【地方議員座談会「当選1回議員」】
新人議員たちは、何を考え、どう行動しているのか(2012/06/05 政治山)
議員の生の声をお伝えする地方議員座談会シリーズの第1弾は、当選1回の新人議員による座談会を開催した。集まった議員たちは、都市部や地方、市議も県議も女性もいて、これまでの経歴もさまざまだ。バックグラウンドの違う議員が、それぞれの思いを持って活動している一方で、新人ゆえの共通の悩みがあるのではないか。そういった相違点をあぶり出すため、また一般市民にとって接点の少ない「地方議会」「地方議員」をわかりやすく語ってもらうために、有権者の感覚に最も近いと思われる当選1回議員の5人に集まっていただいた。「議会とは」「議員とは」、地域によって違う議会活動の現状や、議員のやりがいといった話もなされた今回の座談会は、神山玄太甲府市議の司会でスタートした。
それぞれの議会での会派制度
菊池 勲(きくち・いさお)
1981年、青森県弘前市生まれ。2006年、東北大学理学部卒業。「雇用と教育」をテーマに、松下政経塾に27期生として入塾。09年、東京で人材派遣会社経営を経て、11年、弘前市議選に挑戦して初当選。大学在学中に学習塾と学習支援に関わったことから教育のあり方と税金の使われ方に問題意識を持つ。東京で人材派遣会社経営を経験し、東北出身の若者が東京で日雇いに従事する現実に直面。現在は、弘前で若者の社会参加をすすめる仕組みを模索中。
ブログ:菊池勲の一路白頭に至る。
神山 今回は新人議員の皆さんに集まっていただきましたので、まずは議員になって初めて見えたことや、新人としてのやりがい、苦労話といったことをお聞きしたいと思います。最初に、菊池勲さんはどうお感じになっていますか。
菊池 1年間、議員をやってみて「これは大変だ」と思うのは、例えば請願書や陳情書というのがありますよね。
私は議会で2人会派なので、是々非々で臨みますが、先輩議員から話を聞くと、別の会派の場合、請願や陳情を出す団体によって「これはいい」「これは駄目、署名できない」ということがあるそうです。中身がどうこうという段階の前に、結論が出てしまっているように思うことが多々あります。
こういうのを見ていると、制度うんぬんの話ではなくて、いかに根回しをうまくやるか、「どうメンツを立てていくのか」というところで団体同士の綱引き合戦をやっているんだなと、仮に違うとしてもそういう気になってしまいます。
本気で変えていこうとすると、徹底的に順序をわきまえていくという姿勢を見せていかないと、変わっていかないというのはいま感じています。
神山 政策の中身ではないところで、議案の成否が決まっているきらいがある、ということですね。
鈴木 綾子(すずき・あやこ)
1975年、福岡県生まれ。97年、成城大学文芸学部卒業後、通信会社で法人営業に従事。仕事と子育ての両立に関心を持ち、2009年、早稲田大学大学院公共経営研究科でワーク・ライフ・バランスを研究。11年、同研究科修了後、東京都江東区議選で初当選。大学卒業までは東京都小金井市で育ち、現在は江東区豊洲に在住。議員となってからは、「子育て世代からの政策提案」に活動の重きを置いている。また、「議員活動の見える化」を合い言葉に、SNSなどIT活用やレポート発行、「あやこcafe」という市民参加の座談会を開催している。
HP:鈴木あやこ Official Web Site~江東区政に“働く女性”の目線を!~
菊池 議会には「行政のチェック機能」と「政策の提案機能」があると思いますが、弘前では「チェックが甘い」という市民の声がありますし、そういう現状のなかで、議員の政策提案という話になると、議案の中身以外の部分で一気にハードルが高くなってしまう。そういう地域独特な部分は、一筋縄じゃいかないなと感じます。
神山 その点、鈴木綾子さんの江東区はいかがですか。
鈴木 江東区でも同じような課題を抱えています。チェック機能という意味では、実際これまで反対しようという議案がなかったのでそこまで強く問題点は感じませんが、会派制度というものが正確に民意を反映できているのか、どういうような形で動けば正しい民意を反映できるのかというのは常に意識しています。
神山 議会においては、会派というのが意思決定に重要な役割を果たします。ちなみに、政党の構図がそのまま勢力図となっているのは……草間剛さん、鈴木さん、いかがですか。
草間 横浜市はそうですね。
鈴木 江東区は国政そのままの勢力図ではないです。私の所属する民主党は国政よりも割合が少ない状況です。
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