第51回 市民が「知りたい!」と思う議会を目指して  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップ >  記事 >  連載・コラム >  ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟 連載 >  第51回 市民が「知りたい!」と思う議会を目指して

【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第51回 市民が「知りたい!」と思う議会を目指して (2013/9/11 東京都小金井市議会議員 白井亨氏/LM推進地議連会員)

関連ワード : 小金井市 東京 白井亨 

政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第51回は、東京都小金井市議会議員の白井亨氏による「市民が「知りたい!」と思う議会を目指して」を お届けします。

◇      ◇      ◇

立地と環境に恵まれた、小金井市

立地と環境に恵まれた、小金井市

自然豊かな環境とココロが豊かな人が集うこの町

 東京都小金井市は中央線沿線に位置し都心からのアクセスも抜群、南北には小金井公園と武蔵野公園、野川公園と大きな都立公園に囲まれ、市民活動も盛んで教育水準も高い、と言われています。面積は11.33平方キロ(東西4.1キロ、南北4.0キロ)、人口は11万人を超えますが、いい具合に顔が見える狭さと言えます。小金井市議会は以前から少数会派の立場を尊重するなど、議会改革は進んでいると言われてきたようですが、外向きの改革は遅れがちだと感じています。

ガラパゴス化している議会という世界

 私は一般企業で13年間働き、思うところがあり2013年4月に議会の世界に飛び込みましたが、想像していた通り議会という世界は独自の文化を形成してしまっていると感じています。言い換えれば、外界からの刺激や脅威をあまり受けずに進化の歩みを止めてしまう文化ができてしまっている、とも言えるでしょう。それも、これまでの地方分権以前の経緯を考えると仕方ない部分はありますが、いわば特定の支援者の声だけを聴いていれば事足りるような環境に起因するかもしれません。議員への審判が4年に1度のみ、という仕組みの課題とも言えます。

これからは“不利益分配”をポジティブに変えるアプローチが必要

東京都小金井市議会議員 白井亨氏

東京都小金井市議会議員 白井亨氏

 そんな中、経済成長時代の自治体経営とは異なり、どう考えてもこの先税収は下降トレンドに移行します。わが小金井市が抱える重要課題として、ごみ問題、新庁舎建設、公共施設と下水道等のインフラの再整備など、莫大な財源を要する事業が目白押しです。課題の詳細は違えども、どこの自治体も似た課題を抱えているのではないでしょうか。これからはいろいろな意味での負担(不利益)を、市民に理解をしてもらいながら分配するとも言える時代です。

 ただ、これらを単に不利益の負担という意味合いではなく、市民が生活する上でのポジティブな事象に変えていく発想が必要なのではないか、と考えています。地域に何かしら“関わる”ことで知り合いも増えて、地域生活が豊かになっていきます。これまでは寝に帰るだけだった地域が楽しい時間を過ごせる居場所になれば、市内回遊性も高まり、地域に人・お金・モノ・情報が回るようになります。そこから「担い手」としての人材も豊富になるはずです。その流れをうまく作ることができれば、より多くの市民が主体的に地域で何かを少しずつシェアする、担い手となる、理想的な市政が実現できるのではないか、と考えています。かなり時間はかかると思いますが、市民をその気にさせるアプローチへ転換する必要性を感じています。

まずは議会、議員を「知ってもらう」ことから

 そのために、市や議会による市民との相互信頼性に基づいたコミュニケーションが必要です。ただし、実際に議員になってみると市民の関心の低さに改めてショックを受けています。小金井市では昨年、市民へ「議会に対する意識調査アンケート」を実施しました(対象:無作為抽出2,000人、回収:506通、回収率:25.3% アンケート内容は小金井市ホームページを参照)。

 ここでは、“市民がいかに議会のことを知らないか”が明らかにされています。議員の活動内容を知らず報酬額も知らないのに、なぜか報酬額を提示すると「高い」という回答が多いのです。二元代表制についてもしっかり答えられる方は少ないようです。まずはより多くの人に認知されない限り、ごく一部の人たちの意志だけで議決を行っている、と言えるのではないでしょうか。市政と併せて議会を「見える化」することは必要ですが、まずは議会のこと、議員のことを「知ってもらう」ことから始めないといけません。自分の税金がどう使われているのか、住んでいるまちがどうなっていくのか、子どもを育てる環境についてなど、自分の意見を反映できる議会という存在を認識してもらうことからがスタートだと感じています。

市民が「知りたい!」と思う議会を目指して

SNSで公開している議員報酬明細書(左)、議会カフェの様子(右上)、会派ニュース(右下)

SNSで公開している議員報酬明細書(左)、議会カフェの様子(右上)、会派ニュース(右下)

 議会に入って4カ月、まずは議員としてできることから始めています。会派ニュース(市議会レポート)「ほぼ隔週版」は3週間ごとのスパンで朝、駅前で配布しています。情報はすぐに陳腐になるためです。定例会後には、カラーのチラシを作成して部分的にポスティングも始めました。議会報告会は「議会カフェ」というネーミングでほぼ毎月、時間と場所を変えて開催しています。資料は一切配布せず、パワーポイントでスライドを使って、聞いていて飽きない工夫を凝らし、支援者ではない市民の方も交えて意見交換をしています。

 一番力を入れているのはtwitterとfacebookでの情報発信です。議員の仕事を知ってもらうために、毎月の給与明細書を画像にして公開したり、お祭りやイベント・行事参加だけではなく、配布資料の公開やコメントのやり取りで、顔を合わせたことのない市民の方からも貴重な意見を頂いています。身近であるはずの地方議員がなぜか一番身近ではない、ということを感じて、プライベートなことも赤裸々に公開しています。これに関して賛否はあるかと思いますが、議員もひとりの人間です。人間に興味を持ってもらうことが議員や議会を知ってもらう入口になるのでは、という仮説を立てて検証中です。近いうちに、選挙で掲げた政策案に対する取り組みの進捗を常に見える化できるようにWEBにアップする予定です。

著者プロフィール
白井 亨(しらい とおる):東京都小金井市議会議員(2013年4月から現職)、会派 小金井をおもしろくする会(1人会派)所属。3月24日の市議会議員選挙にて24人の定員に対して35人の乱立選挙で966票を得て20番目で滑り込み当選。どこの政党にも所属せずどの組織からも支援を受けず素人市民でチームを作り未来の小金井市を創る為にまずは市議会議員に。元会社員(株式会社シー・レップにて企業や学校のコミュニケーション&プロモーション企画・制作のディレクター兼営業)。関西大学社会学部卒業、一新塾30期生。1975年生まれ、大阪府枚方市出身。
HP:白井とおると小金井をおもしろくする会
Blog:もっと小金井市を、おもしろく。~白井亨blog
facebook:白井 亨
facebook page:小金井をおもしろくする会
twitter:白井トオル@小金井
白井 亨氏のコラム
「新庁舎建設凍結と第二庁舎取得問題」で感じた議会の役割とは(2014/10/9)
白井亨氏プロフィール
LM推進地議連の連載コラム
第50回 市職員ではできない!ならば、市議会議員に!(長野県佐久市議会議員 飯島雅則氏)
第49回 有害鳥獣に対する取り組みと日本オオカミ再導入に向けた課題(長野県須坂市議会議員 宮坂成一氏)
第48回 活動報告で築く市民との協働関係-新しい市政報告会のかたち(山梨県甲府市議会議員 神山玄太)
ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟(LM推進地議連)連載コラム一覧
関連リンク
ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟ホームページ
関連ワード : 小金井市 東京 白井亨