マイナンバーは本当にクラウドだけで管理可能?? (2015/12/10 Bizer)
いよいよマイナンバーの実施までに1か月を切りました。マイナンバーを管理するため、クラウドサービスを契約している会社様も多くいらっしゃるのではないかと思います。
今回は、紙の扶養控除申告書に記載されるマイナンバーについて、その管理方法を社労士さんに聞いてみました。
扶養控除申告書に記載するマイナンバーはどうやって管理するの?
最近、あるお客様からこんなお問い合わせを頂きました。
「当社では、マイナンバーをクラウドソフトで管理したいのですが、平成28年度の扶養控除申告書を集めると、必然的にマイナンバーが記載された紙を会社が預かることになってしまうのですが、クラウドと紙で2重管理せざるを得ないのですか?そうであるならば、クラウドを契約した意味がなくなってしまいますよね。」
正直、私自身も盲点だった質問です。
確かに、所得税法第194条を読むと、「扶養控除申告書は、その年の最初に給与の支払を受ける日の前日までに提出しなければならない」と明記されています。
そして、平成28年度の扶養控除申告書には、マイナンバーの記載欄がありますから、法的には、全ての会社が平成28年度の初回の給与を支払うまでに、マイナンバーの記載された扶養控除申告書を回収しなければならないのです。
では、法律通り正しく対応すると、クラウドでマイナンバーを管理している会社も、結局は紙ベースでも会社はマイナンバーを持たなければならないのでしょうか。
二重管理を回避する方法
実は、そのような二重管理を回避するためには以下3つの方法があります。
(1)平成27年度中に平成28年度の扶養控除申告書を集める
第1の方法は、平成27年度中に、平成28年度の扶養控除申告書を集めてしまうことです。
この点、マイナンバー法で扶養控除申告書にマイナンバーの記載が義務付けられるのは、平成28年1月1日からなので、前倒しして平成27年度中に平成28年度の扶養控除申告書を回収してしまえば、平成28年度の書式であっても、マイナンバーの欄は空欄でも良いということになっているのです。
この方法をとれば、ひとまず平成28年度分については、扶養控除申告書にマイナンバーを記載するのを避けることができます。
(国税庁のFAQでも明記されています。 Q1-1~Q1-3)
https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/gensen_qa.htm
(2)「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨の記載をする
第2の方法は、扶養控除等申告書のマイナンバー記載欄を空白にしたうえで、余白に「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨の記載をするという方法です。
これは、10月頃に国税庁がFAQを改定してようやく明らかになったのですが、クラウドでマイナンバーを管理している会社の場合は、上記のような注記をすることで、扶養控除申告書へマイナンバーを記載することが免除され、紙とクラウドの二重管理を回避できることを政府がオフィシャルに認めたわけです。ですから、この通達が出るまでは、マイナンバーのクラウドサービスを提供している会社は内心冷や汗をかいていたかもしれません。
(国税庁のFAQでも明記されています。 Q1-9)
https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/gensen_qa.htm
(3)扶養控除申告書を適用除外にする
第3の方法は、扶養控除申告書自体を適用除外にしてしまうことです。
あまり知られていないようなのですが、「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」という書式を所轄税務署に提出の上、必要な措置をとれば、会社は扶養控除申告書自体を集めることさえ必要なくなるのです。
源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/pdf2/212.pdf
具体的には、従業員1人1人にIDとパスワードを与えるか、電子署名ができるような個人識別措置をしたうえで、マイナンバーを含む扶養控除申告書に記載されている事項を網羅した入力フォームを作成し、送信を受けることで会社が情報提供を受けるようなイメージです。
より厳重に管理しなければならないマイナンバーだけは社外のクラウドサービス、それ以外は社内の入力フォームで集めるというハイブリッド型のシステムでも良いかと考えられます。
私が税務署に確認したところ、電磁的方法での管理が認められるポイントは、税務調査などで求められた際、扶養控除申告書と同じフォーマットである必要はないが、扶養控除申告書と同一の情報が一覧化された表などを直ちに画面に表示したりプリントアウトしたりできる状態になっていれば良いとのことでした。
この措置を取った場合は、マイナンバーを含めたすべての扶養控除申告書の情報をクラウドや社内のイントラネットで完結させることが可能となります。
いかがだったでしょうか。安心してクラウドソフトを活用し、効率的にマイナンバーを管理していきましょう。
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