特集「参議院議員選挙2013」~第23回参議院議員選挙の展望と相場予測~
2013参院選を総括する(1) 自民順当勝ちも議席数は予想をやや下回る (2013/7/26 株式会社フィスコ)
今回の参議院議員選挙は、アベノミクスの信を問う選挙とも言われていました。結果、自民党が圧勝し、ねじれ国会も解消。安倍首相は安定的な政治体制を敷き、アベノミクスをさらに推し進めることができるようになりました。ここでは、投資支援サービスや情報を提供する株式会社フィスコによる経済面から見た参院選の総括と、マーケット展望をお届けします。
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自民・公明の過半数議席獲得は予想通り 民主党は20議席を下回る
2012年12月に行われた衆議院議員選挙(衆院選)で大勝した自民党は、今回の参議院議員選挙(参院選)で72議席以上を獲得し、24年ぶりに衆参両院で単独過半数を回復する可能性があった。投票率の低下は自民党にプラスに働くとの見方も少なくなかったが、結果的には65議席にとどまり、単独過半数には届かなかった。ただし、非改選議席を含めて自民・公明の両党は135議席を獲得し(自民115、公明20)、参院でも安定多数勢力を占める結果となった。
先に行われた東京都議会議員選挙(都議選)で大敗した民主党は、今回の参院選で17議席にとどまり、非改選の42議席と合わせても60議席に届かなかった。共産党は都議選で躍進した勢いを保っており、8議席を獲得。非改選の3議席とあわせて新勢力は11議席に増えた。みんなの党は8議席を獲得し、非改選と合わせて18議席。苦戦が予想された維新の会は今回8議席を獲得し、非改選と合わせて9議席となった。
今回の参院選の争点は、「原発再稼働」「憲法改正」「TPP」「消費増税」の4点だったと思われるが、自民党は消費増税についてはあまり語らず、景気回復が進んでいることを有権者にアピールした。選挙戦終盤になって安倍首相は憲法改正の必要性を改めて主張したが、自民勝利は動かないと判断したからであろう。ただ、自民党の議席数は大方の予想(68~71)を下回っており、「アベノミクス」に対する有権者の評価については、まちまちとの声が聞かれている。
改憲論議は当面高まらず 安倍政権は経済政策に注力か
安倍晋三首相は7月21日夜の番組で、「決める政治、安定した政治の中で経済政策を前に進めていけという大きな声をいただいたと思う。しっかりと責任を持って政治をしっかり前に進めたい」と述べた。また、憲法改正に関しては「国民の過半数の賛成がなければ憲法改正はできない。憲法の議論をしっかり広く深くしていく必要がまだある。この安定的な政治状況を作っていただいたわけだから、落ち着いて議論を深めたい」と述べた。
「改憲勢力」とみられている自民党と維新の会の2党は、今回の参院選挙で非改選との合計で124議席を獲得したが、改憲の発議に必要となる参議院の定員の3分の2を大幅に下回っている。みんなの党が加わったとしても3分の2には10議席以上足りないことから、改憲に向けた議論はややトーンダウンする可能性がある。