高齢者が安心して暮らせる環境 街づくりとは? (2016/5/13 JIJICO)
全人口に対する高齢者の割合
日常生活にわずかな異変、軽度認知障害(MCI)に要注意65歳以上の高齢者人口は3300万人(2014年10月1日時点)で、総人口に占める割合は26.0%となり過去最高となりました。約4人に1人が高齢者となります。
厚生労働省が出している統計では、2042年に高齢者人口のピークを迎え3,878万人になると予測されています。増加し続ける高齢者が安心して暮らしていける環境を整えることは日本全体で取り組むべき課題と言えるでしょう。それではどのような対策・解決策があるでしょうか?
高齢者が安心して暮らせる環境 都市部と地方部では対策が異なる
この問題は全国一律で論じることはできません。地域格差があるからです。今後都市部では高齢化が進み、独居世帯や老々世帯が急増します。
2010年と2025年を比較すると埼玉県では2倍、大阪府では1.8倍、愛知県では1.7倍、東京都では1.6倍増加するとされています。逆に高齢化率が一番高い秋田県(31.6%)では1.3倍とされており増加水準は高くありません。
都市部では地域包括ケアシステムの構築が出来るかがポイント
それでは都市部ではどのような対策が必要になってくるでしょうか?結論から言いますと、都市部では「地域包括ケアシステム※の構築」ができるかが重要なポイントなります。
※地域包括ケアシステムとは「高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制」を指します。
現在都市部では特別養護老人ホームをはじめとする入所施設が足りておりません。しかし土地やコストの問題もあり新たに入所施設を建てるのは難しくなっております。ですので、人口が密集している都市部では地域包括ケアシステムの特性を活かし、在宅介護サービスを受けながら生活環境を整える事が現実的です。
ただし、問題があります。現状から言いますと「地域包括ケアシステム」の方向性は素晴らしいと思いますが、現在の介護業界の現実と大きくかい離し、機能するまでには時間と改善が必要になります。理想だけが先行し、介護事業所や働く介護職員が追い付いていません。
そして一番問題なのが「サービスを受けるご利用者やその家族がこのシステムをほとんど理解(認知)していない」ということです。自宅でも安心して暮らしていけるのだということがわかれば、いざ介護が必要になったとしても落ち着いて対応ができます。しかし、訪問介護やデイサービスをはじめとする在宅介護サービスの仕組みもわからない方がまだまだ大勢いらっしゃいます。地域包括ケアシステムを知っている方など皆無に等しいと思います。
まずはもっと介護保険の仕組みを発信し、施設型介護サービスを含めどのような介護サービスを受けることができるかを理解してもらうことが重要です。
地方部では介護タウンを作れるかがポイント
次に地方部での対策を見てみましょう。結論から言いますと、地方部では「介護タウン」を作っていくことができるかが重要なポイントなります。
「介護タウン」とは施設型介護サービスを中心とし、病院・在宅介護サービス・住居・商店など生活圏を作ることです。地方部は土地があり、物価も安く住みやすいですが「人」がいません。先ほど例に出しました秋田県など県外で働く人が60%以上に上ります。今後も都市への労働力の流出が続くと思います。それの流れを戻すこと、地域活性化のためにも「介護タウン」は今の日本にマッチしていると思います。
保育園や学校も作ることにより若者世代も住みやすい町になると思います。ただし、この対策の一番の問題は資金です。広大な土地に介護施設や病院、住居等を作るとなると、一民間企業ではなかなか難しいかと思います。地方公共団体とタッグを組み、官民で取り組まなければなります。長期的な視点で思い切った政策が期待されます。
繰り返しになりますが、介護は地域格差があり、全国一律で論じることはできません。今後各市区町村単位での介護政策に移行していきますので、より地域に密接した介護制度の構築が必要になります。
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