来年4月スタートを目指す「キッズウィーク」の是非について (2016/11/16 JIJICO)
キッズウィークとは?
そもそもキッズウィークという制度は、「学校の夏休みを5日ほど短くする替わりに、別の時期の平日5日間を休みにする」「全国一律ではなく、地域ごとに時期を分散化させて行う」というのが中身の政策です。「教育再生実行会議」という、内閣の最重要課題の一つとして位置づける教育改革を推進する機関で提言されたものです。
家庭や地域の教育力を高めるために、大人が子供と一緒に過ごし向き合う時間を多く確保する必要があるというところから、教育政策に位置付けられています。
キッズウィークの問題点
ところが、問題を指摘し批判する人も少なくありません。賛否を問ういくつかの調査では、否定的な意見の方が多いとも言われているのです。なぜなら、制度が実際に実りをもたらすものになるには、企業の有給休暇の取得推進など働き方の改革が不可欠だからです。働く親たちが様々な時期に有給休暇を取りやすくなる状況になければ、子どもは学校が休みでも、親は休めません。これでは、意味がありませんね。
休暇を分散させることで、親が子どもとじっくり向き合う機会が増えるのはとても良いことです。さらに、観光業界の業績アップや、お盆などの渋滞緩和につながるメリットは確かにあるでしょう。でも、制度以前に、まず乗り越えるべきハードルが様々あるのです。
海外の休暇制度
ちょっと世界に目を向けてみましょう。フランスやドイツでは、すでに地域別に休暇を分散させる制度が実現しています。
例えばフランスでは、大きく3つの地域に分けて、学校の春休みと冬休みの時期を2週間ずつずらしています。法律にも「労働者には1年に1度は12労働日を超える連続した有給休暇を与えなければいけない」(有給休暇の年間付与日数は30日)というものがあるほど、国全体の休暇の分散化が進んでいるわけです。
フランスはじめヨーロッパの国では、働く人も長期のバカンスをとる習慣があります。だからこそ、このような制度の必要性も定着度も違うのでしょう。
キッズウィークを意味あるものにするためにどうすればいいか?
実際、私も含めた親御さんたちはこの制度をどう考えているのでしょうか?子育て中の親御さんたちに意見を聞いてみました。当然、賛否両論ありましたが、意外にも「賛成派」の意見が多数を占めました。
理由は様々ですが、普段からお子さんに真摯に向き合い、仕事と育児に一生懸命な親御さんほど、長い休みを歓迎する声が多かったのです。もしかすると、ここにヒントがあるかもしれません。
ちょっと長めの休暇期間「ならでは」の、親子が向き合う時間が増える。そう考えてみたらどうでしょう?制度の実現への問題は多いですが、普段忙しく仕事に育児にとがんばる親御さんにとっては、お子さんとじっくり向き合う時間が確実に増えるのです。
あなたなら、どう考えますか?お子さんとキッズウィーク「ならでは」の向き合い方をいろいろと想像してみてはいかがでしょうか?親子で一緒に幸せな時間を過ごすことが、お子さんの成長のエネルギーになる——それがキッズウィークの本当の存在理由なのですから。
- 著者プロフィール
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藤原 伸浩/学習教室講師/ 心理カウンセラー
合同会社ReON
元公立小学校教師で心理カウンセラーの先生による個別指導・ネット家庭教師。未来を生き抜くために必要となる力を育てることで、学びへ興味と学力を引き出す。不登校児、親への心理カウンセリングにも定評がある。
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