手話言語法の早期制定を―178自治体が手話言語条例制定 (2018/5/11 日本財団)
手話言語法の早期制定働き掛け
手話を広める知事の会総会
全都道府県知事が参加する「手話を広める知事の会」の総会が4月25日、東京・永田町の参議院議員会館で開催され、178自治体が4月までに手話言語条例を制定、約100自治体が検討中と全国的な広がりを見せている実態が報告された。これを受け手話言語が当たり前に使える社会の実現に向け「手話言語法」の早期制定を国に強く求めていくことになった。
手話をめぐっては条例制定の動きに先立ち、手話言語法の制定を求める意見書が2016年3月までに全国1788の全地方議会で採択されるなど広がりを見せ、手話を広める知事の会でも東京五輪・パラリンピックが開催される2020年をひとつの目標に手話言語法制定運動を展開している。
総会では冒頭、会長を務める平井伸治・鳥取県知事が「共通の目標である手話言語方の制定に向け頑張りたい」とあらためて決意を表明。同会顧問の笹川陽平日本財団会長は「地方自治体が先行しているのに国民の負託を受けている国の動きが伴っていない」と国に前向きな取り組みを促す一方、全国のろう学校88校中81校が都道府県立である点を踏まえ「手話教育の強化に向け、自らもろう者である教員を増やしてほしい」と各都道府県に要請した。
相談役の石野富志三郎・全日本ろうあ連盟理事長は最近、強制不妊手術などが問題となっている旧優生保護法について「被害者の中に多くの聴覚障害者がいたと思われ、現在、実態調査を進めている」と近く中間報告をまとめる考えを明らかにした。
また青山学院大の本名信行名誉教授が「手話言語法の制定に向けて~もうひとつのことばの社会的意義~」と題し講演。「人間は生物学的な特質として言語を持って生まれてくる。手話は聞こえを喪失した場合のもうひとつの言葉」「聞こえる子(人)は音声言語で、ろう児(者)は手話で夢を見る」などと言語学的な意味での手話言語法の正当性を説明した。
最後に今年度の事業計画として「全日本ろうあ連盟」「日本財団」「全国手話言語市区長会」「手話を広める知事の会」の4者で政府に早期の手話言語法の制定を働き掛けていくことになった。知事の会に続き「手話言語の認知と手話言語法早期制定を求めるフィーラム」も開催された。
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