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トップFリーガーはなぜ、あえて会社員との2足のわらじを履いたのか (2017/5/17 瓦版

トップFリーガーが挑む、プロアスリートの働き方改革【前編】

星翔太氏

アスリートの“第二の人生”はしばしば話題になる。たいていは、プロとしての華やかなキャリアをミドル年代で終えたその後の道が不透明、というネガティブな文脈で捉えられがちだ。フットサルの全国リーグ、Fリーグのトッププレイヤーである星翔太氏は、こうした問題に、独自のアプローチで切り込んでいる。プロアスリートと社会人をパラレルに掛け持ちする「プレイングワーカー」という新しい働き方。自らをロールモデルとし、前代未聞の道へ突き進むその先に、星氏はスポーツ界の明るい未来の構築を明確に思い描くーー。

なぜ、フットサル界のトップは企業のインターンを掛け持つのか

Fリーガーの星氏は、日本代表でキャプテン経験もある、トップに君臨するプレイヤー。リーグの中でも誰もが認める絶対的な存在だ。そんな星氏にはもう一つの顔がある。プロデュース会社・エードットのインターンだ。2016年9月からインターンとして参画している。なぜ、Fリーグを代表する選手が、あえて企業でも、しかもインターンから働いているのか。

ユニフォーム姿の星翔太氏

「以前から、スポーツを通じた社会貢献をしたいと考えていました。そんな話をあちこちでしている中で、エードットの伊達社長と知り合い、昨年大けがをしたのを機にお世話になることを決めました。アスリートのセカンドキャリアといわれますが、なんだかネガティブですよね。そんな風潮を変えたいという思いがあります。逃げ、ではなくて、アスリートが社会と繋がり、仕事をしていくロールモデルになれればと思っています」と星氏は、2足のわらじを履く理由を明かす。

星翔太氏2

ポイントは、選手が主体的に企業で働くという点だ。アスリートを支援する企業には様々なカタチがある。仕事もしながら競技を支援する実業団スタイル。個人をスポンサードし、企業はCSR的にサポートする形。大きくはこの2つといえる。星氏は、こうした形を超越し、支援を受けるのではなく、自ら能動的に社会に溶け込むというスタイルを選択した。無名選手ならまだしも、競技で十分な実績があり、スポンサードを受けられる可能性もある星氏だけに、その意義は大きい。

プロアスリートの新しい働き方、「プレイングワーカー」とは

「ラグビーやアメフトのように実業団で引退後も営業などで、社員として活躍できる形もある。CSR的に支援してくれる企業もある。でも、どちらの形でもやれる人は限られるてしまうと思うんです。そもそも、アスリートが引退後に就職が難しいのは、アスリート自身にも問題がないのか? そうした疑問もあります。プロアスリートとしてやってきた人はやはり、ビジネスマンとしては未熟。だから、インターンからしっかり修行して、ビジネスマンとしてのイロハを学ぶ必要がある。企業だっていきなり正社員よりその方が受け入れやすい。そのまま就職してもいいだろうし、やっぱり違うと判断するもよし。でも、経験しておくことでその後にいろいろと役に立つことは確かですから」と星氏は「プレイングワーカー」の狙いを力説する。

星翔太氏3

現在、星氏は、週2回、エードットで勤務。特別扱いされることなく、名刺交換から電話の仕方、ワードやエクセルの使い方など、ビジネスパーソンとして必要な基本スキルを貪欲に学びとっている。10代の学生インターンと一緒になることもあるという星氏は「若い子はこんなことを考えているんだなと勉強になります」とスポンジのように何でも吸収し、社会人としても急速に成長を遂げている。こうした経験全てが、本業のFリーグでのプレーにも「全てプラスに働いている」と言い切る辺りは、さすがに競技で頂点を極める男ならではだろう。

所属企業で、貪欲に社会人としてのイロハを吸収。PRマンとしては、自分という素材でPR力を磨く星氏。もちろん、このアクションを単なる社会人修行に終わらせるつもりはない。星氏の頭には、とりわけマイナースポーツ全体を変革するような、大きな野望がある。それを実現することが、フットサル日本代表キャプテンまで務める男が、特別待遇なしで企業勤めをする目的だ。
(後編へ続く)

◇        ◇

<星翔太>
1985年11月17日生まれ、31歳。東京都出身。フットサルの全国リーグ、Fリーグ・バルドラール浦安所属。暁星中学・高校を経て、早稲田大学に進学。在学中にサッカーからフットサルに転向し、現在に至る。スペイン1部リーグで2シーズンプレー経験があり、2012年6月から浦安に復帰。3シーズン連続でチームキャプテンに指名された。

提供:瓦版

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