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7月から段階的施行、「改正健康増進法」について (2019/3/20 企業法務ナビ

関連ワード : 健康 法律 

はじめに

 日経新聞電子版は20日、すかいらーくホールディングスが今年9月から全国3200の店舗で全面禁煙にする旨報じました。2020年4月に全面施行される改正健康増進法に対応するため全店舗で全面禁煙とする企業が増えております。今回は今年から段階的に施行されていく改正健康増進法について見直します。

喫煙所

※写真はイメージです

改正の経緯

 健康増進法の改正は受動喫煙が他人に与える健康影響を踏まえ、望まない受動喫煙の防止を図るために多数の者が利用する施設等の区分に応じて喫煙を禁止し、施設管理者の義務等を定めることを目的としていると言われております。

 子供や患者など特に健康影響が大きい者が利用する施設は禁煙が徹底されます。多くの海外からの観客が見込まれる2020年の東京五輪の開催までに全面施行されることとなります。以下段階的に施行される予定の改正法を具体的に見ていきます。

段階的禁煙措置

(1)第一種施設
 まず今年7月1日から施行され敷地内禁煙となるのが学校、児童福祉施設、病院、診療所、行政機関の庁舎等です。これらの施設では屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置が取られた喫煙所を設置することができますが、それ以外では全面禁煙となります。

(2)第二種施設
 次に2020年4月1日から施行される第二種施設として飲食店、ホテル、旅館、鉄道、旅客運送船舶、事務所、工場、国会、裁判所等が挙げられます。ホテル旅館の場合、人の居住に供する客室等は除外されます。これらの施設では屋内全面禁煙とするか20歳未満立入禁止とした喫煙室の設置を経営判断で選択することとなります。なお喫煙自体を主目的とするバーやスナックといった店舗では喫煙が可能とされます。

(3)経過措置
 既存の経営規模の小さい飲食店の場合は現在の喫煙ルールを継続することができます。つまり店舗内で喫煙可能である旨の表示をすることによって喫煙が可能となります。適用されるのは資本金5000万円以下の企業が経営する客席床面積100平方メートル以下の店舗となります。

違反した場合

 喫煙禁止場所に喫煙器具等を設置する、喫煙室へ20歳未満の者を立ち入らせる、紛らわしい表示を行うといった改正健康増進法に違反する行為に対してはまず都道府県知事等による指導がなされます。それでも改善されない場合には勧告、命令、公表を経て最終的に50万円以下の過料が適用されることとなります(40条)。

コメント

 日経新聞によりますと、すかいらーく以外でも日本マクドナルド、日本ケンタッキーが既に全店舗で全面禁煙となっており、「モスバーガー」を展開するモスフードサービスも2020年春までに全面禁煙に以降する予定とされます。全面禁煙とすることで家族客の増加につながっていると言われております。

 世界潮流である禁煙の流れに合わせて日本でも徐々に店舗や商業施設の禁煙が進んで来ておりますが、東京五輪を目処にほぼ禁煙化を達成することが目標となっております。対象となる店舗を経営する企業にとっては相当の経済的負担となりますが禁煙措置によって利益向上にもつながっていくことが期待できます。

 逆に違反した場合の行政措置や過料による企業イメージの低下から来る経済的損失も小さくないと言えます。来年の全面施行に向けて早めの対策を行っておくことが重要と言えるでしょう。

提供:企業法務ナビ

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