首相自らがけん引し、方向性を示した「働き方改革」の意義 (2017/4/4 瓦版)
働き方改革はどこへ向かい、何をもたらすのか
「非正規」消滅、モーレツ社員否定社会への深化
閣議決定を受け、動きを加速させた働き方改革。2016年9月2日には、安倍総理自らが「働き方改革実現推進室」立ち上げに立ち会い、職員へ訓示。その内容は、総理の本気度があふれ出る意欲的なものだった。
「働き方改革は最大のチャレンジ。同時に、働き方は人々のライフスタイルに直結するものであり、そして、経営者、企業にとっても大変大きな課題。私も先頭に立って取り組んでいく決意だ。世の中から非正規という言葉を一掃し、モーレツ社員、そういう考え方自体が否定される。そういう日本にしていきたい」。これまでの日本型経営からの脱却を目指す力強い決意表明だった。
働き方の抜本改革。マイナーチェンジや改善レベルの生ぬるいものではない。そこまでしなければ、日本は次世代にバトンを渡せないほど事態は深刻な状態にある。そうした日本の未来への危機感と責任感がその原動力だ。
9つの検討項目が示された働き方改革実現会議
第一回働き方改革実現会議では、安倍総理から9つの検討項目が示された。同一労働同一賃金、賃金引き上げと労働生産性向上、時間外労働の上限規制への在り方などの長時間労働の是正、雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成格差を固定化させない教育の問題、テレワーク、副業、兼業といった柔軟な働き方、働き方に中立な社会保障制度税制など女性若者が活躍しやすい環境整備、高齢者の就業促進、病気の治療そして子育て介護と仕事の両立、外国人材の受け入れ問題。
現状の働き方の問題点を網羅した項目が並び、有識者が揃えられ、会議はスタートする。フリーディスカッションで幕を開けた会議は、テレワークなどの柔軟な働き方(第二回)、賃上げの方向性など(第三回)、同一労働同一賃金(第四回、第五回)などテーマを変えながら議論が重ねられる。安倍総理を議長にした会議は、まさに国による働き方改革そのもので、本気度がにじみ出るものだった。
すでに民間企業で実施され始めているアクションもあるが、議論ではそうした動きを定着させるための土壌整備にまで踏み込み、税制・法律などの体制構築も模索された。3月一杯で半年間に及ぶ議論は終わり、概ね方向性は固まった。今後、関連法改正案を一括で今国会に提出し、19年度の施行を目指していく。まだまだ物足りない部分もあるが、政府による働き方改革の大きな枠はひとまずカタチとして示された――。(続く)
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