現場まで向かう時間は労働時間? (2016/5/17 法、納得!どっとこむ)
Q.
建設業を営んでいます。朝、会社に集合し、トラックに資材を積み込み、従業員をトラックに乗せて現場に向かいます。現場で8時間働いた後、従業員をトラックに乗せて会社まで戻ってきます。現場が遠い場合は、片道3時間くらいかかることもあります。
この場合、移動時間中について、(1)トラックの運転手、(2)トラックに同乗する従業員(移動中は寝ていても構いません)の両方とも時間外手当を付ける必要があるのでしょうか。
(60代:男性)
A.
最高裁の判例によれば、労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」を意味するとされています。
そして、現場への移動時間については、下級審の判決には、現場での労働時間に先だって会社へ立ち寄り、車両で現場に向かったとの事案について、車両による移動は会社が命じたものではなく、運転手や集合時間も、移動する者の間で任意に決定されていたとの理由で、これは労働時間ではなく通勤時間であるとしたものがあります。
逆にいえば、会社から、現場に行く前に時刻を指定して会社に出勤し、車両での移動も会社による指示である場合や、暗黙の了解がある場合には、労働時間であって時間外手当を支払う必要があるということになります。
ご質問の場合、そもそも会社に集合しなければ資材を積み込むこともできず、資材の運搬には車両が必要です。したがって、実質的に会社の指示による会社出勤、車両での移動と評価されることになります。
この点で、車内で寝ている従業員も運転者と変わりはありません。したがって、両名について時間外手当を支払う必要があることになります。
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