ネット上で実名を公開すべき?匿名でもリスクはあるSNS利用上の注意点 (2018/8/1 JIJICO)
SNSは便利ツールだが現実世界にまで及ぶリスクもある
今や多くの人々がスマートフォンを持ち、インターネット環境にアクセスしています。そのインターネット上で他人とコミュニケーションする際に利用されるのが、FacebookやTwitter、LINEなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。SNSは多数の人とつながることで、必要な情報を収集し、同時に、情報を発信することができます。また、自分と同じ趣味や嗜好を持つ、会ったことのない人々と交流できます。
しかし、この便利なSNSもリスクがあります。何気ない投稿をしたつもりが、気が付いたら炎上していた、ということはよく聞く話です。中には、ネット上だけでなく、現実世界にまでトラブルが波及するケースもあります。例えば、先日福岡で発生した殺人事件(ブロガー刺殺事件)はネット上のトラブルが原因でした。被害者は有名なブロガーでしたが、加害者から一方的な中傷を受けていたようです。たまたま加害者が居住する福岡でセミナーを行う予定を掲載したため、待ち伏せされてしまったとのことです。
SNSの利用は実名か匿名か?メリット・デメリット
最近ではネット上での様々なトラブルを背景に、個人情報をなるべく出さないように、という意見が大勢を占めています。ここで改めて、SNSを実名で利用すべきか、匿名で利用すべきかについて考えてみましょう。
SNSを実名で利用する場合のデメリットとして代表的なのは、個人情報が流出しやすくなるということでしょう。例えばFacebookでは、氏名と併せて出身校や勤務先、居住地域などの様々な情報や、本人の顔写真も登録可能です。この内容に投稿された文章や写真などと組み合わせると、容易に本人の特定が可能です。その結果、SNSに登録していない個人情報がネット上で晒されたり、自分だけでなく家族も含めて誹謗中傷の対象にされたり、さらには自分になりすまされて悪用されるリスクが発生します。
一方、SNSを実名で利用するメリットもあります。特に個人で仕事する人であれば、実名や顔写真を公開することで信頼度が上がり、新たな仕事につながる可能性が高くなります。また、投稿内容も匿名で発信するより信頼性が増します。実名を使うことで連絡が絶えていた昔の知り合いと再び繋がる、知人に見つけてもらいやすい、といった効果もあります。
それでは、SNSを匿名で利用すれば、上記のメリットはなくなるがリスクもない、と考えるのは早計です。匿名であっても投稿された文章や写真、それにSNS上の友達やフォロワーの状況から、本人を特定することも可能です。例えば、SNSで殺害予告など犯罪の可能性がある場合、IPアドレスなどから投稿者を割り出し、逮捕されるケースもあります。犯罪に至らないケースでも、炎上騒ぎとなった場合に誹謗中傷の度合いが大きくなる可能性もあります。
SNS利用における3つの注意点
いずれにしろ、SNSは適切な利用を心がければトラブルに巻き込まれる可能性は低くなります。それでは、適切な利用とはどういうことでしょうか。以下にポイントを幾つか提示します。
1.SNS上でも社会的なルールや慣習を守るべき
一時期、モラルやマナーに違反する行為や、違法行為を自慢げにSNSに投稿するニュースが話題になりました。ネット上であっても、実社会のルールに基づいた判断を行うべきです。
2.SNS上の情報は世界中に広まるということを認識しておく
後で削除するつもりでも、一度ネット上に投稿されたら世界中のどこかのサーバーに記録されている可能性があります。投稿を削除しても、コピーされた投稿を削除することは不可能です。投稿内容によっては閲覧者を制限することも必要です。ただし、閲覧者を制限しても、閲覧者が外に情報を流出させない保証はありません。「ネット上の情報は世界中に広まる可能性がある」ということを認識しておきましょう。
3.SNS上の発言は実名であれ匿名であれ責任が伴う
一時の感情に任せてSNSに投稿するケースもありますが、他者にとって不快に思われる内容はトラブルになりがちです。匿名投稿であっても、本人が特定されてトラブルが大きくなる可能性もあります。また、家族や関係する友人も巻き込まれる可能性があります。
Twitterの様なSNSはその手軽さから、その時の感情に任せて不用意な投稿を行いがちです。しかし、実際に投稿する前に一度踏み止まって、見直してみてください。不用意なリスクを抱える可能性は低くなるはずです。
- 著者プロフィール
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金子 清隆/ITコンサルタント セキュリティコンサルタント
中小企業の実情を踏まえた、最適コストによるIT活用をご提案
ITに造詣が深く、ITを活用した経営・業務の効率化や、会社を守るためのセキュリティ対策を、最適コストでの実現を支援します。また、防災やネット犯罪等のリスクに対応するサービスも提供します。
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