ケアマネージャーの55%、「介護殺人・無理心中」を危惧 (2016/3/15 QLife)
9割以上が「心身共に追い詰められていると感じた」と回答
介護者による殺人や無理心中など、介護にまつわる悲惨な事件が後を絶ちません。そんな事件からは、心身ともに追い詰められた介護者が多い現状が窺えます。そこで、株式会社インターネットインフィニティーは毎日新聞社と共同で「介護疲れ」に関する実態調査を行いました。
それによると、ケアマネージャー730人の93.0%が、介護者が心身共に追い詰められていると感じたことがあるようです。しかも、ケアマネージャーの58.6%が、そうした介護者による「被介護者に対する暴力的な言動があった」と回答しており、深刻な状況が読み取れます。
介護疲れが高じて、殺人や無理心中に至るケースは特殊なものではないようです。ケアマネージャーの中で、自分が担当した被介護者やその家族で、類似の事件が起きてもおかしくないと感じたことがあるというのは54.8%。実際にそのような事件を経験した人もいました。
ケアマネージャーの6割以上が求める事とは
それでは、追い詰められた介護者に対し、ケアマネージャーはどう対応しているのでしょう。何らかの対応が「できた」という554人のうち、93.7%が「悩みを聞いたり相談に乗った」、85.4%が「負担を減らすために介護保険サービスを増やした」と回答しています。一方、対応が「できなかった」と回答した125人にその理由を聞いたところ、54.4%が「自分がどこまで関われば良いかわからなかった」と答えています。
難しい対応が求められますが、追い詰められた介護者を支援するためには、どんなことが必要とケアマネージャーは考えているのでしょうか。今回の調査では、ケアマネージャーの6割以上は「夜間や緊急時に対応できるサービスの充実」「在宅介護者への経済的支援」の必要性を指摘しています。
介護では、介護者が悩みを一人で抱え込むことがないよう、周囲のサポートが求められています。しかし、その一人であるケアマネージャーの負担が大きいことが、今回の調査で浮き彫りになりました。超高齢化社会が進む現代、介護制度の抜本的改革が求められているのではないでしょうか。(林 渉和子)
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