第32回政治山調査「監視カメラ設置68%が賛成、抑止より検証に効果」 (2015/10/2 政治山)
私たちの暮らしに広く浸透している監視カメラ。国内に設置されている監視カメラは500万台を超えると言われています。犯罪捜査の決め手として用いられるだけでなく、防犯・防災から生活や労働状況の記録まで、その用途は多岐にわたります。同時に監視社会における息苦しさやプライバシーの侵害を危惧する声も少なくなく、その運用には厳格なルールが求められています。設置の目的や場所、情報の保存期間は、どの程度まで許容されるのでしょうか。
政治山では、全国の20歳以上の男女を対象に9月18日から20日まで、インターネット意識調査「政治山リサーチ」を用いた調査を実施しました(回答数2,215)。今回はその概要をお届けします。
監視カメラ設置、賛成68.3%反対10.8%
まずはじめに、監視カメラの設置に対してどのように思うかをたずねた(グラフ1)。「設置すべき」33.7%と「どちらかと言えば設置すべき」34.7%をあわせて、68.3%が設置に肯定的だった。反対に「設置すべきでない」4.3%と「どちらかと言えば設置すべきでない」6.5%をあわせると10.8%で、否定的な意見は少数にとどまった。
効果的なのは「犯罪の捜査」と「事故の検証」
次に、監視カメラ設置の目的ごとに、効果があると思うかをたずねたところ、肯定的な回答がもっとも多かったのは「犯罪の捜査」の87.5%で、「事故の検証」が84.9%と続いた(グラフ2)。反対に肯定的な回答がもっとも少なかったのは「マーケティングへの応用」で44.6%、続いて「事故の防止」が52.6%だった。
抑止と検証ではどちらが効果的かを見てみると、「犯罪」では10.2ポイント、「自然災害」では20.2ポイント、「事故」では32.3ポイントの差があり、検証効果の大きいことがうかがえた。
交通量の多い場所には8割超が賛成、住空間には抵抗も
続いて、監視カメラの設置場所についてどこまで許容されるのかを見ていく(グラフ3)。「設置すべき」または「どちらと言えば設置すべき」との回答が最も多かったのは「主要道路や交差点など交通量の多い場所」82.1%で、「商店街やスーパーなどの商業施設」77.9%、「共同住宅の敷地周辺と共用部分(出入口や駐車場)」72.5%が続いた。
反対に「設置すべきでない」または「どちらかと言えば設置すべきでない」との回答は「共同住宅の個人所有部分(玄関や窓)」16.1%、「戸建住宅の敷地内(玄関や窓)」13.7%、「戸建住宅の敷地周辺(敷地の境界)」11.1%の順に多かった。個人の住まいへの設置には否定的な回答がやや多く、共同住宅においては共用部分と個人所有部分との間に25ポイントの開きがあった。
監視カメラの設置については、年代の上昇とともに肯定的な回答が増える傾向がうかがえた。また設置場所や効果については目的や具体的な各種犯罪ごとに、性別や年代によって異なる回答が得られた。
増え続ける監視カメラだけでなく、携帯電話やスマートフォン、ドローンなどによる撮影も身近となり「1億総メディア」とも言われる今、日々の暮らしは常に監視の目にさらされている。アメリカでは設置された監視カメラが3000万台を超えていると言う。
監視カメラ増加の趨勢はこれからも続くが、その運用については調和のとれたルール作りが今後ますます必要となるだろう。
<調査概要>
調査対象者 | 全国の20歳以上の男女 |
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回答者数 | 2,215人 |
調査期間 | 2015年9月18日(金)~9月20日(日) |
主な質問 |
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調査手法 | インターネット調査(政治山リサーチ) |
調査実施機関 | 株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー |
- <著者> 市ノ澤 充
- 株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。政治と有権者の距離を縮め、新しいコミュニケーションのあり方を提案するための講演活動も実施している。
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