【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】
第109回 有権者のための政策実現へ~真の議会改革は議員一人ひとりの意識改革からはじまる (2014/10/22 東京都足立区議会議員 長谷川たかこ氏/LM推進地議連会員)
政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第109回は、東京都足立区議会議員の長谷川たかこ氏による「有権者のための政策実現へ~真の議会改革は議員一人ひとりの意識改革からはじまる」をお届けします。
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足立区は、人口2014年10月1日現在で約67万人。区内面積が東京23区で3番目の広さで、四方を川に囲まれた平地です。公園面積は23区内で1位。川と緑に囲まれた子どもにやさしい街です。毎年60万人もの皆様が、荒川の河川敷で行われる足立の花火に足を運ばれています。
ここ数年、東京藝術大学・放送大学の他に東京未来大学・帝京科学大学・東京電機大学が北千住に誘致され、若者の街・足立に生まれ変わりました。
地域主権の流れの中で、地方自治体における首長と議会の関係、議会そのものの在り方が問われており、議会基本条例などを制定するなど議会改革を進めている自治体も多くなりました。足立区議会でも、執行機関のチェック機関としての議会や、議会主導での条例制定や議論の透明性の確保などの改革を進めたいと考えている一人です。しかし、今日の状況は議会の仕組みを変えるだけでは解決できません。真の議会改革のカギは、議員一人ひとりの意識改革です。
私は議員1年生で初めて臨んだ代表質問で「行政・街づくりへのカラーユニバーサルデザインの導入」を提案させていただきました。議会で提案した当初は、区の職員の中でも「カラーユニバーサルデザイン」という言葉を認識している人はほとんどなく、その対策も皆無と言ってよいほどでした。その後、職員と協議を重ね、専門家による講演やNPOとの協働事業を展開し、一昨年(2012年)には「足立区ユニバーサルデザインのまちづくり条例」が施行され、ユニバーサル担当課が新設されました。足立区役所や区民事務所の案内表示、区の広報紙や新設された公共施設の表示などのすべてが色使いに配慮されたものとなり、足立区は日本でもトップレベルの取り組みとして着実に進んでいます。その結果、この取り組みは第5回マニフェスト大賞で「最優秀政策提言賞」をいただくなど、社会的にも認められるようになりました。
私が提案した「カラーユニバーサルデザインの導入」は、もともとは区民の方からのお話の中での一言がきっかけです。有権者の声にしっかりと耳を傾け、研究を深めながら執行機関との協議を重ね、できるところから確実に実行していくことが議員活動の基本だと実感しています。現在では、その研究を深めれば深めるほど、国の1つひとつの施策の構想に疑問を持たざるを得ない状況です。国では施策の漠然とした構想と予算立てがなされていますが、その具体的な支援策が提示されていないため、現場では、試行錯誤して具体的な支援施策を打ち出すこと自体が非常に困難な状況です。そのため、目に見えて効果が非常に出やすいところにだけ、その予算が集中しています。
知的障がいを伴わない発達障がい特性のある人たちに対する支援がその1つです。国としても、成人期の発達障がいという分野自体が遅れているため、社会整備が進んでいない現状があります。文科省の数字では、通常教育に6.5%、特別支援教育に1.4%で、合計7.9%の児童・生徒が発達障がい特性があるとして試算されており、その疑いのある児童・生徒は、人口の8%と考えるべきだと言われています。わたしは、国を始め、各自治体で全ライフステージを通じた支援制度を充実させる必要性があり、重大な課題であると考えています。
議会では私が所属している会派は少数会派(45人中会派3人)です。しかし少数会派であっても、調査・研究をし続け本当に必要な施策を立案し、職員と協議していくことの積み重ねで、全庁的な取り組みとして確実に進めていくことができます。
議会改革というと、とかく議会の制度やルールを変えていくことに主眼が置かれがちです。しかし、制度や条例を変えなくても現在の枠組みの中でできることはたくさんあります。
議員一人ひとりが有権者の代表者であるという自覚、政党や会派だけでなく有権者のための政策実現など、議員一人ひとりの意識改革こそが議会改革の最大の推進力であると考えています。
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