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女性起業家がシェアリングエコノミーを推進する~【世界の副業・複業、パラレルキャリア】第27回 (2018/3/24 nomad journal

フレキシブルワークやリモートワークの普及で労働形態がますます個人化している欧米では、同僚や上司とオフィスで顔突き合わせる機会の少ない、人間関係の薄れた社会になりつつあるのではないかと思われる一方で、積極的に他人と物の貸し借りをしようとするシェアリングエコノミーも発展しています。

「他人とつながることができる」ことを前面に打ち出しているビジネスにはairbnbだけでなく、日常生活の中にフリーランスお助け人を派遣するタスクラビットなどもあり、それが昨年10月に家具のイケアに買収されると、今度は「シェアリングエコノミーは落ち目」のように報道されたりもします。これらの新しい経済がなにかにつけて話題になるのは、人々の注目を集めているなによりの証拠と言えるでしょう。

今回はシェアリングエコノミーで活躍する女性ビジネス起業家をご紹介します。シェアリングエコノミーと言えばまず思い浮かぶのがUberやLyft。これらのオンデマンドの配車サービス全盛の中で、車の「相乗りサービス」で起業した女性がいます。

女性

相乗りビジネス

アンヤ・バビットさんは、米国のデトロイトを拠点とするスタートアップSPLTの創設者兼CEOです。彼女はすでにこのビジネスを軌道に乗せ、150万ドル(約1億6千万円)を調達しています。

彼女がこのビジネスのアイデアを思い付いたのは、4年前のこと。仕事でロサンゼルスのホテルに滞在していた彼女は、毎日ホテルの車を使ってオフィスとの間を往復していました。ところがある日その車が利用できなくなり、彼女は同じ方面に向かう2人の宿泊客とタクシーを共有することになったのです。これが車の相乗りビジネスSPLTが生まれるきっかけとなったのだそうです。

SPLTの目指すもの

バビットさんは次のように話します。

このアイデアが、私たちの可動性を変えるプラットフォームに発展しました。最終的にSPLTは信頼性が高く、手頃な価格の可動アクセスをすべての人に利用可能にするという将来を想定しています。

当初のSPLTサービスは、都市部で税金を分担する、コスト分割アプリでした。現在バビットさんの顧客には、デトロイト地域の企業、例えばDTEエナジー、ホンダ、マグナなどが含まれています。それらの企業の従業員が相乗りアプリを使ってオフィスに出勤しているのです。

相乗り通勤の過程で新しい同僚に出会ったり、プレミアム・パーキングや、ガソリン割引などの得点を得ることができ、毎日の通勤はかなり簡素化されます。これで一石二鳥というわけです。

自動車産業の中心地への移転がもたらしたもの

もともと米国東海岸を根拠にしていた彼女のビジネスは、皮肉なことに、自動車産業の中心地デトロイトに本拠を置く投資会社Fontinaliからの投資を受けて、Techstars Mobilityインキュベータに選ばれました。

当初の最大の課題は、相乗りについての悪いイメージを乗り越えることでした。同業企業のほとんどがすでにここで失敗していました。スティグマは、なかなか簡単に乗り越えられるものではありません。

とバビットさんは当時を振り返ります。

自動車産業の町デトロイトには、バビットさん以前に車の相乗りビジネスのスタートアップはありませんでした。

デトロイトより車の所有が重視される場所を見つけることは、難しいでしょう。このような場所で、自家用車を家に置いて、相乗りをうながすことは容易ではありません。私はSPLTがここで成功できたら、他のどこでも成功できるだろうと感じていました。

SPLTの成功の秘密

SPLTの成功の裏には、伝統的な乗り合いサービスを超えて、すばやく周囲に適応して考えることができたという理由がありそうです。SPLTは昨年Lyftと提携しています。サービスが整っていないミシガンの低所得市場の特に助けを必要としている高齢者を対象に、医療機関への輸送サービスを提供したのです。現在病院のスタッフはウェブベースのプラットフォームで、患者のために車を予約することができますが、SPLTでは音声オプションを導入して、高齢者が自分で直接車を呼び出すことができるようにしています。バビットさんはミシガンを超えてこのサービスを広めようと、テキサス州、カリフォルニア州でもパイロットを開始しています。

こうした適応の早さが、世界で最も混雑した都市の一つであるメキシコシティのBoschのメキシコチームの注目を集め、それが欧州にも事業を拡大する助けとなりました。

もう一つの成功の秘密を彼女は、このビジネスが女性の創業者を持っているからだといたずらっぽく語ります。「女性がトップにいると、敏速な洞察力が働くのです。」技術系のスタートアップに女性がいることは、男性が支配的な交通モビリティ業界で、さらに興味深い動向をもたらすだろうと彼女は見ています。

2年前彼女がサンフランシスコで開催された会議に出席したときに受けた最高のアドバイスは、「女性のユーザエクスペリエンス/ユーザインタフェース・デザイナーを雇いなさい」だったそうです。「それは直感的に動けるからです。」

彼女にとって女性創業者であることは、責任よりもむしろ資産。「技術や輸送業界にはもっと女性リーダーが必要だ」というのが彼女の持論です。日本にもシェアリングエコノミーを引率する女性の活躍を期待したいところです。

参考記事:https://facesoffounders.org/this-female-entrepreneur-drives-the-sharing-economy-forward-cd89e4f94ce7

提供:nomad journal

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