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増え続ける高齢者介護を巡る家族間の殺人や心中 (2016/12/28 JIJICO

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増え続ける高齢者介護を巡る家族間の殺人や心中

最近、増加してきた高齢者介護を巡る家族間の殺人や心中などの事件に関して、驚くような数字が発表されました。読売新聞の調査では2013年以降、全国で少なくとも179件発生し、189人が死亡しているということです。

ほぼ1週間に1件のペースで発生していることになりますが、その事件の4割が70歳以上の夫婦間で起きたケースということです。介護が必要な人が10年前の1.5倍の600万人超に膨れ上がり、様々な問題から高齢の夫婦が「老老介護」の末に悲劇に至る例が多いことが浮き彫りになりました。

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介護殺人や心中はどのような状況で起きるのか?

「介護殺人・心中」は、いわゆる「介護疲れ」が要因とされています。その「介護殺人」は、どのような状況で起きているのでしょうか?

日本福祉大学社会福祉学部の湯原悦子准教授が2012年に発表したデータによると、被害者側の73.5%が女性であり、加害者側の73.2%が男性であったようです。加害者も60歳以上の「老老介護」の介護疲れの末と思われる事例は58.0%にのぼっています。

また「殺人」が54.3%とその半数を占める一方で、「心中」は15.9%であったようです。身体的虐待の結果ともみられる「傷害致死」は13.3%。さらに加害者の申し出に被害者が同意する「承諾殺人」や被害者に頼まれて殺害する「嘱託殺人」も計10.6%もあったとのことです。

加害者別にみてみると、「夫」による犯行が34.2%と最も多く、次いで「息子」が32.9%。2009年以降は夫が息子を上回った状況となっています。また、被害者は33.9%が「妻」で、32.8%が「実母」となっています。

介護保険制度が導入された2000年時点において「介護疲れ殺人」事例は39件であったそうですが、その後、医療介護費抑制傾向の強まった2006年以降は、年50件前後で下げ止まらないまま推移しています。福祉先進国とはとても思えない介護貧困事情があらためて明らかになっています。

今後、ますます増加することが懸念される・・・

まだまだ続く高齢化社会、今後もこのような事件が増え続けると考えられます。介護サービスは、施設介護から在宅支援介護へ転換してきましたが、残念ながら老々介護の問題は年々増加しています。その結果、「介護疲れ」によるストレスが原因となり、中には「介護殺人・心中」を引き起こしてしまうケースが今後も出てくるでしょう。

在宅介護サービスが十分でないことも介護疲れが起きる原因なのでしょうか?私は、そのようなことはないと思いたいのですが、現実にはこのような事件が増加してきた2013年以降、同様に介護現場では、職員不足が問題となってきていたという事実です。直接的な要因ではないのかもしれませんが、介護業界における職員不足が様々な問題の起因になっていることは、間違いありません。ということは、この問題を解決しないことには、このような事件が減少しないと言っても過言ではないと思われます。

提供:JIJICO

著者プロフィール
松本 孝一/介護事業コンサルタント
松本 孝一/介護事業コンサルタント
株式会社オフィス松本
1987~2003年 阪神電気鉄道株式会社の不動産事業本部で不動産仲介業務などに従事。また、阪神間の住宅営業所の所長業務を担い、数値・労務管理や部下育成のマネジメントを実践し、成果を挙げる。約16年間の営業活動を通じ、「人と人とのつながり」の大切さを学ぶ 2003~2005年 大手不動産仲介会社(三井のリハウス)で仲介業務を経験。さらにたくさんの人との出会いから「ギブアンドテイク」ではなく「ギブアンドギブ」を学び、今日までたくさんの人との出会いを大切にしている 2005~2014年 介護事業者に入社、初めて介護業界に携わる。デイサービスセンターに配属され、介護職員として送迎・介助・レクリエーションなど経験。その後、センター長となり、全体の運営を任される。そして、訪問介護の現場業務や居宅介護支援事業の管理業務などを経験して、介護現場の難しさを実感し「介護サービスは究極のサービス業」であると認識。事業展開を図り、グループホーム・小規模多機能型居宅介護・サービス付高齢者向け住宅など23の新規事業所を立ち上げた 2014年 株式会社オフィス松本を開業
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