「日本財団在宅看護センター」続々オープン! (2016/6/1 日本財団)
地域での安心な暮らしを支えるために
「社会を変える」起業看護師たち
子どもの健康から高齢者の介護予防、終末期まで、人々の暮らしを訪問看護で支えたい。そういう高い志を持つ看護師たちが、この春、次々と起業しました。看護師を中心とした新しい地域医療の拠点、「日本財団在宅看護センター」です。
3月29日(月)には福島県福島市、3月30日(火)には東京都荒川区、4月2日(木)には東京都目黒区と神奈川県藤沢市、4月3日(金)には茨城県東茨城郡で開所式が行われました。
超高齢社会を迎え、また病院中心の医療から地域・在宅ケアへの移行が進む中、在宅医療の充実が急務となっています。住み慣れた地域で安心して暮らし続けることは、多くの人々の願いでもあります。しかし、その体制づくりはまだまだ不十分だと言われます。
生活の場である自宅等での療養において鍵となるのは、医療と生活の両方を支える役割を担う看護師です。そこで、(公財)笹川記念保健協力財団では、自ら起業して在宅医療の中核となる看護師を育成しています。8カ月の研修と起業支援を提供する「日本財団在宅看護センター起業家育成事業」は2年前に始まり、これまでに、1、2期生合わせて26名が修了しました。
1期生の石川麗子さんが目黒区で開業したのは「街のイスキア訪問ナースステーション」。道路に面したガラス戸が、ちょっとした相談にも入りやすい雰囲気です。「イスキア」の名は、かつて、青森で人々に癒しと食を提供し続けた佐藤初女(はつめ)さんから受け継いだもの。初女さんに深く共鳴し、また最近義母を看取った経験を持つ石川さんは、食や看取りを大切にした看護を地域の人々に届けたいと思っています。開所式には30人ほどが集まり、厳かな神事の後、心と体を癒す食の専門家が腕をふるった料理を楽しみながら、センターの門出を祝いました。
茨城で開業した2期生の黒澤薫子さんの「在宅看護センター和音」は、郊外の一軒家を事務所にしています。開所式には、8カ月間ともに学んだ同期生が全員駆け付けたほか、地元の幼馴染み、看護師仲間などで広い家が埋まりました。祝辞を贈った茨城県立中央病院の角田直枝看護局長は、自身、訪問看護ステーションを立ち上げた経験もある方です。「訪問看護は、地域にとっての希望。家ではできないと思っていたことが、訪問看護師がいることで、できるようになる」とセンターの活動に期待を寄せました。
これまでに開業した「日本財団在宅看護センター」は、北は新潟から南は福岡まで、今回の開設を含めて15カ所になりました。中には、所属先の病院から強く引き止められ、独立せずに法人内で「結の学校」(福島市)を立ち上げた沼崎美津子さんのような方もいます。
6月からは、3期生の研修が始まります。この育成事業のスローガンは「看護師が社会を変える」。センターが全国に広がり、人々が住み慣れた家や地域で安心して暮らし続けられる社会になることを目指しています。
- 日本財団は、1962年の設立以来、福祉、教育、国際貢献、海洋・船舶等の分野で、人々のよりよい暮らしを支える活動を推進してきました。
- 市民、企業、NPO、政府、国際機関、世界中のあらゆるネットワークに働きかけ、社会を変えるソーシャルイノベーションの輪をひろげ、「みんなが、みんなを支える社会」をつくることを日本財団は目指し、活動しています。
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