帯年収の格差によって、認識に大きな隔たりがあることが判明。消費増税の必要性には一定の理解を得られているものの、消費者への説明や事業者側の取り組みなど、課題は山積していることをうかがわせる結果となった。

[結果分析]2ページ目
[調査概要]意識調査の方法や回答者属性

与党・内閣の支持率は堅調、伸び悩む野党

 調査ではまず、現在の支持政党について聞いた(グラフ1)。自由民主党の23.3%が最も高く、みんなの党5.8%、日本維新の会5.7%と続き、民主党と日本共産党が4.8%で並んだ。ただし、全体の51.3%は支持政党なしと回答しており、半数以上が支持政党を有していない。7月の参議院選挙直後に実施した前回調査「第11回政治山調査」と比べると、自民党の支持率(30.2%)が下がり、支持政党なし(37.3%)が大幅に増加している。2015年4月の統一地方選挙、2016年の夏ごろと言われる衆院選と参院選など、大型選挙がしばらくないという見通しから、政党への関心が全体的に低下していることがうかがえる。

 これを世帯年収ごとに見ると、600万円以上の世帯では自民党の支持率が高く、600万円未満の世帯では自民党の支持率は下がりみんなの党への支持がやや上昇するものの、特定の野党が浸透・拡大しているとは言えないだろう。また、世帯年収が200万円未満の場合、支持政党なしが6割を超えており、政治への関心の低さが際立つ結果となった。

グラフ1 世帯収入と支持政党

賛否は分かれるものの、一定のコンセンサスは形成

inv12_graph2a 次に消費税の増税に対する賛否と(グラフ2A)、妥当と考える消費税率について聞いた。賛成34.3%、反対34.8%と賛否は分かれたが、同時に聞いた妥当と考える消費税率については、賛成と答えた人の平均値が13.2%、反対と答えた人の平均値が7.92%となり、消費増税そのものに対しては一定のコンセンサスが形成されていると言える。

賛成と答えた人が、妥当と考える税率の平均値=13.2%
反対と答えた人が、妥当と考える税率の平均値=7.9%

inv12_graph2b これを世帯年収ごとに見ると(グラフ2B)、年収の高低と消費増税への賛意が相関関係にあることが分かる。特に年収が400万円未満の場合は反対が4割を超えており、家計に与える影響の深刻さをうかがうことができる。また、年収1,200万円以上の高所得者層になると、どちらでもない、わからないといったあいまいな回答が大幅に減る傾向が顕著となっている。

 さらに内閣支持率とあわせて見ると(グラフ2C)、内閣支持層の消費増税への賛成56.8%に対して支持しない層の賛成は18.5%、内閣支持層の消費増税への反対19.3%に対して支持しない層の反対は62.3%と、両者に大きな隔たりがあることが分かった。

inv12_graph2c 内閣支持率だけを見ると、安倍内閣を支持するという回答は39.5%、支持しないという回答は25.2%、どちらでもないという回答は35.3%となった。支持率は約40%程度であり、2020年東京オリンピックの招致成功やアベノミクスによる景気浮上は好意的に受け止められているものの、政権への支持は盤石と言える状況ではなさそうだ。

~自由記述回答より抜粋~
安倍内閣を支持する理由
・経済政策が順調に上向いているから
・景気がよくなっているから
・外交や防衛に力をいれているから
・拉致問題を解決できそうだから
・民主党がダメにした日本を立て直してくれそうだから

安倍内閣を支持しない理由
・経済効果を全く感じないから
・原発を再稼働しようとしているから
・憲法9条の改正とか消費税増税とかするから。
・消費税増税やTPP参加など支持したくないので

消費増税賛成の理由は、「社会保障費の財源として必要だから」

inv12_graph3 また、消費増税への賛否を受けて、それぞれ理由を聞いているが、まずは賛成の理由から見ていこう(グラフ3)。賛成の理由としては「社会保障の財源として必要だから」(60.2%)、「国の財政がひっ迫しているから」(58.1%)の2つが突出しており、次いで「すべての消費者から平等に徴収できるから」(35.3%)、「国債の信用力低下を防ぐために必要だから」(32.5%)、「他の先進国と比べて税率が低いから」(27.2%)となっている。

 医療や介護、年金など増大の一途をたどる社会保障費への対応が急務となっている今、全体的にはマクロな視点で見た税収増を肯定する理由が多数となった。

消費増税反対の理由は、「消費が低迷し景気が悪化するから」

inv12_graph4 一方、反対の理由を見てみると(グラフ4)「消費が低迷し景気が悪化するから」(60.1%)という回答が群を抜いており、景気の先行き懸念が根強いことを改めて強調する結果となった。次いで「平等に徴収できないから」(45.1%)、「なぜ増税が必要かの説明が不十分だから」(39.4%)、「法人税や所得税など他の税金を上げればよいから」(29.6%)となっており、税収増の手法として、そもそもなぜ消費増税なのかといった根本的な疑義が解消していない実態も明らかとなった。

◇       ◇       ◇

 ここまでは、現在の支持政党と消費税の増税に対する賛否に関する調査結果をまとめてきたが、次ページでは消費税の増税で次回の国政選挙の投票行動に影響があるかや、ネット選挙解禁により選挙利用が可能となったブログやSNSの利用頻度などをリサーチした結果をご紹介する。

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