第28回政治山調査「17歳から19歳、65%が『投票に行く』と回答」 (2015/7/1 政治山)
今国会にて、選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が成立し、来年の参院選から「18歳選挙権」が実現することとなりました。これに伴い、政治的中立を確保しつつ政治や選挙への理解を深める主権者教育の必要性などが議論されていますが、その対象となる若者は、選挙権や政治参加についてどのように考えているのでしょうか。
政治山では、6月23日から26日まで、全国の17~19歳の男女を対象に、インターネット意識調査「政治山リサーチ」を用いた調査を実施しました(回答数407)。今回はその概要をお届けします。
3分の2が投票に意欲、消極的な態度も一定数
まずはじめに、選挙権を取得したら投票に行くかたずねた(グラフ1)。投票に「行くと思う」が38.8%ともっとも多く、「おそらく行くと思う」25.5%とあわせて64.3%が投票への意欲を示した。
一方、「行かないと思う」は11.3%、「おそらく行かないと思う」は9.3%で、20.6%が投票に消極的だった。また、「まだ分からない」は3番目に多い15.7%となり、選挙権を持つことへの戸惑いもうかがえた。
行く理由としては「権利」や「義務」だからといった理由が多く、中には「来年18歳で興味があるから」、「政治家に「若者の政治離れ」という言い訳を使わせないため」などの意見も見られた。
逆に行かない理由としては「めんどくさい」や「分からない」が多く、「行け行けと言われたら行く気失せる」とか「投票したくなる魅力的な政治家がいない」などもっともな声も聞くこともできた。
投票率向上、「ネット投票の導入」が35.1%で最多
他には、投票率向上に有効だと思う施策についてもたずねた(グラフ2)。もっとも多かったのは「インターネット投票(オンライン投票)の導入」で35.1%に上った。
10ポイント以上離れて「投票できる時間や場所を増やす」21.4%、「投票すると割引を受けられるサービス等の推進」20.1%と続き、注目されている「政治や選挙に関する学校教育の充実」は4番目に多い19.4%だった。
「18歳選挙権」が検討される過程で議論に上がった「被選挙権(立候補できる)年齢の引き下げ」や「選挙権年齢のさらなる引き下げ」については、それぞれ5.7%と3.9%で、若者への参政権付与を手放しで歓迎しているわけではなさそうだ。
今回の調査では、来年の参院選で選挙権を持つことになる未成年者に、若者の政治参加についてたずねた。選挙権を持つことをポジティブに捉える人の割合が多いが、不安を抱える人も少なくない。
新たな有権者を得て、政治や選挙のあり方はどのように変わっていくのか。70年ぶりに参政権が拡大したのは紛れもない事実。新たな有権者はもちろん、これまで関心を持たず、または関心があっても一歩を踏み出せなかった有権者にとっても、貴重な機会となるのではないだろうか。
<調査概要>
調査対象者 | 全国の17~19歳の男女 |
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回答者数 | 407人 |
調査期間 | 2015年6月23日(火)~26日(金) |
主な質問 | 【全体集計結果】 ・属性(性別・年代・地域・職業・未既婚・子供の有無) ・普段、どの政党を支持していますか。 ・普段、どのような媒体から政治に関する情報を取得することが多いですか。 ・選挙権を取得したら投票に行きますか? ・どのような形で政治に参加したいと思いますか? ・あなたが考える、地方議会または地方議員の主な役割とは何ですか? ・投票率向上に有効だと思う施策をお聞かせください。 【クロス分析結果】 ・「性別」と各設問との関連性 ・「支持政党」と各設問との関連性 ・「メディア」と各設問との関連性 |
調査手法 | インターネット調査(政治山リサーチ) |
調査実施機関 | 株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー |
- <著者> 市ノ澤 充
- 株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。政治と有権者の距離を縮め、新しいコミュニケーションのあり方を提案するための講演活動も実施している。
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