停電に困らない「暮らせる灯り」の準備を! (2018/10/12 JIJICO)
北海道全域の大量停電 「灯り」の必要性を再認識
北海道胆振東部地震では、ブラックアウトにより北海道全域で295万戸停電という前代未聞の大災害が起こりました。「懐中電灯1本あれば、大丈夫!」という安易な準備では安心できないことを示唆してくれました。また、次々と襲ってくる台風でも、首都圏(東京・千葉・神奈川)で46万戸、中部電力(愛知・岐阜・三重・静岡・長野)では119万戸以上が停電に見舞われ、復旧に1週間以上かかるケースも見られました。「まさかこんなになるとは…」とニュースにくぎ付けになった人も多いでしょう。
わが家には、あちこちに「電灯」があり、来客はその多さに驚かれます。部屋ごとに3つは備えていて、玄関・トイレ・洗面所にもあります。一通り見おわると「やっぱり生活を考えると、これくらいの明るさが必要だわ!安心が第一ね!」と灯りの準備の大切さを再認識されます。
これまで、防災を意識してひとつひとつ増やしてきましたが、もともと私は「暗闇が怖いビビリ屋さん」。停電以外にも、子供の頃に押し入れに入れられた経験やキャンプでの怪談話から、部屋が真っ暗になったら怖くてたまりません。災害時の暗闇が、お子さまの不安やトラウマにならないよう思いをこめて、ご参考までに家の中にどのような品を備えているか紹介します。
停電でも「暮らせる灯り」とは
日ごろは夜の時間を気にしませんが、日没から日が昇るまで12時間、半分でも6時間も闇になると大変です。停電が長引くと「じーっと座って…」というわけにもいきません。家族と顔を見合わせ励ましあう会話、料理や食事、洗面にトイレなど作業して動きまわり、部屋を移動します。「気晴らしに、トランプでもしようか…」となるかもしれません。
大きな地震では、倒れた家具や散乱したモノが足元にありますから、転んだりケガをしたりする危険が伴います。また、停電時に灯りがない家には、窃盗が入る可能性もあります。できる限り安心に過ごせるよう、外からも灯りがわかり、部屋全体が見える「暮らせる灯り」の必要を感じています。どのタイプの電灯を置くと効率がいいか、日ごろから試して「定位置」を決めてみましょう。
1.電池に頼らない灯り 「手回しタイプ」 携帯を充電できる!?
「電池がなくてもOK!」「どこでも使える!」という利点で、手回し発電タイプが気になっている方は多いと思います。10年ほど前は水筒くらいの大きさだったのが、今はコンパクトな手のひらサイズ。ラジオ・サイレン・コンパス・携帯を充電できる多機能な一体型が便利です。ただし、いざ使うときには、一定時間を続けて回わしますから、腕が疲れます。そのため、私は他の電池が切れたときの最終手段として、「困らない、焦らない」という気持ちにゆとりをもつための「安心ツール」として持っています。
・Amazonで購入した商品例
ハンドルを1分間(120回)回すと、LEDライトは約15分、ラジオは約3分使えます。
・使用のポイント
充電するために1分間で120回転(1秒に2回)させるのは、けっこう疲れる速さです。日ごろ使っておらず急に使おうとすると、ライトやラジオがすぐに途切れがちです。日常的に時々回しておくと、使用時間が長く保たれるようです(回しながらでも使えます)。
・携帯の充電ポイント
(1)私物では、約5分間回し続けて「1分間の使用」と表示されるので、ある程度使うにはかなり回さなくてはならないはずです。
(2)お使いの携帯のケーブルやコネクターが付属しているかどうか、充電ジャックの形状に注意して購入ください。
2.部屋全体を照らす灯り 「壁に付けるタイプ」
フックやピンで壁に掛ける灯りで、手で押すと点灯するので便利です。100円均一ショップで購入できます。6畳くらいの部屋には、壁2カ所で良いでしょう。
・購入時のポイント
カラーはいろいろありますが、壁に近い色だと、普段めだたなくて良いと思います。私は、壁紙にあわせてアイボリーやホワイトを使っています。
3.部屋全体を照らす灯り 「マグネット(磁石)タイプ」
キッチンでは、換気扇フードに付けています。高い位置に付けると、部屋全体を照らせます。マグネットは、冷蔵庫・電子レンジほか、スチール棚・玄関のドアにも使えますね。これも押して点く灯りで、100円均一ショップで見つけました。自分で、マグネットシートを貼る工夫も一案です。
4.部屋全体を照らす灯り 「ランタン(つるす)タイプ」
キャンプや野外で使う「ランタン」や上からつるすタイプは、四方に光を放つので効率よく部屋中を照らせます。「暮らす灯り」の中で、一番しっかりと光る丈夫なモノを使っています。食器棚・本棚の上、壁フック・鴨居(かもい)フック・ピクチャーレールなどに掛けて、上部から照らすようにしています。ランタンは、「激しい雨のときも外で使えるかな…」と、防滴仕様を購入しています。
5.停電になっても灯っている 「ナイトライト(常夜灯)タイプ」
日ごろはコンセントに差さしてあり、部屋の明るさによってセンサーでONとOFFができます。部屋の電気を消すと常夜灯になり、停電時にはそのまま懐中電灯として使えるので廊下や寝室に置いておくと便利です。ホテルなど宿泊施設の部屋にも使用されていることがあります。
・購入時のポイント
コンセントを使うため、携帯の充電器とぶつからない品を探しました。
6.地震になると点く灯り 「地震感知タイプ」
震度にあわせて、揺れると灯るタイプです。道路や鉄道のそばなどで、部屋に振動が伝わり揺れてしまうところには不向きです。
・設置の注意点
最初、本棚の上に平らに置いていて、揺れても光らないため故障と勘違いしました。2つ持っていますが、いずれも縦揺れに反応するようで、横揺れには反応しません。置く向きに注意ください。
7.太陽光で充電する灯り 「ソーラータイプ」
いつも日が当たる南の窓辺に置いています。真夏日の後は、2時間以上ラジオを聞くことができます。曇りや雨のときは、どの程充電されているのかはっきりわかりませんから、番外編として持っています。
・製品によって、電池の種類・使用可能時間・精度は異なりますので、説明をよくお読みいただいたうえで購入してください。
「ツナ缶ランプ・サラダ油ランプ」は火の取り扱いにご注意ください
警視庁警備部災害対策課からのツイッターで話題となった灯りです。まったく灯りの手段がないとき、どうしても必要なときのために知っておくと便利です。
・作り方を印刷しましょう
非常時では、作り方をスマホで見ようとしても見られないケースも考えられます。何事もない平常時に作り方を印刷しておき、一度は作って試しましょう。
・地震発生時の注意
ロウソクもそうですが、地震が落ち着き、周囲にモノが置かれていない状態で(火が何かに飛び移ることがないよう)、水をそばに用意してお使いいただくほうが安全です。災害時は、粉塵などが舞い上がり引火の原因になりやすいので、十分に気を付けてお使いください。
私が、防災を考えてお宅を訪問する際には、最初に「懐中電灯の光り具合」「使う電池の数」をチェックさせていただいています。
実家の「懐中電灯」は昭和のまま? 点検・見直しを!
懐中電灯はなかなか使う機会なく、壊れていないと「昭和のまま」置かれていることがあります。今はLEDの時代で、灯りの照度が昔とは全然ちがいます。また、長い間使っていないと電池切れ、電池がさびている心配もありますから、実家にお帰りの際には、点検されることをおすすめします。
電池リストを作ってみましょう!
電池は、「なんとなく…ないかな?」と買い足すことが多いです。できれば、持っている電灯に使われているサイズをチェックして、それぞれに「どの電池を何個使う」と、サイズと本数を把握してから補充することをおすすめします。リスト化しておくと便利ですよ!
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安心な暮らし対策として、これまで「水・トイレ・灯り」についてお伝えしてきました。いずれも、災害の後に買いに走っても、手に入れることが難しいので今のうちに準備してくださいね。天災が起きないことを祈っています。
- 著者プロフィール
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橘田 えみ/整理収納コンサルタント・防災備蓄1級プランナー
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