[広島・庄原市]時代の先端を行く? 里山体験ができる修学旅行 (2016/7/11 あんびるえつこ)
この記事は「広報しょうばら2016年7月号(NO.136)『民泊受け入れ家庭になりませんか』」を紹介し、コメントしたものです。
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ひと昔前までは、東京周辺の中学校の修学旅行といえば京都・奈良。そして大阪周辺では東京…というのが定番でした。ところが最近では、それぞれの学校で、それぞれの教育目標に関連した修学旅行を実施するようになってきているようです。
広島県庄原市の『広報しょうばら2016年7月号(NO.136)』に掲載されていたのは、大阪の中学から来る修学旅行生の民泊を受け入れてくれる家庭を募集する記事です。
庄原市は里山共生都市を謳っているそうで、ここでの里山体験は、都会で生活する子どもたちには、貴重な体験になるに違いありません。文部科学省から出ている「小学校、中学校、高等学校等の遠足・修学旅行について」の通達(文初中第450号 昭和43年10月2日)には、(1)遠足・修学旅行の実施のねらいや指導内容をできるだけ平常における各教科等の指導に関連づけること。(2)自然保護や文化財尊重の態度を育成すること、などと記されています。里山体験は、まさにこうした目的を達成することができる修学旅行というわけです。
「田舎で暮らす私たちが普段目にしている何気ない景色や口にしている食べ物は、都市部の子どもたちにとって新鮮で感動的なのです。…(中略)…未来ある子どもたちのために、庄原の『人と素材(資源)』が大きく貢献できることをこの民泊を通してぜひ知っていただきたいと思います」とは、高野地域農村体験交流協議会会長 藤元竜二郎さんの談。すでに平成28年3月末時点での民泊登録家庭は125軒あるとのことで、私などはこの多さにすでに驚いてしましました。今回は、今までにない人数の受け入れになるとのことでのさらなる募集ですが、地域を挙げて、市全体で修学旅行生を受け入れようという取り組みがなされているのです。
ふと数十年前の自分が中学生だったころの修学旅行を思い出しました。私たちは近隣中学とは違い、行き先はなぜか木曽方面で、馬篭の民宿に班ごとに分かれて宿泊しました。民宿では、夜、おじさんが昔話を聞かせてくれて、おばさんが大正琴を演奏してくれました。お世辞にも面白い話ではなかったし、大正琴の演奏もしかり…で、当時の私たちはひたすらお愛想の笑みを浮かべていたのですが、修学旅行というと、いつもこの夜の民宿の風景が蘇ってきます。何を見たかは覚えていないのですが、この民宿のご夫婦とのふれあいは心に強く残ったのです。
こうしたふれあいの体験は、感性豊かな中学生にとって重要であるばかりでなく、「地域に『元気』をもたらす」ものでもあると、募集記事に書かれていました。まさにウインウインの関係になるのでしょう。虫一匹を見ても怖がる我が子を見ていると、都会で子育てをする親の1人としても応援したくなる取り組みです。
- [筆者]「子供のお金教育を考える会」代表、文部科学省消費者教育アドバイザー、神奈川県消費生活審議会委員、経済教育学会理事 あんびるえつこ
- [参考]広報しょうばら2016年7月号(NO.136)