女性の残業時間が少ない業界1位は「病院」 では有休消化率が高い業界は? (2016/5/10 QLife)
残業時間の業界格差、最大で約3倍
2016年4月1日に施行された「女性活躍推進法」では、女性が長期的に企業で活躍するために、労働者301人以上の企業に対して女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などを義務づけています。そこで株式会社ヴォーカーズでは、女性社員のリアルな職場環境を明らかにするため、同社に寄せられた女性社員からの会社評価レポート8,745件をもとに、月間の平均残業時間と年間の有給休暇消化率の業界別ランキングを作成しました。
残業時間が短い業界の1位は「病院、医療機関」で21.13時間。次いで「機械関連(21.68時間)」、「銀行、信金(23.58時間)」と続きます。残業時間が長い業界の1位は「広告代理店、PR、SP、デザイン」で63.64時間。最も短い「病院、医療機関」とは約3倍の開きがあります。次に長いのは「コンサルティング、シンクタンク」で57.11時間、「放送、出版、新聞、映像、音響」が53.75時間でした。
残業時間が最も短い「病院、医療機関」業界は女性勤労者の比率も高く、独身から子持ちの女性まで、さまざまなライフスタイルの女性がいることもあり、女性向けの制度が充実しているようです。一方で残業時間が長い「広告代理店、PR、SP、デザイン」業界については、「残業して当たり前、残業しないとこなせない業務量」で、定常的な長時間労働を強いられている現状がわかりました。
女性が働きやすい環境づくりに必要なことは?
業界別に有給休暇の消化率を見たところ、最も消化率が高いのは「官公庁、独立行政法人」の63.86%で、「クレジット、信販、リース(63.5%)」、「通信、ISP、データセンター(62.37%)」と続きます。消化率が低い業界のトップは「フードサービス、飲食」で31.00%と、最も高い業界と約2倍の差があります。次に低かったのは「理容、美容、エステティック」で33.96%、「教育、研修サービス」が36.64%でした。
有休消化率の最も高い「官公庁、独立行政法人」では、上司から有休の取得を奨励されるだけでなく、「1時間単位で取得できることがとても良い」というクチコミからもわかるように、とりやすいよう制度が工夫されているようです。それに対し、消化率の低い「フードサービス、飲食」では、正社員やアルバイト、パートとさまざまな雇用形態の従業員が一緒に働いているため、急なシフト変更が発生するなど休みが取りづらい実態があるようです。
女性が活躍できる環境づくりのためには、産休育休制度や在宅ワーク、フレックスタイム制などの積極的な導入が求められるでしょう。「育児や産休等をとっても白い目で見られることは一切ない」、「産休を取得する女性向けの研修、時短制度を年度毎で選択できるようになった」などのクチコミがあったように、制度の導入だけでなく現場の理解やサポートも、女性が働きやすい環境づくりには重要なようです。(林 渉和子)
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