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青パトがつなぐ地域コミュニティ―住民の自主防犯活動を日本財団が後押し (2016/8/19 政治山)
日本のパトカーといえば白黒のボディに赤色の回転灯ですが、ここ数年、青色の回転灯を載せた車両を見かけることがあります。一見パトカーと見紛う青色回転灯装備車(以下、青パト)ですが、今回はその青パト普及のための助成事業を行う日本財団の袖山啓子さんと武藤正浩さんにお話をうかがいました。
全国で4万台以上の青パトが稼働中
- 政治山
- そもそも地域住民による自主防犯活動というのは、どのくらいの規模で行われているのでしょうか。
- 担当者
- 全国では4万7千団体以上が自主防犯活動に取り組んでいて、その構成員数は250万人を超え年々増加しています。その多くが徒歩によるパトロールですが、自転車や青パトを用いる団体も増えています。
- 政治山
- 青パトはいつから始まって、何台くらい稼働しているのでしょうか。
- 担当者
- 2004年の道路交通法改正により、警察に届け出て認可されれば回転灯を装備した一般車両の運行が可能となりました。現在は自家用車にステッカーを貼ったものも含めると4万台を超える青パトが稼働していて、日本財団では2008年から助成事業を開始し、これまでにおよそ220台の助成を行っています。
37都道府県で助成実施
- 政治山
- 助成の内容をお聞かせください。
- 担当者
- ほとんどがボランティアで行われている防犯活動において、車両の取得は大きな負担となります。そこで警察から運行証明を取得し、実際に活動を開始している団体を対象に、白の軽自動車の購入代金と車両の塗装等にかかる経費を助成しています。
- 政治山
- 助成する事業について、年間の件数や目標とする件数はあるのでしょうか。
- 担当者
- 助成事業なので申請していただく団体次第なのですが、年間30件を見込んでいます。また、助成を実施していない県がまだありますので、そういった地域から申請をいただけるよう周知していきたいと考えています。
役割が明確だと男性も参加しやすい
- 政治山
- 実際に青パトに乗ることもあるのでしょうか。また、その際に気付かれたことなどあればお聞かせください。
- 担当者
- はい。助成申請された団体を訪問し、同乗させていただくようにしています。現場に行って気付くのは、ご高齢の方、とくに男性が多いことです。日ごろ町内会の集まりなどにはあまり参加しない男性は、パトロールのように役割が明確な方が参加しやすいようです。
- 政治山
- 確かに女性は隣近所とのコミュニケーションが豊かで、男性はそのような機会が少ないように思います。
- 担当者
- そうですね。だからこそ防犯活動が地域コミュニティに参加するきっかけになったり、中には「生きがいだ」とまで、おっしゃる方もいます。
- 政治山
- ご高齢の方の活躍は喜ばしいことですが、若い人たちにも参加してほしいですね。
- 担当者
- はい。それはこの事業を継続していく上でも重要な課題であると認識しています。子どもたちの見守りを通じて子育て世代の方にも参加していただいたり、学校と連携して先生方に同乗していただいたりしていますが、これからも様々な工夫が必要だと思います。
警察や自治体との連携がカギ
- 政治山
- 青パトは、具体的にはどのような役割を果たしているのでしょうか。
- 担当者
- 登下校時の児童の見守りを中心としている団体が多いのですが、空き家を重点的に回ったり、民生委員と協力して独居老人の見守りなどを行っている団体もあります。どちらもあくまでも見回りなので事件や事故に直接介入するわけではありません。
- 政治山
- その線引きは難しそうですが、トラブルなどは起きないのでしょうか。
- 担当者
- 3年に1回、警察による講習が行われていますし、警察や自治体とも日ごろから連携しており、そのスタンスは徹底しているようです。これまでに事件や事故に巻き込まれたという報告は受けていません。
- 政治山
- パトロールの仕方なども工夫されているのでしょうか。
- 担当者
- 場当たり的にランダムに回るのではなく、「ホットスポット」と呼ばれる犯罪の温床となったり事件事故の現場となりそうな「場所」を重点的に巡回するパトロールの手法について、広めていこうと考えています。より効果的なパトロールを実施するには、防犯意識に加えて防犯知識も必要です。
防犯“意識”に加え、防犯“知識”も必要
- 政治山
- なるほど。それで防犯知識の向上に向けた取り組みもなさっているんですね。
- 担当者
- はい。ただ惰性で続けようとしても活動は段々下火になります。事業を継続して行うには課題認識と解決に向けた具体的な取り組みが必要です。他の団体と意見交換したり専門家から話を聞いたりして、防犯知識を深める機会を定期的に設けています。
- 政治山
- 「全国青パトフォーラム」についてお聞かせください。
- 担当者
- 青パトフォーラムはこれまでに東京2回、大阪1回、福岡1回の計4回開催しており、今年は10月1日に東京・港区の日本財団ビルで開催します。当日は犯罪社会学と犯罪心理学に詳しい、立正大学の小宮信夫教授による基調講演とワークショップに加え、小宮教授からホットスポットパトロールを実地で学ぶフィールドワークも予定しています。
- 政治山
- 参加者が得た防犯知識をそれぞれの地域に持ち帰り、地域の防犯意識が向上していくと良いですね。フォーラムの様子はまたご紹介したいと思います。本日はありがとうございました。
※10月1日「第5回全国青パトフォーラム」の参加申し込みは9月15日までです。下記のPDFファイルを印刷し、裏面に必要事項をご記入のうえFAXにてお申し込みください。
<取材> 市ノ澤 充
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。
- 日本財団は、1962年の設立以来、福祉、教育、国際貢献、海洋・船舶等の分野で、人々のよりよい暮らしを支える活動を推進してきました。
- 市民、企業、NPO、政府、国際機関、世界中のあらゆるネットワークに働きかけ、社会を変えるソーシャルイノベーションの輪をひろげ、「みんなが、みんなを支える社会」をつくることを日本財団は目指し、活動しています。
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