「活動の盲点と極意」―全国青パトフォーラム、東北で開催 (2017/9/26 日本財団)
今回のテーマは「活動の盲点と極意」
効果的なパトロール手法学ぶ
青色回転灯装備車(通称:青パト)による防犯活動を推進する日本財団は9月16日(土)、「青パト活動の盲点と極意」をテーマに掲げた2017年度の全国フォーラムを仙台市で開いた。日本財団の青パト事業は、車両助成とフォーラム開催の二本柱で進めている。今回のフォーラムには、全国各地で地域防犯活動に関わっている51団体を中心に警察、自治体などから計約140人が参加。効果的なパトロール手法や他団体の活動事例を学び、併せて各団体が抱える喫緊の課題について情報を共有した。
登下校時の子どもの見守りや犯罪防止を目的に日本財団は2008年度から、自主防犯活動に取り組む団体やまちづくり協議会を対象に、累計237台の青パト車両を配備支援してきた。年度中1回開催する全国フォーラムは、より良いパトロール方法を提供することで、地域防犯活動の効果を向上させ、安全安心な街づくりの拡大発展に寄与することを目的としている。
今回は「全国青パトフォーラム2017in東北」と題し、JR仙台駅西口のアエルで開催。あいにく台風18号の影響で九州からの来場予定者が航空便の都合で不参加に。プログラムは前回に続き、防犯効果が高いとされる「ホットスポット・パトロール」に焦点を当てた。日本で普通に行われているランダム・パトロールではなく、ホットスポットと呼ばれる「犯罪が起こりやすい場所」を重点的に回る手法で、午前中はそのフィールドワーク。午後は犯罪社会学に詳しい専門家の講演を基調に午前の振り返りと報告、団体の発表、ワークショップなどを通じて効果的な市民防犯の在り方を考えた。
犯罪社会学と犯罪心理学に詳しい立正大学の小宮信夫・文学部教授(社会学博士)が「防犯意識から防犯知識へ:真に効果的な防犯対策とは」と題して基調講演。小宮教授は(1)今の日本の治安状況は世間が思っているほど安全ではない。認知件数の5倍は犯罪が起きている(2)青パトを含めたパトロール活動の高齢化とマンネリ化。ここからの脱却が課題(3)パトロールを行うたびに異なるルートで回るランダム・パトロールには防犯効果はない。ホットスポット・パトロールに大きくかじをきる必要があるが、日本ではその名前さえ知られていない-と解説し「ホットスポット・パトロールの手法を知ってもらい、日本全国に広めていきたい」と話した。
午前中に人数限定で実施したフィールドワークのまとめを、参加者を代表して、富士宮防犯協会の掘水利恵さんと富士防犯協会の高橋和華さんが報告。参加者は仙台駅近くのガード下、空き地、駐車場、駐輪場、ビルの避難階段、マンションの防犯カメラ、公園などを小宮先生の先導で見て回り、犯罪リスクの高い場所、パトロールの際に必要な“視点”について実地学習した。
2団体から事例発表があり、うち青森県黒石市東地区連絡協議会の代表は(1)会員の高齢化(2)会員数の減少(3)会員間の情報共有-を現状課題に挙げ、対策として(1)若手会員の育成(2)積極的なPR活動(3)定期的な会合の開催と情報発信-に取り組んでいくと紹介した。
最後にグループに分かれてワークショップを実施。あらためて小宮先生の指導で、暗いトンネルや子どもたちが遊ぶ公園などの写真を見ながら、犯罪が起きやすい条件になっているかどうか、問題点を指摘し合いながら、この日学んだことを再確認した。
これらに先立つ主催者あいさつで日本財団の吉倉和宏・常務理事は、青パトフォーラムをこれまで東京で3回、大阪と福岡で1回ずつ開いてきたと紹介。「日本財団は10年にわたり青パトを全国配備してきたが、実は東北地方はほとんど走っていない。要因はよく分かっていないが、なるべく多くの人に青パト活動を知ってほしいと願い、東北地方で初めてフォーラムを開催した」と説明し「青パト活動について、どんどん情報発信をし、安全安心な社会や地域を目指したい」と相互連携を呼び掛けた。
- 関連記事
- 地域住民の安心安全を守る青パト14台がパレード―東大阪市
- 青パト出発式、一宮市で開催―地域の自主防犯活動に
- 青パトの防犯効果に期待―野田義和 東大阪市長
- 「地域の安心安全は自分たちの手で」日本財団の青パト助成
- ソーシャルイノベーション関連記事一覧