大学生はより良い企業に目を向ける。脱!内定辞退狂想曲。 (2017/12/12 JIJICO)
過去の内定辞退とは様相は異なってきている
企業にとっては、年々採用活動において厳しさが増しています。特に中小企業にとっては死活問題に発展するケースもみられます。どのようにして内定辞退を回避して、採用に企業はつなげればいいのでしょうか。紐解いていきたいと思います。
そもそも日本の生産年齢人口(15歳~64歳)の減少がしていて、以前のバブル期に起こっていた内定辞退とは様相が違います。
下記のデータは、20歳から64歳の人口の変化を示しています。
1990年(実績)総人口 1億2,361万人 20歳~64歳の人口 7,590万人 全人口の約61%
2025年 総人口 1億2,066万人 20歳~64歳の人口 6,559万人 全人口の約54%
※厚生労働省 日本の人口ピラミッドの変化より
比較対象になっている年が、バブル期の1990年と少々未来の話で2025年の数字が出ていますが、今から8年後には1990年に比べて約1,000万の人口が減少していることになっています。このような状況であることを踏まえたうえで、考えていきましょう。
この会社で働きたいと思わせる試験をする
「大学生はより良い企業に目を向ける」とタイトルをつけました。より良い企業とは何かを考えなければ、選ばれる企業にはなりません。
1点目は、採用の側面からみていこうと思います。企業側が採用試験を行っているわけですが、逆に学生に見極められている事実もあるのです。給与や休日、福利厚生など条件面や求めている人財(人材)像、会社のことを説明してても、学生にとっては情報レベルでしょう。もちろん、伝えなければならないことですが、相手(学生)を知る機会としてのアプローチが欠けています。
採用試験の過程では、この会社で働きたいと思わせる試験が必要でしょう。お互い良いところを見せ合うのではなく、学生と会社の人間が共感できるポイントを作れるかどうかに掛かっています。採用試験では、何度か学生と顔を合わせる機会があります。ふるいにかけて選ぶスタンスではありません。会社が、あなた(学生)を知りたいという姿勢から始まり、会社の目指すところの共有ができれば内定辞退の数も減ってきます。
働いている人を学生に見てもらえる機会をつくる
そして2点目。多くの会社は学生との接点がありません。経営環境として時間や人員に余裕がないこともあるでしょうが、働いている人を学生に見てもらえる機会をつくることも必要です。インターンシップを取り入れることや、いくつかの会社が集まって働いている人の発表する場作りなども有効です。インターンシップを採用活動と考えれば割に合いません。知ってもらうことと社員教育の一環として効果があります。急がば回れです。自分の目で見て魅力に感じたところで働きたいと思う学生は少なからず生まれてきます。
効率よく採用したいという姿勢と決別する
3点目は、地域や学生との活動に積極的に参加することもこれから大切なことだと考えています。効率よく採用をしたいとの思いからの決別が、魅力ある企業に成長させていきます。
これからの社会は人口減の状況です。競争社会ではなく共生社会に方向転換です。共生できる仕組みを考える中に、必ず人の動きが関わってきます。どうしても短期的なことに目を奪われますが、数年がかりでもやり遂げないと、会社の存続は危機的な状況の繰り返しです。
1社で出来なければ何社か集まって、何社か集まって難しければ、地域を活用していく動きを加速させていきましょう。
会社にとっても、働きかける力が試されている時代に突入しているのです。
- 著者プロフィール
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木村 文俊/大学生塾 理事長
学校と社会の学びに足りない「問い」と向き合う場を提供すること
学校や会社での学びに足りないものは「どう働き、どう生きるのか」のかという「問い」であるとし、学校と社会の架け橋となり「問い」に向き合う場を提供することで、自らが考え、行動できる人材の育成を目指す。
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