【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】
第114回 誰もがワーク・ライフ・バランスを実感できる街づくり (2014/11/26 東京都羽村市議会議員 大塚あかね氏/LM推進地議連会員)
政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第114回は、東京都羽村市議会議員の大塚あかね氏による「誰もがワーク・ライフ・バランスを実感できる街づくり」をお届けします。
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羽村市は東京都の多摩地域西部にある市であり、東京都の市で最も人口が少なく、2014年11月1日現在5万6607人。面積は面積は9.91平方キロメートルで、全国の市で7番目に小さく、東京都の市の中でも3番目に小さい。
春の「チューリップ祭り」は全国的に有名であるが、「水」も市民の1人として誇れるものである。武蔵野市、昭島市とならび、独自水道事業を行っており、羽村の水は多摩川の伏流水100%。東京都水と飲み比べると誰もがまろやかな水の味わいに驚く。地下水であるため、震災時にも放射性物質の影響をまったく受けなかった。料金も全国1275団体中、安い方から183番目である。ペットボトルでも販売しているので、ぜひ一度、飲んでいただきたいと思う。
ワーク・ライフ・バランスの推進を提案
2008年。「ワーク・ライフ・バランス元年」とさかんに報道されていた。しかし、羽村市では認知度はほとんどなく、それまで男女共同参画問題に取り組んでいた私は「このままではいけない」という思いに突き動かされ、議会の一般質問を通し、行政に対し、行政としてまずは啓発、広報活動を行うべき、また、市内企業のロール・モデルとして、市役所が率先してワーク・ライフ・バランスに取り組んでいくべきと提案、訴えた。
中にはそれまでの、ファミリー・フレンドリー施策と混同している担当者もおり、「保育施設、学童クラブの数、子育て支援策は整っている、いまさら何を?」という声。また、羽村市は男女共同参画宣言も東京都ではいち早く行い、条例も策定され、推進会議も設置されている等、男女共同参画の推進には積極的だったため、「それ以上何を?」という声も聞かれた。
「労働人口が減少する中で人材確保が切実な問題となっており、そのために個人のさまざまな事情に応じた労働環境を提供することが不可欠となっている。さまざまな人材の意欲と能力を発揮することができる社会でなければ、社会の活力を維持することが困難となることは目に見えている。
こうした時代の流れの中で、今までの働き方を改革しないままでは、個人、企業、組織、ひいては社会全体が立ち行かなくなる。ワーク・ライフ・バランスの推進は、こうした状況克服するために求められる取り組みである。
ワーク・ライフ・バランス憲章にも示されているが、地方公共団体の果たす役割は、地域により異なるのだから、地方公共団体が自らの創意工夫のもとに地域の実情に応じた展開を図ることも必要である。羽村市として、できることから取り組む必要がある」。私は一般質問はもちろん、商工会など関係団体へセミナー開催の提案や、企業内懇談会での対話行動などを通じ、取り組みを展開した。
こういった取り組みの結果、商工会で会員や近隣事業社対象のセミナーのテーマとして「ワーク・ライフ・バランス行政」も職員研修の中でテーマとして取り上げたり、広報誌に特集を組むようになってきた。高齢者の再就職支援、特に高齢女性の再就職支援については、これまで取り組みがされていなかったので、現在、実施について働きかけているところである。
仕事と介護、生活と介護の両立が課題
「介護離職」が問題になっている。私も「介護と仕事の両立ができない」。というご相談を受けた。よくお話を伺ってみると、介護保険制度や介護サービスについて、ほとんど知識をお持ちではなかった。「介護はまだ遠い未来の話だと思っていた」。という言葉に驚かされた。介護は育児と異なり、いつ始まるか分からない。また、いつ終わるのかも分からない。親が元気なうちに介護問題についてキチンと話し合い、また、本人も使えるサービスについて、知識を持っている必要がある。行政に対し、私は加入時の40歳時と、利用対象となる65歳時に介護保険制度についての説明をするべきと提案した。結果、商工会加入の会員で対象となる方には、制度の説明が個別通知されることになった。
介護はまだ「女性が担うもの」という意識が男女を問わず強いことも問題だと考える。家事や育児については男性の関わり(イクメン、イクボスという言葉もあるように)が積極的に行われるようになりつつあるが、介護も男性の関わりが必要である。男女問わず、この点についての意識改革も必要であろう。また、介護離職につながらないよう、制度やサービスについて利用できるための知識を男女共に若いうちから持っている必要がある。
誰もがワーク・ライフ・バランスを実感できる街を目指して
ワーク・ライフ・バランスを推進することにより、個々人の生き方や子育て期、中高年期といった人生の段階に応じて、多様な働き方の選択を可能とする社会を実現したいと強く思う。個人の持つ時間は限られている。ワーク・ライフ・バランスの実現により、市民誰もが自分の時間の価値を、高まりを実感でき、安心と希望を持てる生活を送ることができるのではないか。誰もがワーク・ライフ・バランスを実感できる街の実現を目指し、議員活動を通じ、これからもワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでいく考えである。
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