なぜ女性管理職は圧倒的不人気なのか… (2017/6/22 瓦版)
実態調査で9割の女性が拒絶
女性活躍推進も後退傾向? 転職マガジン(株)キャリアインデックスが仕事実態調査として女性の管理職について調査。その結果、約9割の女性が「管理職になりたくない」と回答したことが分かった。
調査は、現在管理職でない450人を対象に実施された。結果は、「なりたくない」が87.3%。「なりたい」が、12.7%だった。年代別では40代が94.9%で最も多かったが、その他の年代も9割に近く、総じて高めだった。
ちなみに、男性では「なりたくない」が59.7%で、「なりたい」が40.3%。女性との意識の違いは明白となっている。
調査では、女性が管理職になりたくない理由については質問していないが、「女性が管理職になりたいと思える環境をつくりあげていくことが必要」と分析している。正論だろう。なぜなら、女性は子育てに直面した時、どうしてもブレーキがかかる。このブレーキを踏ませない職場環境がなければ、なんとか就業継続は考えても昇進などとても考えが及ばないからだ。
どうすれば、管理職になりたい女性が増えるのか…
ブレーキを踏ませない職番環境とはどんなものか? 子育てがマイナスにならない職場だ。ノルウェー発祥のクオーター制という制度がある。これは一定数を女性に定める制度。「いくらでも代わりがいる」という空気を排除し、居場所を確保しておくワケで、産休後の復帰への精神的不安を解消する施策としては有効とみられている。
物理的に場所を確保するという点で、安心感はあるかもしれないが、一方で無用な女性重用という弊害が出るリスクはぬぐえない。オーダーメイドな育休制度を採用する企業もある。こちらは、社員主体なので、無用ということはないが、受け入れる企業風土が、男性ベースでは定着は難しいといえる。
実は政府はひっそりと2020年までの女性管理職30%の目標を事実上取り下げている。賢明な判断だが、なぜこれほど女性は管理職になりたがらないのか…。その理由は、単純に「責任だけが増えて、報酬に見合わない」というのが、実状ではなかろうか。これは男性の「なりたくない」と回答した59.7%もほぼ同じだろう。
「責任だけが増えて」には、女性の場合、家事・育児に加え、となるのだから、「勘弁して」というのが本音かもしれない。ママで、管理職で、という人も確かに存在する。そうした人は管理職であることを最大限に活かし、主体的にポジションを謳歌しているタイプが多い。
それ以上に多いのが、自ら会社を起こしてしまうタイプだ。そうした女性は、会社のトップとして、思うがままに制約をコントロールしている印象がある。潜在的に多いとみられるこうしたタイプが、「管理職になりたくない」と回答しているとすれば、9割もの管理職否定派の数字のカラクリも少しはみえてくる。
考えてみれば、その昔は専業主婦が主流で、寿退社という言葉もよく聞かれた。だがいまや、共働きがスタンダードの時代。その意味では、ようやく女性の就業継続が一般的になったに過ぎないともいえる。しかも、その多くは、「家計のため」のやむなき理由。そもそも管理職になりたいかという質問自体がナンセンスで「酷」なのかもしれない…。
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