第34回 若者と共に「ダサいたま」を「多彩たま(たさいたま)」に  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第34回 若者と共に「ダサいたま」を「多彩たま(たさいたま)」に (2013/5/1 埼玉県議会議員 井上航/LM推進地議連会員)

関連ワード : 井上航 埼玉 

政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第34回は、埼玉県議会議員の井上航氏による「若者と共に「ダサいたま」を「多彩たま(たさいたま)」に」をお届けします。

◇        ◇        ◇

埼玉県の今

 埼玉県は、人口約727万人、平均年齢43.6歳と日本で5番目に若い県です。県内には都市部もあれば、過疎問題に直面する中山間地域もあります。産業は農業・工業からサービス業までバラエティに富んでおり、上田清司埼玉県知事も「海がないことを除けば、埼玉県は日本の縮図である」と表現しています。

 事実、県土に占める河川面積(3.9%)が日本一であることや、秩父などの自然豊かな観光資源もある一方、3月に東急東横線と東京メトロ副都心線が直通運転を開始したことにより、東京や神奈川への交通の便がさらによくなり、ベッドタウンとしても注目を集めています。

 ただ、交通アクセスの便利さゆえに、他県での従業・通学者が全国で2番目に多い県でもあります。日中、埼玉県に居ないことが多いためか、県民の埼玉県への愛着度は残念ながら、25.8%と大変に低くなっています。

 さらに、それを反映するかのように昨今の投票率も低くなっています。有権者に占める若年層の比率が高いという背景も加わり、2011年の埼玉県知事選挙の投票率は24.89%と、全国の知事選の中でワースト1位という結果になってしまいました。

県政を身近に分かりやすく感じてもらうために

県民に県政を身近に感じてもらため、井上氏が作成している「マンガチラシ」

県民に県政を身近に感じてもらため、井上氏が作成している「マンガチラシ」

 だからこそ、私はこの埼玉の県議として県民に「県政を身近に分かりやすく」感じてもらいたいと考えています。今回は私がこれらのために行っている3つの取り組みをご紹介します。

 まず1つ目が「わかりやすい広報」です。特に、チラシの作成に力を注いでおり、和光市議会議員時代の2010年には、第5回マニフェスト大賞「優秀コミュニケーション賞」をいただきました。県議になってからは「県=遠い」という印象を変えるためにも、チラシにストーリーマンガを導入しました。この取り組みは幅広い世代の方から反響をいただいています。

 2つ目が「若手政治家の育成」です。2011年の統一地方選挙への立候補を検討している人を対象にした「若手政治家養成塾」を埼玉・東京の1期生議員と開講。私は塾代表を務めました。単に選挙ノウハウを授けるのではなく、自ら地域の課題発見をし、政策形成に結び付ける実践的なカリキュラムを取り入れ、即戦力となる政治家の養成を目指しました。その結果、統一地方選挙に立候補した塾生は全員当選を果たしました。

若者の着眼点をまちづくりに活かす

埼玉県議会議員 井上航氏

埼玉県議会議員 井上航氏

 そして、3つ目が「若者に政治の現場を見せる」ことです。そのために行っているのが「議員インターンシップ」の受け入れです。実は、私自身も大学時代にインターンを経験しており、受け入れる学生には、私が経験した以上のことを伝えられればと考えています。この春の受け入れで通算7期目となりました。

 しかし、学生の興味関心は驚くほど多様なため、こちらも本気でそれに応えていく必要があります。それぞれの関心に沿った視察プログラムを組むこともあり、私自身も視察先の幅を広げるきっかけとなっています。また、学生ならではの新しい着眼点を持って視察に臨んでくれるので、彼らから学ぶことも多くあります。

 井上事務所では学生同士に議論をさせ、自ら考えることをモットーにしています。「投票率向上対策」について学生が行った調査の結果は、わが会派「刷新の会」の代表質問にも活かされました。

 そして、2カ月間のインターンの総括として、同僚の菅原文仁議員事務所のインターン生と合同で「政策発表会」を開催しています。「埼玉県の暮らしがよくなるための政策提案」という課題に対し、各学生がテーマを決めて、「県の現状調査・分析」→「新たな政策提言」→「予算計算」を行い、プレゼンで競います。

 回数を重ねるごとに政策提案の質も向上し、実際に県政に採用できるレベルのものもあります。それほど、2カ月間のインターンを通して、学生たちは議員と共に真剣に埼玉県について考えてくれるようになりました。

埼玉県の魅力を発信

 これら3つの取り組みは、県民に「県政を身近に感じてもらう」という点を重視して実践してきました。前述した通り、埼玉は若者が多い県です。県民の多くを占める若い人に政治に関心を持ってもらわなくては、投票率の向上もさることながら、まちづくりとして今後、成り立っていきません。議員と共に、県の魅力と課題の両方を共有できる人を増やすことが、私の最大の使命だと考えております。

 しかし、県民が県政について知り、身近に感じられるようになるというだけでは、県民の埼玉県への愛着度は高まりません。もう1つ、県議として大切な役割は、埼玉県の魅力そのものを県内外に発信していくことです。その1つとして、私は、先の2月定例会の予算特別委員会において埼玉県でも、香川の「うどん県」のような積極的な観光PRの打ち出しを行うべきと提案し、知事からも前向きな答弁をいただきました。

 かつて埼玉は「ダサいたま」と言われたこともありました。しかし、埼玉という地には、知れば知るほど多彩な魅力があることを発見できます。県民、そして県外の方からも埼玉県にさらなる愛着を持ってもらい、「ダサいたま」から濁点をとって「多彩たま(たさいたま)」と言ってもらえるように、県議として取り組んでいきたいと考えています。

著者プロフィール
井上 航(いのうえ わたる):埼玉県議会議員。1979年生まれ。父親の転勤により東京、名古屋、広島、兵庫などで生活。1995年阪神大震災に被災。政府や自治体の対応に問題を感じ、「人の暮らし・命を守る政治家になる」と決意。2002年立命館大学法学部卒業。福祉・医療系人材派遣会社勤務を経て、2007年和光市議会議員初当選。2010年第5回マニフェスト大賞「優秀コミュニケーション賞」受賞。2011年埼玉県議会議員初当選。会派は無所属議員を中心とした「刷新の会」。
HP:埼玉県議会議員 井上わたるホームページ
ブログ:井上わたるの和光ブログ
井上氏も参加した政治山「当選1回議員座談会」
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