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「地域の安心安全は自分たちの手で」日本財団の青パト助成、申請は10月末まで (2016/10/21 政治山)
全国で4万台以上が稼働する青色回転灯装備車(以下、青パト)は、地域防犯を支えるとともにコミュニティの再生にも貢献しています。自治体や警察と連携しつつ独自の青パト助成事業を行う、日本財団の袖山啓子さんと武藤正浩さんにお話をうかがいました。
60代以上の男性が多く活躍する青パト
- 政治山
- 10月1日に開催された日本財団主催「全国青パトフォーラム2016」の参加者についてお聞かせください。
- 担当者
- 5回目となる今回は、北は青森から南は沖縄まで、およそ150人にご参加いただきました。アンケートにご協力いただいた125人の内訳をみると、70代が42人(34%)ともっとも多く、次いで60代が34人(27%)でした。また、9割以上が男性で、リタイヤ後の地域での活躍の場となっていることがうかがえました。
- 政治山
- 参加者は、普段どのような活動をしている方が多いのでしょうか。
- 担当者
- 自治会や防犯関係が多く、自治体や警察の方も参加しています。それに加えて今年は、社会福祉法人から約10人の参加者がいて、活動の広がりを感じました。
- 政治山
- 若い方の参加はあまり多くないのですか。
- 担当者
- 20代と30代あわせても10人で、全体の1割に達しませんでした。世代間の連携はこれからの課題ですが、学生が主体となって運用したり、PTAが学校と連携して運用する事例も出てきているので、そのような流れを加速させていきたいと考えています。
ホットスポット・パトロールで防犯効果アップ
- 政治山
- すでに運用している方とこれから運用を検討している方が参加されたとのことですが、防犯活動を実施している方の問題意識はどこにあるのでしょうか。
- 担当者
- やはり自分たちの活動がどれほど防犯の役に立っているのか、効果を高めていくにはどうしたら良いかという課題は、多くの方が抱えているようです。今回のフォーラムではホットスポット・パトロールの重要性を説く小宮信夫 立正大学教授をお招きし、フィールドワークと基調講演を実施しました。実際に街に出て、犯罪が起こりやすい場所、温床となる死角などについて学ぶことで、ホットスポットを重点的にパトロールして効果を上げていくような、運用面での支援や情報発信も必要だと思います。
- 政治山
- この『ホットスポット・パトロール』の冊子は、青パトに限らず防犯活動の様々なシーンで活用できそうですね。
- 担当者
- はい。具体的に例示しているので、それぞれの地域でホットスポットを発見するのに役立つ冊子となっています。以下のページからダウンロードもできるようにしました。
- 政治山
- ホットスポットを発見し、そこを重点的にパトロールするのとあわせて、ホットスポットを減らしていく取り組みもできれば、防犯効果はさらに上がりそうです。
- 担当者
- そうですね。青パトの活動を通じて取得したホットスポットの情報を自治体や警察と共有し、ホットスポット自体を減らしていくことで犯罪の起こりにくい環境を整える、そんな取り組みにも挑戦していきたいと思います。
自治体や警察、首長や議員とも連携を
- 政治山
- 最近では青パトの認知度ともに日本財団の助成事業も浸透しているように感じますが、いかがでしょうか。
- 担当者
- 2008年度から助成事業を実施し、約230台の支援を行ってきましたが、まだまだ十分とは言えません。車両購入時の負担が理由となって活動が制限されることがないように、自治体や警察とも連携を密にして情報発信していきたいと思います。
- 政治山
- 地域との連携という観点から、首長や議員も積極的に加わると事業の展開は広がりそうですね。
- 担当者
- はい。先日は姫路市内の小学校区で活動している団体からの申請に、松本たけあき衆議院議員の地元事務所の方から日本財団の助成事業に関する情報提供があったとうかがいました。今月末には大阪で8台の青パトが出発式を迎えますが、その式典には野田義和東大阪市長にもご出席いただく予定です。
次回フォーラムは仙台市で開催、全都道府県で助成を
- 政治山
- 2004年から始まった青パトですが、世代交代や車両の買い替えなど、活動の節目を迎えているのかもしれませんね。次年度の予定をお聞かせください。
- 担当者
- 来年の「全国青パトフォーラム」は2017年9月16日に仙台で開催します。東北でも青パトの活発な地域はあるのですが、6県のうち当財団の助成事業は岩手県内の1件しかありません。5つの県でも助成事業を展開できるよう、広く告知していきたいと思います。
- 政治山
- 最後に、現在応募受付中の次年度の助成事業について、概要をお聞かせください。
- 担当者
- 2017年4月1日から2018年3月31日に青パトを配備したいとお考えの方で、青パト実施団体の証明書と原則2年以上の活動実績を有する団体が対象となります。申込の期限は10月31日(月)17時までで、具体的には以下のような事例を想定しています。
- 個人所有の車両では所有者の事情で日数や時間が限定されるため専用車が必要
- 活動範囲・内容を広げたいためもう1台必要
- 今までの青パトの代替車として新しい車両が必要
詳細については、以下のページをご覧ください。
日本財団「チーム青パト」ホームページ
<取材> 市ノ澤 充
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。
- 日本財団は、1962年の設立以来、福祉、教育、国際貢献、海洋・船舶等の分野で、人々のよりよい暮らしを支える活動を推進してきました。
- 市民、企業、NPO、政府、国際機関、世界中のあらゆるネットワークに働きかけ、社会を変えるソーシャルイノベーションの輪をひろげ、「みんなが、みんなを支える社会」をつくることを日本財団は目指し、活動しています。
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