スカイロボットが人工知能を搭載したドローンで遭難者探索の実証実験を実施 (2016/5/26 DRONE BORG)
株式会社スカイロボットは2016年5月25日、富士吉田市の富士北麓駐車場にてドローンを利用した遭難者探索の実証実験を行いました。第一回目となる今回は登山道に受信機を設置し、ドローンと救助役の担当者が山道から外れてしまった登山者を発見する監視システムの模擬実験が行われました。このシステムが実現することにより遭難者の早期発見や救助隊の二次災害などを防ぐことが可能となります。
3点計測で遭難者を発見する「TDRS」
今回の実証実験では人工知能を搭載したドローンを利用した探索レスキューシステム「TDRS(トリプル ドローン レスキュー システム)」の検証が行われました。これは3機のドローンが山岳や海上における遭難者を3点計測によって発見するシステムです。TDRSを利用することによって昼夜を問わず遭難者や行方不明者をドローンの編隊が発見し、救助をサポートすることが可能です。
山岳救助においては探索するエリアが非常に広範囲であり、かつ迅速な発見が求められるため柔軟性と効率性に長けたシステムが求められてきました。既存のシステムでは正確に遭難者の位置情報を把握することが難しく、捜索隊の二次災害が発生する危険があるなど多くの問題を抱えてきました。また、GPS機器の電池は数時間程度しか持たず、そもそも電波が届かないような地形の場合には遭難者の捜索は非常に難しいのが実情です。
TDRSはこのような課題を解決するために開発されたシステムです。遭難者が携帯するSKYBEACON(位置と情報を伝送できる機器)の信号を人工知能を搭載したドローン(SKYRESCUE)がトラッキングし、3機のドローンが遭難者の位置情報を正確に特定することができます。機体が遭難者の位置情報を掴むと、その情報はTDRSアプリを持つ救助隊に通知されます。
遭難者が携帯するSKYBEACONは1年半近く電池が持ち、GPSや地形に依存せずに位置情報の特定が可能です。また利用されるドローンは夜間でも捜索が可能で、搭載された赤外線サーモグラフィカメラの情報から遭難者の生死の推測も可能となっています。このTDRSは2016年2月に特許が取得されています。
TDRSの仕組み
(1)山全体を3つの座標エリアに区分し、それぞれの座標エリアにドローンを1機ずつ飛行させます。3機のドローンがそれぞれ担当する座標エリアを隅々まで探索飛行し、遭難者の大まかな位置情報を特定します。
(2)3機のドローンのち1機(ヒットドローンと呼ばれます)が遭難者のSKYBEACONからの信号を受信すると、即座に残りの2機が探索エリアを離れ、ヒットドローンのもとへと向かいます。
(3)残りの2機がヒットドローン近辺に到着すると、ホバリング中のヒットドローンの周りを残りの2機が周回し、徐々に遭難者の位置を絞り込んでいきます。
(4)SKYBEACONが通信ルートの制御を行うことで、信号を途切れなく救助隊に伝えることができます。また、ドローンに搭載されている赤外線サーモグラフィカメラを利用することで遭難者の生死を推測することも可能です。
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