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マイナンバー特集「マイナンバー導入前夜」

マイナンバーは住基ネット、納税者番号制度、国民総背番号制とどう違うの? (2015/12/4 政治山)

関連ワード : マイナンバー 社会保障 税金 

 国民に番号を付与する制度は、マイナンバー登場以前にも2002年から住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が運用開始されたほか、半世紀も前から納税者番号制度や国民総背番号制の議論は行われてきました。これらの政策とマイナンバーは違うのでしょうか。

住基ネットは「ちょっと便利」、マイナンバーは「一大データベース事業」

 2002年から運用開始された住基ネットと、マイナンバーの違いはどこにあるのでしょう? 共通点としては、いずれもカードによって公的な身分証明書になり得る点(マイナンバーの場合、個人番号カードを申請する必要があります)ですが、住基ネットが国民のわずか5%にしか交付されていないのに対し、マイナンバーは本人の意思に関わらず国内に住む全ての人を対象に通知カードが郵送されます。

 住基ネットではプライバシー保護措置との関係で接続しない自治体が相次ぎましたが、2015年3月30日、全国で唯一未接続だった福島県矢祭町が接続したことで初めて全自治体が繋がりました。マイナンバーの場合はスタート前に国民全員に通知カードが配られるので、自治体にも個人にも、接続や交付を拒否する選択肢はありません。住基ネットは地方自治体が主体となる自治事務なので不参加も表明できましたが、マイナンバーは国の事務を自治体に委託する法定受託事務であり、国の政策であるという違いがあります。

住基カード

今後はもう見ることがない?住基カード

 矢祭町が最後まで住基ネット接続をちゅうちょしたのは、個人情報漏えいのリスクを懸念してのことですが、高度なシステムによりセキュリティがしっかりしていると最終的に判断しました。また、住基ネットに接続していないとマイナンバーも稼働できないため、総務省や県が導入を再三求めていました。

 住基ネットのメリットは、(1)パスポートの発給申請などの簡略化、(2)年金の現況確認する際の届出省略、(3)住民票の写しを地元以外でも交付できる、(4)転出転入手続の簡素化、(5)e-Taxなどの電子申請が可能、など。全体として「手続きが多少便利になる」という程度で、個人情報も氏名、生年月日、性別、住所に留まります。

 一方のマイナンバーは、税や社会保障の徴収や給付、災害対策における個人確認など、国の一大データベース事業とも言える大掛かりな政策です。今後は健康保険証の機能を付けたり、預金口座や戸籍、パスポート、自動車登録、医療、証券に紐付け(=連結)され、国民一人ひとりの資産を把握できるようになる可能性があり、マイナンバーを足掛かりにして様々な個人情報やビッグデータが、政策遂行の手段に利用されることが予想されています。

 住基ネットは今後も存続しますが、住基カードは、2016年1月以降は新規に発行されなくなります。また、任意で発行されるマイナンバー個人番号カードと住基カードは重複所持ができません。理由は、個人番号カードは住基カードの後継という位置づけになるからです。おそらくはマイナンバーの役割拡大によって、住基ネットは徐々にその役割を引き継いでいくのではないかと考えられます。

国の悲願である納税者番号制度と国民総背番号制がマイナンバーに!?

 納税者番号制度は国の悲願でもあります。日本では各税務署単位で整理番号が設定されていますが、全国統一の納税者番号は存在しません。1983年に納税者番号制度としてグリーンカード導入が決まりましたが、反対論の噴出で撤回となりました。ICT技術の発展や行政効率化の社会的要請により、国民総背番号制と一体となったマイナンバーによって長年の政治的課題が決着しようとしています。

 総背番号制に対し「国民を家畜と同一視している」などという意味不明な批判も当時ありました。その当時でも、基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、納税者の整理番号、運転免許証番号、住民票コード、雇用保険被保険者番号など個人に割り振られる番号は縦割り行政の数だけありました。

 1968年、佐藤栄作内閣が「各省庁統一個人コード連絡研究会議」を設置し、国民総背番号制の導入を目指しましたが頓挫。2007年、社会保険庁(現日本年金機構)のオンラインデータに年金記録の不備が多く見つかり、個人番号の重要性が注目されるようになりました。2011年、当時の菅直人内閣のもとで社会保障・税一体改革の実現のため共通番号制度導入の検討が進み、政権交代後の2013年3月に安倍晋三内閣によりマイナンバー法案が提出されました。

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