専業主婦満喫生活から兼業主婦へシフトした深い理由とは  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップ    >   記事    >   専業主婦満喫生活から兼業主婦へシフトした深い理由とは

専業主婦満喫生活から兼業主婦へシフトした深い理由とは (2017/1/20 瓦版

社会人実績実質ゼロのママが8年のブランクを経て内定を獲得するまで
三枝伶以子さん

新卒入社から1か月足らず。運命のいたずらとしか言いようのないタイミングで発覚した妊娠で、社会人生活のファーストステップを事実上、棒に振った三枝伶以子さん。一転、専業主婦となり2児をもうけるが、落ち着いてからの再就職は難航を極める。それでもデジタルハリウッド入学という新しい一歩を踏み出し、ゼロから身につけたWebスキルを武器に内定を勝ち取る――。

週三回出勤、4時間勤務の厳しい条件もなんとか内定ゲット

週三回出勤、4時間勤務。企業にとっては採用には厳しい条件をのんでくれたのは、現在勤務するインテリジェントネット(株)だ。決してお情けでなく、三枝さんの主婦の課題に切り込み、解決策を見出すプレゼンテ―ションを高く評価しての採用オファーだ。両者にとって、チャレンジングとなるが、三枝さんの8年越しの社会人再スタートはこうして確定する。

いまは週3日、4時間勤務の兼業だが、将来的にはフルタイム勤務を視野に入れている

いまは週3日、4時間勤務の兼業だが、将来的にはフルタイム勤務を視野に入れている

なぜあえて、厳しい条件で就活に臨んだのか

それにしても、事実上社会人経験ゼロ。Webスキルもマスターしたばかりで、4時間勤務、週三出勤を提示するのは強気にも思える。その点について三枝さんはこう説明する。「実質、専業主婦として20代を過ごしたことで、子育てのよさをとても実感しています。だから、仕事をするといっても子育ての時間を削るという感覚はないんです」。

キャリアの途中で出産・育児を経験すると、どうしても仕事に引きずられ結果、時間に追われ、辛い思いをしがちだ。ところが、結果的に若く、元気のある内に前倒しする形で子育てに専念できたことで、育児の本当の喜びを実感できた。だから、三枝さんにとって、子育てには手抜きをする隙間はないことを体感的に分かっている。強気に思える条件は、ママが働く上での必要最低条件ということだ。

三枝さんを受け入れたインテリジェントネット(株)にとっては、今回の事例が成功すれば、今後、優秀なママ社員を採用するノウハウが蓄積できると考えた部分もあるのだろう。同社にとっても難しい挑戦となるが、結果的には両者の利害関係がきれいに一致したということだ。

新卒入社直後に妊娠発覚で専業主婦に転身しただけに仕事と子育ての両立の考え方が深い

新卒入社直後に妊娠発覚で専業主婦に転身しただけに仕事と子育ての両立の考え方が深い

30歳を目前にして、晴れて社会人の一歩を踏み出した三枝さん。一般的にみれば、遅いスタートに思えるかもしれない。だが、冷静に考えれば、すでに女性がライフプランで経験する大きなイベントはほぼ終えている。残っているのは葬儀くらいだ。もはや、生涯現役も当たり前になりつつある情勢にあって、これほど戦力として計算の出来る女性人材はない、というのが正しい見方だろう。

働くママが素晴らしい風潮は嫌い

三枝さんはいう。「正直、働くママが素晴らしい、みたいな風潮は嫌いなんです。主婦だって頑張っている。それを見返したくて、専業主婦の頑張りを可視化することをテーマに卒業課題もつくったくらいですから。だから、働くにしても好きなことを自由にやりたい。それにはWeb業界がマッチしていたんです」。こう話す三枝さんだが、実は就職したことをご主人には未報告。学校に通っていたことも事後報告だったという、猪突猛進の行動ありき派だ。

すでに働くママとしてのスイッチが入っている三枝さんは、すっかり全開モード。まずは限られた時間の中で、厳しい条件を受け入れてくれた会社の期待に応えることに集中し、しっかり結果を出すことに専念。その上で、業務の全体像を掴み、実践でも習得したスキルを存分に活用できるようになれば、次のステップとして在宅勤務も導入しながらフルタイム勤務へシフトすることが、当面の目標だ。

すっかり全開モードの三枝さんは得意の時間管理でテキパキ仕事をこなし、両立を実現

すっかり全開モードの三枝さんは得意の時間管理でテキパキ仕事をこなし、両立を実現

ノンママも専業主婦もそして働くママもどれも素晴らしい

「いまの社会の風潮は一億総活躍の言葉に象徴されるように、働いていないダメみたいなところがある。でも私は、専業主婦だって素晴らしいと思っています。もちろん働くママも尊敬します。ママにならない選択だってもちろんOK。女性って特に周りに引きずられがちですが、大事なことは、それぞれ自分が好きなことをして、自由でいられることだと思っています」。

運命のいたずらで、社会人として空白の8年を余儀なくされた三枝さん。しかし、結果的には、人生で学ぶべき大切なことを早い段階でしっかりと吸収できたのかもしれない。もがきながらも自分の手でチャンスの扉をこじ開けた三枝さんからは、心の強さが全身からにじみ出る。女性活躍の文言に踊らされるように、くたびれがちなキャリアウーマンとはあまりに対照的だ。あっという間に長いブランクを埋め、イキイキと自由に羽ばたく姿が容易に想像できるその背中は、どんな状況からでも諦めなければ社会復帰はできる、という全女性への力強いメッセージとなりそうだ。

(前編:新卒入社直後に妊娠発覚。有望女子のまさかの決断とは)

<プロフィール>三枝伶以子
1987年生。愛知県出身。大学卒業後、2010年に大手印刷会社に就職するも、まさかの入社1ヶ月で妊娠発覚。勢いで会社を辞め、以降専業主婦となり、二児をもうける。楽しい毎日を過ごしていたが、専業主婦生活を満喫することへのなんとなく感じる罪悪感などもあり、スキルを身に付けようとふらっと説明を聞きに行った「デジタルハリウッドSTUDIO」Webデザイナー専攻 主婦・ママクラスにその場で入学。卒業後、1社の内定をもらい、“社会人デビュー”。現在に至る。

提供:瓦版

関連記事
仕事の辞め方8つのステップ
WOMAN SHIFT~「普通」の女性も議員になれる社会に
「トランプ勝利」は「男の時代」の終わりの始まり。
[福島・いわき市]「女性活躍推進企業認証制度」を創設
中国人の海外旅行先ますます遠方に、女性が主役へ