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特集「参議院議員選挙2013」~参院選後の展望と相場予測~

2013参院選を総括する(3) 日本経済を揺るがすリスク要因 (2013/7/26 株式会社フィスコ)

関連ワード : TPP 全国 参院選 消費税 金融経済 靖国 

 

安倍政権の死角 自民大勝だが問題は山積

「ねじれ国会」を解消し、磐石な基盤を固めつつある安倍政権ではあるが、様々な問題は山積している。今週正式参加となった環太平洋経済連携協定(TPP)に関連した農業部門への処遇や、消費増税に絡んだ問題などが国内要因として意識されそうだ。一方、国外要因では、8月のアジア外交、そして9月にはドイツ総選挙が予定されていることで欧州政局不安などが懸念材料となりそうだ

<国内要因>
1)農業に対する処遇
 環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉正式参加を受けて、農業部門への補償規模が膨大になる可能性がある。補償規模の内容によっては財政負担の増額が想定されることから、債券市場への売り圧力が懸念される。

2)消費増税問題
 2014年4月に予定されている消費税率の引上げについて、麻生太郎財務・金融相は7月23日の閣議後記者会見で、9月上旬にロシアのサンクトペテルブルクで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議前には引き上げを決めた方がよいとの考えを示した。また、8月12日に発表される国内総生産(GDP)速報を参考にするとの方針を持っており、9月のG20首脳会議後に発表されるGDP改定値を待たずに消費増税の方向性を決めたい意向を示している。

 消費増税を国際的な公約にしたことで増税実施を見送ることはないと思われるが、もし見送った場合、日本の財政問題に対する懸念が一気に高まるだろう。海外の投資家の買いが日本の株高を牽引していることを考えると売り圧力は大きなものとなりそうだ。

<国外要因>
1)8月の安倍総裁靖国神社参拝に伴うアジア外交問題
 第1次安倍内閣では、それまでの小泉政権で悪化したアジア情勢に配慮して靖国神社への参拝を見送ったが、昨年9月の党総裁選候補者による共同記者会見で安倍氏は「首相在任中に参拝できなかったことは、痛恨の極み」とコメントしている。もちろん、首相就任前で一国会議員としての発言であることから、この時点ではさほど波紋が広がることはなかった。

 市場関係者は、靖国神社参拝にした場合の中国での日本企業に対する暴動や、日本製品不買運動による日本車の売上急減などを警戒している。「緊張の夏」再来となれば、積極的にアジア展開している銘柄を中心に日本株への売り圧力は強まるとの見通し。

2)欧州政局不安
 5月にドイツで実施された世論調査では、メルケル独首相が率いる中道右派与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と連立を組む自由民主党(FDP)の支持率の落ち込みが明らかとなった。欧州債務危機で救済資金の主な出し手となったドイツの国民は、南欧諸国を中心とした救済にうんざりしており、現政権に対して大きな不満を抱えているようだ。ドイツの政局の混乱は、欧州市場はもちろん世界に大きな影響を与える。欧州政局不安が再燃することに伴うユーロ安を考慮すると欧州市場での売上が高い関連銘柄の一角には重石となる可能性がある。

(株式会社フィスコ)

 

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株式会社フィスコ
株式会社フィスコは、投資支援サービス等を提供するプロフェッショナル集団です。2013年4月19日に、インターネットを使った選挙活動を解禁する公職選挙法の改正に伴う新たなコンテンツ提供を発表し、各政治家の発言要約や影響分析のコンテンツ提供
を開始しており、その付加価値向上に取り組んでいます。
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