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社外取締役導入企業が増加、その概要と役割 (2016/8/15 企業法務ナビ

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はじめに

日経新聞電子版は8日、金融庁の調査により、国内大手の運用会社12社のうち半数が社外取締役を導入していることが判明したと報じました。昨年から上場会社に適用されている企業統治指針でも2名以上の選任が推奨されている社外取締役。今回はその概要と役割について見ていきます。

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社外取締役とは

社外取締役とは、株式会社の取締役であって、その会社の業務執行取締役や支配人等ではなく、また過去にもそれらの職についていなかった者を言います(会社法2条15号)。つまり現在及び過去においてその会社の業務執行に携わっていない者が社外取締役になれるということです。取締役は会社の業務執行を行うと同時に取締役会を構成し、相互に監査監督を行っております(362条2項2号)。しかし会社の経営者と縁の深い者では厳正な監督は期待できません。そこでこのような外部の人間を取締役として選任し監督機能を発揮させることが社外取締役の制度趣旨と言えます。

社外取締役の要件

社外取締役となるためには以下に挙げる全てに該当する必要があります(2条15号)。

(1)その会社または子会社の業務執行取締役、執行役、支配人(以下これらを「業務執行取締役等」と言います。)でなはなく、過去10年間にもそれらに就任したことがないこと。
(2)過去10年間にその会社または子会社で業務執行取締役等以外の取締役、会計参与、監査役に就任したことがある場合には、その就任の前10年間で(1)に該当したことがないこと。
(3)その会社の親会社、または親会社の取締役、執行役、支配人、使用人ではないこと。
(4)その会社の親会社の子会社の業務執行取締役等でないこと。
(5)その会社の取締役、執行役、支配人、重要な使用人の配偶者または2親等内の親族ではないこと。

以上の要件全てに該当した上で通常の取締役同様に株主総会の選任決議を経ることによって社外取締役となります(329条1項)。社外取締役を選任した場合、特別取締役による決議ができる旨定めている場合等、法令によって社外取締役の選任を要する場合以外は社外取締役である旨の登記は不要です。

社外取締役を要する場合

会社法上社外取締役を必要とする場合がいくつか規定されております。

(1)特別取締役による決議
6人以上取締役が選任されており、そのうち1人以上が社外取締役である場合には予め3人以上の特別取締役を選任し一定の重要な決議事項の決定を任せることができます(373条)。本来取締役会の決議事項である一定の事項に関し取締役会を招集することなく特別取締役に意思決定を委ねることによって迅速な業務執行が可能となります。

(2)監査等委員会設置会社
監査等委員会設置会社となる場合は取締役を監査等委員となる取締役とそれ以外に区別して選任しなくてはなりません(329条2項)。そして監査等委員となる取締役は3人以上でその過半数が社外取締役である必要があります(331条6項)。

(3)指名委員会等設置会社
指名委員会等設置会社では取締役会の中に指名委員会、監査委員会、報酬委員会を設置することになります。そして各委員会にはそれぞれ取締役の中から3人以上委員を選任することになります(400条1項)。その内の過半数は社外取締役である必要があります(同3項)。

コメント

金融庁と東京証券取引所は企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)を策定し、昨年6月から上場企業に適用しました。これは法的拘束力はないものの、これに従った体制整備を行わない場合にはその理由の説明が求められるという類のものになります。この企業統治指針によりますと、上場企業は2名以上の社外取締役の選任が推奨されます。昨今、東証一部上場の大企業による不正会計等の不祥事は減る気配を見せません。その主な原因は企業内部のチェック体制の不備と経営陣のコンプライアンス意識の欠如と言えるでしょう。長年の企業体質に縛られない外部の人間を経営陣に入れることによって、客観的な視点から企業経営を見ることができ、適切なガバナンスを実現することが期待できます。

またコンプライアンスだけでなく革新的な経営戦略を取り入れることにもつながると言えるでしょう。しかし一方で、社外取締役はあくまで外部の人間であるが故に、取締役会等でなかなか切り込んだ意見を言い辛い場合や、そもそも人材を確保すること自体が困難なことも多いと言えます。社外取締役だけの会議体を設置したり、積極的に責任限定契約を締結する等の社外取締役が任務遂行しやすい体制を整えて行くことが重要と言えるのではないでしょうか。

提供:企業法務ナビ

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