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500店舗超の外食チェーンはなぜ大みそか半休&元旦休業を決めたのか (2018/11/21 瓦版

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業績V字回復の外食チェーンが挑む働き方改革

人手不足が深刻な業界の筆頭格、外食産業にあって、(株)幸楽苑ホールディングス(福島県郡山市)が、快調に業績を復調させている。2018年4~9月期の業績を9億920万円の黒字とし、前年同期の1億810万円の赤字からV字回復。次の一手に働き方改革推進を盛り込むなど、さらなる躍進にアクセルを踏み込んでいる。

働き方改革への意気込みを語る新井田社長

働き方改革への意気込みを語る新井田社長

1年前には崖っぷちに足をかけていた同社が1年で一転、黒字化を達成。その立役者となった新井田昇氏が2018年11月1付けで社長に昇進した。新社長となった同氏が注力するのは、働き方改革だ。深刻な人手不足が慢性的な外食産業の病巣を劣悪な労働環境として、いきなり大きな一手を放った。

今年の大みそかの15時までの営業と元旦の休業の決定だ。500を超す全店舗は難しいが、約8割で実施する。売り上げの5%減が見込まれ、大きな痛手となるが、同氏は「短期的には厳しいが長期的には従業員のモチベーションアップにもつながり、会社の成長につながると確信している」と力強く語った。

同氏が自信を確固たるものとするのは理由がある。今秋、全米の人気外食チェーンを視察に訪れた際、目にした現実だ。高い収益率を誇るあるチェーンは、なんと日曜日を休業していた。別のチェーンは朝6時30分から1430分までの営業時間。外食の常識では考えられない営業日設定だが、それでも高い売り上げをキープしていたのだ。

「いままでは長時間働いて、休まないことが美徳だったが、全米視察でそれが常識ではないことに気づかされた。これからの時代、働く側に立ってWLBを考えた働き方をさせないと飲食は生き残っていけない」と同氏は危機感をにじませながら全米視察を振り返った。

専門企業とタッグで飲食スタッフの人事評価も適正化

同時に人事評価の重要性にも気付かされたと同氏は述懐する。「アメリカではチップの慣習が、働く人のモチベーション向上につながっている。いい仕事をすれば相応の報酬がある。結果、さらにサービスの質が上がる。日本では頑張ってもそうでなくても同じ時給。だからモチベーションは上がりづらい。今後は人事評価も変革したい」。

幸楽苑との働き方改革プロジェクトを説明するあしたのチーム赤羽博之社長

幸楽苑との働き方改革プロジェクトを説明するあしたのチーム赤羽博之社長

飲食業界では、慢性的に評価を担うマネジメントに課題を抱えている。そこで同社は、新たにあしたのチームの人事評価制度を導入。2000社分のビッグデータを活用したAIプログラムでスタッフの目標を自動で添削するツールを採用するなどで人事評価の適正化を図る。ツールは「上司にマネジメントの専門知識がなくても使える仕様」(あしたのチームCEO赤羽博之氏)になっており導入障壁は低く、一斉導入で難題の人事評価にも切り込む。

ここまで、「小さな本社 大きなサポート」を掲げ、業務改革や営業時間短縮、マニュアルの動画化、QSCチェックの外部化などで劇的な復調を果たしてきた同社。この勢いを盤石にすべく、従業員満足度向上を軸にした働き方改革を推進する。「もはや競合は外食産業ではない。うちだけでなく、外食産業としての新しい働き方に取り組んでいく」。決意を語る同氏は、力のこもった目で先を見据えた。

提供:瓦版

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