簡易宿所 過去最多の30,000施設へ 民泊の影響か  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップ    >   記事    >   簡易宿所 過去最多の30,000施設へ 民泊の影響か

簡易宿所 過去最多の30,000施設へ 民泊の影響か (2017/11/10 Airstair

関連ワード : 民泊 観光 調査 

厚生労働省は10月26日に、旅館業法に基づく簡易宿所営業(簡易宿所)の施設数が、前年に比べ2,390件増加し29,559件になったことを公表した。集計データによると毎年500件から800件の間で増加していた簡易宿所の施設数は、2016年度に2,390件増加し29,559件となったことが明らかになった。

様々なグラフ

以前は簡易宿所の許可を得るハードルが非常に高かったが、2016年4月の旅館業法の改正により規制緩和が進む。2018年6月には全国的に民泊を解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されるが年間の営業日数は180日以内とされることから、近年簡易宿所や特区民泊を活用した民泊の営業を行う動きが出ているとみられる。

民泊の市場調査を手掛けるメトロエンジン株式会社の「メトロデータ」によると2014年度に約5,200件だった民泊の施設数は、2015年度に36,365件、2016年度末には43,200件まで増加した。昨今民泊の利用者が増えていると言われるが、実際に民泊の施設数は2016年度から急増している状況がうかがえる。

■簡易宿所の施設数
2012年度 25,071件
2013年度 25,560件(+489件)
2014年度 26,349件(+789件)
2015年度 27,169件(+820件)
2016年度 29,559件(+2,390件)

※簡易宿所の施設数は、厚生労働省の集計。民泊の施設数はメトロエンジン株式会社の集計。
※民泊の施設数の2012年度、2013年年度の数値は推計値。

簡易宿所は新法の営業日数制限を受けない

全国的に民泊を解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)は2018年6月に施行され、民泊運営のルールが法律によって定められることになる。民泊新法ではインターネットでの届出により民泊運営を可能にするものであるが、営業日数は年間180日以下に制限され、自治体の条例によっては更に営業日数が制限される可能性も残る。

民泊新法下での民泊運営は、物件の営業日数について非常に大きな制約を受けることになる。民泊の法的な位置付けは明確になるものの、年の約1/2を占める不稼働日の対応が必要不可欠となるのだ。

事業としての民泊の運営を考えれば、消防設備整備や帳場の開設といった設備投資及び許可取得のための手間はかかるものの、簡易宿所の許可を得た上で民泊を運営することで営業日数の制約を受けないメリットは大きい。

副業として民泊を行う場合は、新たな投資が必要となる簡易宿所の営業許可を取るケースは少ないと考えられるものの、事業として民泊運営の展開を考えれば、今後も営業日数の制約を受けない簡易宿所が選択肢の一つとして挙げられることは至極当然と言えるだろう。

訪日外国人の増加はまだ続くと見られており、民泊施設は今後も増加が予想されている。来年、民泊新法が施行されることにはなるが、事業としての民泊については、簡易宿所や特区民泊での参入が増えることになりそうだ。

提供:Airstair

関連記事
京都市の民泊営業、1~2月に約60日への制限案 民泊新法前に
観光庁、年内に民泊の統計データを公表へ
観光庁 民泊業務適正化指導室長に聞く「住宅宿泊事業法」独占インタビューで語る
民泊新法の政令が閣議決定、来年6月15日施行へ
東京都大田区の特区民泊、2泊3日へ規制緩和へ
関連ワード : 民泊 観光 調査