社会を変えるのは熱意とスピード―「はたらくNIPPON!計画」参加事業者が語る  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップ >  ソーシャルイノベーション >  社会を変えるのは熱意とスピード―「はたらくNIPPON!計画」参加事業者が語る

社会を変えるのは熱意とスピード―「はたらくNIPPON!計画」参加事業者が語る (2018/1/9 日本財団)

開店までの試行錯誤
社会を変えるのは熱意とスピード

第4回目となる「就労支援フォーラムNIPPON」が、12月9、10日に新宿で開催されました。2日目は「未来の変革者に“投資”します~『はたらくNIPPON!計画』への招待状~」等15の分科会が行われ、このプロジェクトに参加している福祉事業所が新規事業を始めるに至る経緯を報告し質疑応答が行われました。当日の模様をご紹介します。

事業内容について説明する福寿ローランズプラス代表

事業内容について説明する福寿ローランズプラス代表

最初に、「ローランズ ソーシャル・アンド・スムージーショップ 原宿店」について福寿満希・一般社団法人ローランズプラス代表理事が、5月に都心にオープンした生花店併設のスムージーショップについて紹介しました。続いて「鉢瓶」をオープンしたNPO法人にこにこくらぶの満野厚美氏が、漬物加工・販売から伊万里市の地域活性を狙ったお食事処へと事業を拡大した経緯を報告。最後に、台湾飲茶点「無天茶坊」を来年オープンする青井一展・NPO法人ここ・からワークスおかやま代表理事が、お茶を使ったコミュニケーションという視点から障害者就労について話をしました。

その後、日本財団国内事業開発チームの福田光稀よりインタビュー形式で「はたらくNIPPON!計画」への参加の経緯や店舗をオープンするまでの試行錯誤について聞きました。事業者からはこのプロジェクトを進める日本財団国内事業開発チームリーダーの竹村利道とのエピソードが語られました。

福田(日本財団)の質問に答える満野(にこにこくらぶ)氏、福寿ローランズプラス代表、青井ここ・からワークスおかやま代表

福田(日本財団)の質問に答える満野(にこにこくらぶ)氏、福寿ローランズプラス代表、青井ここ・からワークスおかやま代表

――「はたらくNIPPON!計画」への参加の経緯は?

満野氏:3月のセミナーで日本財団の竹村さんの話を聞き、自分たちでも何かできるような大きな気持ちになりました。セミナー後、竹村さんに漬物加工場を拡大するアイデアについて説明し、伊万里の事業所を見に来てほしいと話をしましたが「空振りしたくないから行きません」と言われてしまいました。また「日本財団はスピードの財団なので、連絡がないと忘れてしまいます」とも言われました。その後、アイデアを詰めては竹村さんに何度も連絡をして、4月に伊万里に来てもらうことができました。

――オープンするまでのエピソードを教えてください

青井氏:建物には苦労しました。自然が豊かで海に近い宇野港からの景観を活かしたかったのですが、港湾法や消防法などが制約となり、断念に次ぐ断念で最終的に7つ目の物件でようやく決まりました。でも、その建物も老朽化していて耐震工事など予定外の追加工事が必要となり、リノベーションは難航しました。11月にようやく工事が完了し、2018年1月にお店をオープンすることができます。

満野氏:竹村さんを伊万里の事業所を案内したところ「ここに人は来ない、なぜこんな郊外なのか」と言われました。伊万里の中心地から車で10分の場所だったため、私自身は郊外だと思っていませんでした。その後、伊万里の古い建築が残る商店街を案内しました。その時の「町の中心はシャッター街ですが、この町の活性化を障害者が担えるのはすばらしいと思いませんか」という竹村さんの言葉で「やりたい!」と思いました。

福田:何度も何度もコンタクトをとってくる熱意。また、調べる、理事会を開くなど、日々動いていくスピード感を「はたらくNIPPON!計画」は重視しています。スピードがないと、世の中は変わりません。助成金に頼るのではなく、それぞれ困難を乗り越え試行錯誤をしたからこそ、登壇者の方は今ここにたどり着いています。
私たちは世の中を変えていくことを目指しています。実現させたいという熱意と行動力がある方とご一緒したいと考えています。

最後に会場からの質問に答えました。

――仕事が多くなると業務オーバーになることはありませんか?とくに精神の場合はどのように対応しているのでしょうか?

福寿氏:一人ひとりがしっかり生産活動をしないと、収益が崩れてしまいます。ローランズでは雇用契約の中で利用者に対し求めるものを求めています。体調を崩すことを怖れずにあえてその経験をしてもらい、どこまでが自分のリミットなのかを知ってもらいます。

――どのように売り上げをあげていますか?

満野氏:1日の売り上げ目標は4万円です。最初はあんなところにお店を開いても人は入らないと言う方が100%でしたが、今は50人になりました。伊万里でこの人数が入るのはよい方です。お客がいないランチ時間外は、喫茶メニューを充実させたい。また、伊万里市外の客を増やせるよう、宣伝を強化したいと考えて氏います。

――具体的なアイデアがなくてもよいのでしょうか?

福田:100%固まっている案件が望ましいのですが、共に事業をつくっていくため、まずは熱い思いがあることが重要です。

分科会終了後、登壇者のもとには名刺交換のために多くの参加者が列をつくりしました。「はたらくNIPPON!計画」では、これまで30の就労事業所の開設支援を決定し、日本各地で障害者が働く場づくりが進んでいます。日本財団では、障害者就労についてアイデアを求めています。

●はたらくNIPPON!計画(日本財団公式ウェブサイト)
●はたらくNIPPON!計画 ウェブサイト
●就労支援フォーラムNIPPON2017 ウェブサイト

Sponsored by 日本財団

関連記事
2017年ソーシャルイノベーション記事ランキング
上川法務大臣、官民連携を強調―職親企業との意見交換にて
相次ぐ事業所の閉鎖―障害者就労、「悪しきA型」とは何か?
ボートレース場に初の障害者就労支援施設―大村市
ソーシャルイノベーション関連記事一覧
日本財団ロゴ
日本財団は、1962年の設立以来、福祉、教育、国際貢献、海洋・船舶等の分野で、人々のよりよい暮らしを支える活動を推進してきました。
市民、企業、NPO、政府、国際機関、世界中のあらゆるネットワークに働きかけ、社会を変えるソーシャルイノベーションの輪をひろげ、「みんなが、みんなを支える社会」をつくることを日本財団は目指し、活動しています。