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「第12回政治山調査-消費税増税-」から読み解くマーケット展望(1/2) (2013/9/30 株式会社フィスコ)

関連ワード : 全国 消費税 税金 調査 金融経済 

政治山が先ごろ実施した「第12回政治山調査『消費税増税に関する意識調査』」では、与党・内閣支持層と野党支持層または世帯年収の格差によって、認識に大きな隔たりがあることが判明。消費増税の必要性には一定の理解を得られているものの、消費者への説明や事業者側の取り組みなど、課題は山積していることをうかがわせる結果となりました。ここでは、投資支援サービスや情報を提供する株式会社フィスコがこの「第12回政治山調査」をもとに、株式相場や円相場を分析しました。

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現在の安倍内閣を支持しますか? 現安倍政権を支持するかという項目であるが、「支持する」が39.5%、「支持しない」が25.2%、「どちらでもない」が35.3%という結果となった。この内容を見る限り、各メディア発表の支持率とは大きくかい離している。これは、項目に「やや」など曖昧な表現を入れていないことが要因とも考えられるが、消費増税に関してのアンケートを考慮すると支持率低下はやむを得ないと思われる。

消費税の増税に対する、あなたのご意見を教えてください。  続いて消費増税に対してだが、「賛成」が34.3%、「反対」が34.8%、「どちらでもない」が30.9%となった。「反対」が若干ではあるが「賛成」を上回る格好となったが、国民に痛みを伴う消費増税という内容であることから当然といえよう。むしろ、34.3%の回答者が「賛成」としたことを受けて、国の財政状態を考慮すると消費増税やむなしと国民も感じ取っているのだと読み取ることができる。

 ただ、賛成する理由に「社会保障費の財源として必要だから」、反対する理由に「消費が低迷し景気が悪化するから」がそれぞれトップとなっていることは重要なポイントといえよう。消費増税は消費低迷につながるが、それを防ぐためにも経済政策を実施しなくてはならないというのが現安倍政権のスタンスである。社会保障制度の充実化のためならば消費増税も納得するが、増税分を社会保障制度関連以外に使用するのは反対というのが国民の回答のようだ。回答者の意見を見る限りでは、1989年の消費税3%の導入、1997年の5%への引き上げと比べると日本国民の消費増税に対する目は非常に厳しくなったのかもしれない。 

賛成・反対の理由を教えてください

消費増税は社会保障制度を維持させるための必要悪?

 自民党・甘利経済再生担当相は、NHKのTV番組で消費税を5%から8%に引き上げる場合、「2%を景気対策に回す」と話している。消費増税に賛成している有権者の多くは、消費増税は社会保障制度を存続可能なものにするために行うものであると考えていることがアンケート結果で確認された。しかしながら、甘利経済再生担当相の発言は、このような有権者の期待に背くものであると言える。

 消費増税を実施した場合、経済情勢は悪化するとの見方が多い。それゆえに、安倍政権は5兆円規模の景気対策の導入を検討しているようだ。しかしながら、消費増税分が社会保障制度の充実に使用しないとなれば、消費増税を実施する大義名分は薄れることとなる。

消費増税実施後は日銀のスタンスに注目か

 10月1日に9月の企業短期経済観測調査(日銀短観)に発表されるが、安倍首相は、この日銀短観を踏まえて10月初旬に消費税率を引き上げるかどうかを決定するとのこと。先週までは同日18時に記者会見を行うとされていたが、最新のコメントを読み取る限り幾分慎重なスタンスをとっているようだ。

 ただ、市場では既に消費増税を実施するのは想定線との見方が強まっていたことから、消費増税引き上げ実施での影響は限定的と見られている。また、消費増税での景気減速への経済対策もほぼ織り込み済みか。市場の注目は消費増税実施後、日本銀行による追加の金融緩和が実施されるかだ。

 9月4、5日の日銀金融政策決定会合では、今年4月に導入した異次元緩和の継続を決めると同時に、景気判断を「緩やかに回復している」との表現に上方修正した。その後、黒田東彦総裁は記者会見で、消費税を予定通り引き上げた結果、仮に景気に大きな悪影響が出れば、追加緩和などを検討する考えを示している。

 この発言を素直に読み解くと、「消費増税実施で景気に悪影響を与える可能性があれば、追加の金融緩和を実施しますよ」というメッセージ性が伝わる。日銀金融政策決定会合は10月3、4日のほか31日に予定されている。31日には経済・物価情勢の展望(基本的見解)を公表することから緩和実施への思惑は高まりやすいとの見方もある。

 ただ、日銀は市場がじれてきたタイミングで金融緩和を実施するスタンスが予想される。となると、12月の日銀短観発表(12月中旬)後の金融政策決定会合(12月19日、20日)で直近の経済指標、企業の見通しなどを分析し、実際に追加の金融緩和を実施するのは年明けとなるかもしれない。これは考えようによってはポジティブな内容とも捉えられる。それは、先延ばしとなればなるほど市場の期待感は高まり、年内いっぱいは日銀の追加の金融緩和への期待感が日本株の下支えとなるからだ。

日経平均株価 一点気をつけなくてはならないことがある。期待感優勢の思惑的な株価上昇は日銀が追加の金融緩和を発表したタイミングで短期的にはピークを打つ可能性がある。消費増税引き上げ→追加の金融緩和への期待感→緩和実施でいったんは利益確定といった流れが想定線か。

 こうしたシナリオを多くの市場関係者が想定すれば、債券利回りは低下→米量的緩和縮小は近々実施→為替は円安→円安推移を背景に日経平均は上昇といったストーリーができあがる。

日経平均の年内想定レンジ:14000円から16500円

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