[福島・新地町]福島県立新地高校で、震災で亡くなった方への手紙を募集 (2017/5/8 あんびるえつこ)
この記事は「広報しんち 2017年5月5日号『新地高校』」を紹介し、コメントしたものです。
高校を卒業して三十年以上の月日が経ち、ようやく昨年、母校の学年同窓会が開かれました。私は子どもの運動会と重なり、残念ながら参加できなかったのですが、今の時代です、ネット上に挙げられたアルバムで、懐かしい恩師、同級生の元気な姿を見ることができ、ああ、みんな頑張っているのだな、私も頑張ろう…そんな気持ちになることができました。
私たちは日々の生活を送るのに必死で、ひたすら前を向いて生きています。そんな毎日の中で、ふと若かりし頃をともに過ごした人々を思い出すと、なぜだか心がほっとするものです。
さて、今回ご紹介する記事は、福島県新地町の広報紙『広報しんち』から、「新地高校」の告知です。東日本大震災では、在校生1人、卒業したばかりの卒業生8人を含む、多数の同窓生の命が失われた新地高校。今年の3月11日に「おもひの木」と命名された沙羅の木を植樹したこと、そして今年度は58人の新入生を迎え無事に入学式が行われたことなどが記されていました。
そして、あわせて告知されていたのが、記念樹「おもひの木」に関連し、東日本大震災で亡くなった大事な方あての「手紙」を受け付けているということ。「手紙」は、新地高校のホームページで公開されるほか、文集を刊行するといいます。
「手紙」を書くことで、ともに過ごした時間を振り返り、伝えたかった思いを伝える。こうした「手紙」が集まったホームページや文集は、まるで同窓会が行われているかのように出来あがることでしょう。そして一つ一つの「手紙」は、書いた人、読んだ人に、明日への活力を与えてくれるに違いありません。私の高校のクラスでは、震災関連ではありませんが、3人がすでに亡くなっています。彼、彼女たちに手紙を書くとしたら…。いろいろな思い出話や、感謝の気持ちの後に、やはり今を頑張っているよと伝えたいと思うからです。
すでに各地に散らばっていであろう同校の同窓生にも、今回のこの告知が目に留まることを願ってやみません。
- [筆者]「子供のお金教育を考える会」代表、文部科学省消費者教育アドバイザー、神奈川県消費生活審議会委員、経済教育学会理事 あんびるえつこ
- [参考]広報しんち 2017年5月5日号