災害時に起こる犯罪被害から身を守る防犯対策 (2019/2/24 「Moly.jp」編集部)
地震大国と言われている日本では神戸淡路大震災をはじめ東日本大震災、熊本地震と大きな地震が発生しています。
また地震災害だけではなく広島土砂災害や西日本豪雨災害なども発生しています。
被災者の人達は避難所生活や車中泊を余儀なくされ、これまでの生活が一変してしまいます。そんな中、被災地を狙った卑劣な犯罪も発生しています。
今回は災害時に起こる犯罪被害から身を守るために必要な防犯対策についてご紹介いたします。
過去に起きた災害時の犯罪とは?
災害時には町の生活が乱れライフラインが停止し、それまでは当り前だった食事やトイレも困難な状況になります。
しかしながらそのように人々が混乱する中を狙った犯罪が起こることも事実です。
これまでに日本国内の災害時に起きた主な犯罪について見ていきます。
空き巣被害
災害時に一番多く発生するのが空き巣被害だと言われています。
大きな揺れによって着の身着のまま逃げ出した人達も多くいます。また自宅へ帰りたくても倒壊しそうな住宅や傾いたマンションには危険で立ち入ることができません。
そのように無人になった住宅を狙って空き巣被害が増加するのです。
バイク・自転車窃盗
災害時には空き巣と同じような理由で、無人になった住宅にとめてあるバイクや自転車の窃盗も増えています。
車上荒らし
車上荒らしの場合も無人になった住宅の車庫や集合駐車場などを狙って「金目のもの」を盗みにきます。
とくに災害時は街灯などの明かりがありません。窃盗犯にとっては仕事(窃盗)がやりやすいのです。
とくに災害時の車上荒らしの特徴は、周りの目も気にすることなく窓を叩き割って金目のものを根こそぎ盗っていくという達の悪い犯行です。
その窃盗品は県外で転売されたりネットオークションに出品したりして現金に変えるのです。
避難所での性的被害
避難所などで起きた性的被害の実態が明らかになっています。
例えば、2016年4月に発生した熊本地震では、避難所や周辺で起こった性的被害は10件以上を熊本県警が把握している。
どのような被害かというと「強制的な性交」「盗撮」「痴漢行為」などだった。
しかしこれは明らかになっている事案であり、警察は「氷山の一角である」と言っている。
店舗への窃盗
店舗を狙った窃盗被害も多く報告されています。
大きな揺れによって散乱した商品を狙って盗みに入るものが多いのです。災害発生後は店舗内の情況を把握したくても危険で入れません。
余震が続く中で危険を覚悟して片付けることなどできないのです。
それを知っている窃盗犯は単独ではなくグループでやってきて金目のものを盗んでいくのです。
災害時に発令される避難情報を正確に把握する
台風や大雨などの災害時には避難情報が発令されます。
しかし避難情報の意味を理解できていなければ正確な行動が取れません。実際に取り返しのつかないことになってしまった人達がいます。
ここでは災害時に発令される避難情報について説明をしますので、その言葉の意味を正確に把握してください。
「避難準備情報」が出た場合
大雨や暴風が続くと見込まれた場合や土砂災害や洪水が発生する危険性が高まっている状況であると判断された時に発令されます。
いつでも避難ができるように準備をしてください。高齢者や体が不自由な人がいる場合は、この時点で避難を開始します。
「避難勧告」が出た場合
命の危険にさらされる可能性が高まっている場合に発令されます。洪水や土砂災害などが発生するおそれがある状態です。すみやかに安全な場所へ避難を開始してください。
「避難指示」が出た場合
切迫した状況です。命が危険にさらされる可能性が非常に高まっている場合に発令されます。まったく余裕はありません。ただちに安全な場所へ避難をしてください。
災害発生時にとるべき最初の行動
災害が発生したらどうしても慌ててしまいます。しかしできる限り落ち着いて行動をとらなければ危険です。
ここでは地震が発生した場合にとるべき最初の行動についてご紹介いたします。
自宅に居る場合
- 頭を守り丈夫な机の下などへ隠れる
- 揺れが収まるまで待ってからついている火を消す
- 出入り口を確保する
- 家族の安全を確認する
- 非常持ち出し品を準備する(貴重品)
- 家屋が危険だと判断した場合は非常持ち大品を持って屋外へ避難する
※ブレーカーは必ず落とし、火の元(タバコやガス)も確実に消火していることを確認する - ラジオで常に最新の情報を把握する
車の運転中の場合
- 急ブレーキはかけない
- 道路の左側へ車をよせて止める
- カーラジオをつけて情報を得る
- 避難が必要な場合はエンジンを止めてキーは付けたまま
屋外にいる場合
- バッグや衣服などで頭を守り屋内へ避難する
- ブロック塀などには近寄らない
- 電車やバスに乗っていた場合は手すりやつり革にしっかりつかまる
- 海岸などにいる場合は津波に備えて即、高台へ避難する
- 高層ビルにいる場合はエレベーターを使わず階段を使って避難する
- 人々がパニックになっていても決して巻き込まれないように冷静に行動する
災害発生時に必要な5つの防犯対策
災害が発生すると、様々な犯罪が増えます。その二次被害に遭わないために大切な考え方は事前準備しかありません。災害が発生してから防犯対策をしようと思っても無理があります。
ここではとくに発生率が高かった犯罪を例にあげ、災害発生時の防犯対策として実施すべき5つの事前準備をご紹介いたします。
防犯対策1:空き巣
災害時には空き巣被害が増加します。
空き巣被害へ備えるために有効な方法は6つです。
- 就寝時は貴重品をまとめて枕元へ置いておく
- 防犯フィルムを窓に貼って、窓ガラスを割られないようにする
- 出入り口すべてに補助錠を取りつける
- 災害時には必ず貴重品はもってでる
- 緊急性がある場合を除き家の戸締りは確実にする
- 雨戸やシャッターがあればすべて閉じる
避難をする際に緊急性がある場合は家を飛び出ることもありますが、その時はしばらく様子を見て安全と判断したら家の戸締りを確実に行ってください。
防犯対策2:バイク窃盗
バイクの窃盗も増えます。無人になった住宅に狙いをつけて盗みを働くのです。
バイクの防犯対策は、盗むまでに時間が掛かるように工夫をすることです。窃盗犯は素早く犯行を済ませてできる限り早くその場を立ち去りたいのです。
盗む時間がかかると判断した場合には、次へターゲットを移す可能性が高くなります。工夫次第では大切なバイクを守ることが可能です。
二重三重の防犯対策を行いましょう。
(1)ハンドルロックをする
バイクには標準で備わっている「ハンドルロック」があります。ハンドルをいっぱいまで切った状態で鍵を回してロックをします。
(2)バイクカバーをかぶせる
バイクカバーはバイク全体を隠すことができます。車種を限定されません。
バイク窃盗犯は転売が目的です。買い取り価格が高額になるような車種は狙われやすいです。
ですからバイクカバーをかぶせて車種を判断できないようにしましょう。
(3)チェーンロック
チェーンロックで最強と言われているのが「キタコのウルトラロボットアームロック」です。
バイクと丈夫な柱などを結んでロックします。この「キタコのウルトラロボットアームロック」はフジテレビの『ほこ×たて』で放送されたことがあります。
ガスバーナーや電動ノコギリなどの特殊な工具を使っても切断することができないとされているのです。災害時にそこまでしてバイクを盗もうとは考えないはずです。
一つのバイクに時間をかけるよりも多くのバイクを盗んだ方が効率がよいと考えるからです。
(4)セキュリティーアラーム
ブレーキレバーを引いたまま固定することによってフロントタイヤをロックすることが出来ます。これでバイクを簡単に移動が出来ないようにできます。
停車位置から少し角度が変わると大音量で警報ブザーが鳴り響きます。一度なりだすと開錠するまで連続警戒します。また本体が青色LEDで点滅して威嚇します。
防犯対策3:車上荒らし
災害時には車上荒らしも増える傾向にあります。
車上荒らしの防犯対策はグッズが多く販売されているので、しっかり対策を実施すると車上荒らしの被害に遭うリスクを回避できるので是非、実施して下さい。
セキュリティーライト
セキュリティーライトは車内に設置する防犯グッズです。衝撃や傾斜の他にドアの開放やイグニションキーを検知して光りを点滅させて周囲へ異常を知らせてくれます。
次にご紹介する警報装置と合わせてセットしておくことでかなり強力な防犯効果を発揮すると思います。
警報装置
警報装置は車への振動などを感知すると大きな音を出して周囲へ知らせてくれます。どんなに静まり返った被災地だとしても大音量で鳴り響く場所に長くとどまろうとする犯罪者はいません。
警報装置は車の防犯対策として大きな役割を持つと思います。
自動車カバー
自動車カバーは、車全体を覆うので車内が見えません。 車上荒らしが狙いをつけるのは車内のカーナビやオーディオセットなどの高価な装備品のついた車です。
ですから自動車カバーで車内を隠すことで狙われる対象になりにくくできます。
防犯対策4:避難所での性的被害
信じられないことですが、避難所で性的被害に遭う女性は多いです。とくにのぞきや盗撮被害が増えます。
そんな被災者に対する卑劣な犯罪から身を守るためにどのような対策を講ずると良いのか「避難所で発生する性被害に対する防犯対策」についてご紹介いたします。
一人での行動を避ける
避難所で利用するトイレやシャワー、入浴などは単独行動を避けて複数人で実施することです。
避難所を管理する行政などへ協力を呼び掛けてください。とくに夜間は女性一人で出歩かないようにしてください。
暗い場所に近づかない
死角になるような場所や暗くなる場所には近づかないことが基本です。
性犯罪者は人目につかない場所で犯行に及びます。とくに暗い場所は狙われる可能性が高まるので絶対に避けてください。
何かあったら大声で助けを呼ぶ
もしも異常を感じた場合には、大声で周りに助けを呼んでください。黙っていると相手の言いなりになってしまい大変危険です。
危険な場所を把握する
以下のような場所にはとくに注意をしてください。
- トイレ
- シャワー室
- 昼間の避難所
- 夜の避難所
- 被災した家屋
- 車の中
危険な場所をしっかり把握して、基本的に避難所では孤立しないようにすることです。不安な場合は行政や警察へ相談をして、より安全が確保できる避難所へ移動をしてください。
防犯対策5:避難所での窃盗
避難所での窃盗被害にも注意すべきです。避難所で窃盗被害から身を守る防犯対策は3つです。
貴重品は肌身離さず身につける!が基本
避難所では貴重品を常に身につけておくことが重要です。基本的に貴重品は24時間ウエストポーチなどに入れて身につけてください。
貴重品を人の目につくところへ置かない
目に付くところに現金や財布などが置いてあると、例えその気がなくともよからぬことを考えてしまいがちです。避難所内にいる人達にも警戒をすることが大切です。
そのための大原則として「貴重品を人目に付く場所に置かない」「バッグやポーチを放置しない」という対策が必要です。
この考え方は車中泊をする場合も同じです。「貴重品は肌身離さず身につける!」が基本で「貴重品を人の目につくところ(車内)へ置かない」ことです。
まとめ
日本国内で自然災害が増える中、その二次被害として空き巣被害や避難所での性被害などが発生しています。
人の弱みにつけ込む卑劣な犯罪に巻き込まれないためにも事前準備を徹底して災害時の一人での単独行動が危険であることを充分に意識して、ここでご紹介した災害時の防犯対策を実施していただきたいと思います。
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