第108回 鹿嶋市議会における広報活動の取り組み  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第108回 鹿嶋市議会における広報活動の取り組み (2014/10/15 茨城県鹿嶋市議会議員 佐藤信成氏/LM推進地議連会員)

関連ワード : 佐藤信成 地方議会 茨城 鹿嶋市 

政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第108回は、茨城県鹿嶋市議会議員の佐藤信成氏による「鹿嶋市議会における広報活動の取り組み」をお届けします。

◇        ◇        ◇

 鹿嶋市は茨城県南東に位置し、鹿島臨海工業地帯、鹿島神宮、鹿島アントラーズを有する、人口6万6000人の街である。議員定数は22人、報酬34万7000円、政務活動費は支給されてない。

 鹿嶋市議会では2013年6月より新メンバーによる委員会が組織された。その月に議会基本条例が制定され、「市民に開かれた議会」をうたっていることもあり、積極的な広報活動を展開していくことを、委員メンバーで確認した。

広報誌のリニューアル(2013年12月議会分からリニューアル)

(1)デザインの大幅な見直し

 広報誌のリニューアルは、「議会が変わった!」という意思表示を一番にアピールできるだろうということで、斬新に変えようという意識が共有された。議会広報先進地のあきる野市議会で、リニューアルまでのステップを学ぶと同時に、全国市議会議長会本部にて、全国の議会だよりを見させていただいた。

 レイアウトや紙面構成は、あきる野市議会を参考に。デザインや色使いなどは三田市議会のものを。その他の議会報からも、工夫を凝らしている点は、できる限り取り込ませていただいた。

(2)全議員の理解

 広報誌のデザインを変えるには全議員の了解を得るのが望ましいため丁寧な説明を心がけたが、難航した。特に一般質問のページを減らすことに抵抗があった(2ページ3000文字→1ページ700文字)。説得材料としては、「今までの議会報は、結果として読まれていない。特に20代、30代に見られていない。まずは私たちの活動を見てもらう、知ってもらうことから始めよう」ということで、最終的に全会一致で承認された(2013年12月議会)。

(3)その後の反応

 市民の方からお褒めの言葉が多数届く。わざわざ電話で「今までのはまったく読む気がしなかったが、初めて全ページを読んだ。議員がどんなことをしているのか、よく分かる」といった意見が多数届くようになった。

 地元紙でも大きく扱っていただいた。リニューアル1号はカラー写真入りで紹介していただき、県内自治体から多数の問い合わせもあり、実際に視察に訪れた自治体もあった。

(4)今後の課題

 デザインや市民参加のコーナーは一定の評価をいただいているが、市民が「どのような議会情報を知りたいのか?」についての調査が不十分である。賛否の公開、議会費の公開など、肝心の情報を公開しきれていない。今後は、見た目だけでなく、中身も精査していかなければならないと感じている。

 自治会による配布のため、全世帯数の約半数にしか届いていない。そのため、議員が金融機関や病院などに営業活動に行き、待ち時間に読んでいただけるよう議会だよりの設置をお願いして回っている。より多くの方の目に留まるにはどうするか、研究を続けている(上段が従前、下段がリニューアル後)。

リニューアル前(左から)表紙、2ページ目、委員会報告

リニューアル前(左から)表紙、2ページ目、委員会報告

 

リニューアル後(左から)表紙、2ページ目、委員会報告

リニューアル後(左から)表紙、2ページ目、委員会報告

録音中継の開始(2013年12月議会から開始)

 鹿嶋市議会では一般質問のみを、インターネット生中継と、FMラジオにて流している。しかしながら、録音・録画中継はしていなかった。理想は録画中継だったが、「カメラはどうする?」「機材は?費用は?」を理由に議論がまとまらなかった。そこで、録音データの公開を提案し、始めることとなった。

 特別な費用はかからない。生中継を見ることのできなかった方々が、放送を聴けるようになったことで好評を得た。あえて録音中継を推し進めた理由には、録音データであれば、本会議だけでなく、委員会のものもすぐに公開できる点がある。近い将来の公開を目指したい。また2014年6月からは録画中継も開始となった。

事務局と一体となって広報機能を強化

 議会事務局は、議員活動の補助的な仕事が多く、職員としても異動で来たくない部署ではないかと思う。そんな職員の方々と、仕事のパートナーとしてお付き合いし、能力を認め、力を発揮しやすい環境を作っていくことで、鹿嶋市議会の広報力は高まったと感じている。議会だより「とびら」のデザイン、レイアウト、アイコンなど多彩なアイデアは、当議会事務局職員がすべて担い、外注は印刷のみである。ぜひ一度、ご覧いただければ幸いである。

 ある日、広報誌のリニューアルに向けて頑張ってくれていた職員が、「事務局に異動してきて初めてワクワクしながら仕事しています」と。これは絶対に成功させないといけないと思った。議員と事務局が力を合わせれば、短期間でこんなにも、いろいろなことができるのかと実感した。議員と職員の新しい関係を創り、市民福祉の向上へとつなげていきたい。

著者プロフィール
佐藤信成氏佐藤信成(さとうのぶなり)
昭和48年生 東京都出身。専修大学経営学部卒。サラリーマン、政策学校一新塾などで学び、2011年4月に初当選。鹿嶋市議会議員(1期)
会派「鹿嶋をわくわくさせる会」代表
議会だより「とびら」バックナンバー
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