上川法務大臣、官民連携を強調―職親企業との意見交換にて (2017/12/29 日本財団)
「職親企業との意見交換会」
経営者の発言受け、新たな決意
少年院や刑務所から出た人たちの就労支援に取り組む企業経営者が12月20日、上川陽子法務大臣と面談、元受刑者の社会復帰における現状や課題について意見を交わしました。会議は日本財団が推進する職親プロジェクトの参加企業を対象に行われ、東京のほか大阪や福岡、北海道から企業15社が参加、職場定着の難しさや国への要望、なかには職業訓練の改善を求める意見もあり、上川大臣は「しっかり取り組んで参ります」と表明しました。
職親プロジェクトは2013年2月に発足。企業は少年院や刑務所内で採用活動を行い、出院・出所後、仕事と住居を提供しながら社会復帰を見守ります。日本財団の笹川陽平会長は「形式的に元受刑者を受け入れても更生にはつながりません。元受刑者は愛情に飢えていますので、親のような愛情で包み込まなければ成功しません」と、情熱ある企業の参加を呼びかけました。
元受刑者の再犯率は1997年以降、上昇傾向にあり、刑務所出所者の2人に1人は再び罪を犯しています。これに対して昨年12月、再犯防止推進法が制定され、上川大臣は「国としてもしっかり取り組む決意と行動を示しました」と表明、「皆さまのご努力が無にならないためにも、しっかり受け止めたいと思います」と強調しました。
大阪で美容院を経営するプログレッシブの黒川洋司社長は「6年間、刑務所内で美容師の訓練を受けてきた女性を出所後に雇用しましたが、うちの店のアシスタントよりも技術が低い。職業訓練のレベルアップが必要ではないか」と指摘しました。また、カンサイ建装工業の草刈健太郎社長は「ゼロに何を掛けてもゼロ。ゼロを1(イチ)にするためにも心の教育が必要」と仕事と住居に加え、教育の重要性を訴えました。
上川大臣は「仕事と住居の必要性を指摘してきましたが、教育がないと、この2つがつながらないことを気づかせていただきました」や「訓練で身に付いたスキルが社会で活かせるようにすることが重要」、また、法律で自治体も再犯防止が義務付けられたことを受け、「自治体ともスクラムを組んでもらいたい」と官民連携を強調しました。
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