第19回政治山調査「明暗分けた女性支持、2014年滋賀県知事選」(2/2) (2014/7/18 政治山)
候補者の人柄や親しみやすさで三日月氏が他候補を圧倒
続いて、実際に投票した人に、候補者を選ぶ際に何を重視したかをたずねました。「候補者の主張や政策」と答えた人が61.5%と最も多く、「支持政党や団体」が37.0%、「地元の利益」が27.5%、「イメージや人柄」が24.9%と続きます。(グラフ5)。
これを候補者別に見てみると、小鑓氏に投票した人は「職業の利益」(56.4%)や「支持政党や団体」(51.6%)、「家族や知人のすすめ」(52.3%)を重視する傾向が強かったことがうかがえます。
一方、三日月氏に投票した人は「イメージや人柄」(61.3%)や「テレビや新聞、インターネットで親しみを感じて」(64.3%)と回答した人が多く、「実際に本人を見て親しみを感じて」に至っては小鑓氏の13.8%、坪田氏の4.6%に対して、三日月氏は81.5%と大きな差が見られました。
国政の課題が直撃、最も重視されたのは「原発・エネルギー」
次に、重視した政策課題について聞きました。最も重視されたのは「原発・エネルギー」で46.6%、続いて「景気・雇用対策」35.8%、「社会整備・公共事業」20.8%、「集団的自衛権」20.4%と、国政とのかかわりの深い政策課題が上位を占める結果となりました(グラフ6)。
重視された政策課題の中では「景気・雇用対策」で59.1%、「社会整備・公共事業」で53.1%が小鑓氏に、「原発・エネルギー」で67.0%、「集団的自衛権」で63.3%が三日月氏に投票するなど、両者の違いは明確でした。
また、坪田氏に投票した人は「消費増税」24.3%、「TPPへの参加」22.7%、「憲法改正」17.6%など、推薦した共産党の推し進める政策課題への関心が高かったことを裏付ける結果となりました。
主な情報源は紙媒体、候補者に触れられるのはごくわずか
続いて、投票先を決めるのに影響した選挙運動についてたずねました。全体としては紙媒体の影響が大きく、「選挙公報」の30.3%を筆頭に「ビラ・チラシ」15.4%、「新聞広告」13.4%と続きます(グラフ7)。
一方で、候補者とじかに触れる機会はそれほど多くなく、「街頭演説」10.4%、「個人演説会」6.6%、「候補者討論会」3.8%にとどまりました。
また、昨年7月に解禁された「インターネットによる選挙運動」は8.7%で、「ポスター」の8.5%と同程度参考になったと答えています。
インターネットを使用した選挙運動については、有権者の利用は大きく分けて情報収集と情報発信とがありますが、今回の選挙では積極的な情報発信には用いられなかったようです。
「政党や候補者のホームページやブログ、SNSを見た」と回答した人は13.8%でしたが、「自らのブログやSNSで特定の候補者や政策を応援した」のは2.2%、反対に「特定の候補者や政策を批判した」のは1.4%に過ぎませんでした(グラフ8)。
インターネットによる選挙運動は解禁されたばかりで有権者にとってはまだ身近なものとは言えず、そもそも何が解禁されたのか、やっていいことといけないことの区別が分からない、といった声も聞かれました。
嘉田県政の継承が卒原発だけでなく女性支持の受け皿となった
今回の調査全体を通じて際立ったのは、安倍政権への不支持と三日月氏への支持を表明する女性の多さでした。原発では石原環境相の「金目」発言、集団的自衛権の容認は選挙期間中(7月1日)に閣議決定され、都議会での自民党議員によるセクハラやじは国内のみならず海外でも耳目を集め、ことごとく与党が反発を招いたのは、選挙結果と無関係とは言えないでしょう。
嘉田県政の継承を標榜した三日月氏は、文字通り嘉田知事と二人三脚で選挙戦を戦い抜き、原発への反対票だけでなく多くの女性の支持も得ることとなりました。
今秋には、福島・沖縄両県の知事選が行われます。来年4月の統一地方選挙に向けた各党の駆け引きや熾烈な争いが予想されますが、政治山では有権者の役に立つ情報を、いち早く分かりやすくお伝えします。
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