地方公務員を表彰するイベント『地方公務員アワード』を主宰―儲からない事業の継続に見出す価値 (2021/9/24 政治山)
株式会社ホルグは8月16日、主宰する「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2021(以降、地方公務員アワード)」の10人の受賞者を発表しました。同イベントは、電通やNECグループの協賛、Jリーグなどが後援に名を連ね、今年で5度目を迎えます。
地方公務員アワードは様々な変化を遂げてきましたが、今年はどのような変化があったのでしょうか。そして、5年という節目を経て今後なにを目指すのか、主宰する株式会社ホルグ代表の加藤年紀さんにうかがいました。
公務員が公務員を応援する風土の醸成へ
――今年も地方公務員アワードの結果が発表されました。5度目の開催となりましたが、特に意識したポイントはどこにありますか。
【加藤】 地方公務員アワードでは、地味でも派手でも関係なく、高い成果をあげた地方公務員を表彰することを活動の軸としています。今年も生活困窮者への支援、事務局からの議会改革、コロナ関連のシステム開発、女性起業家の支援スキームの構築など、様々な取組みが受賞されました。
今年の挑戦のひとつは、地方議員に素晴らしい公務員を紹介したことです。議員が多く関係するマニフェスト大賞さんと合同イベントを開催し、議員の方から嬉しいお声をいただきました。「公務員を見る目が変わった」「公務員に厳しく言うだけではいけないのかもしれないと思った」など、これらはさざ波のように現場の公務員の成果に影響してくると思います。
もうひとつの挑戦は、公務員が今まで以上に公務員へ関心を持ってもらう取組みです。というのも、公務員は同じ公務員に対して無関心だったり、厳しい目を向けることも多いと感じることも多々あるんです。もし、自分の周りの公務員を応援していく輪が広がれば、公務員はより力を発揮できるようになる。そう思って今年から、受賞者だけでなく、受賞者を推薦した方にも記念品の賞状や盾を用意しました。
最近ではリーダーシップを支える上で、とても重要視される『積極的フォロワーシップ』という概念が出てきました。誰かが何かを頑張っている時に応援したり、支えてくれる人の存在は本当に大きいと思うんです。だからこそ、推薦者にも喜んでもらって、地方公務員が地方公務員の挑戦や努力を応援する輪が広がってほしいと考えています。
儲からない事業は誰も手を出さないから意味がある
――地方公務員アワードは著名な協賛後援団体が毎年増え、開催ごとにメディアの露出も増えています。この5年の間に、何を重要視して進めてきましたか。
【加藤】 「公務員が成果をあげやすくする」という目的を常に最優先することと、「継続する」ことの2点に尽きると思います。
前者の「公務員が成果をあげやすくする」については、昨年度から複数の自治体で非常勤の地方公務員として人事の仕事をしており、さらに解像度が上がったところがあります。その経験で得た視点を取り入れながら、本来の目的をぶらさず突き詰めるようにしています。
後者の「継続」については、イベントの目的が短期的に実現されるものではないため、まずはイベントの存在が当たり前となることを目指しています。新しく出てくるものはその新規性ゆえに好き嫌いが明確になりやすいですが、長く存在するものは生活や文化の中で静かに馴染んでいて、それが理想だと思うんです。弊社の活動が、劇的な変化を直線的に追及するものではないだけに、継続性はとても大事な点だと思っています。仮に、事業や会社が自らの手を離れることがあったとしても、持続性だけは担保したいと考えています。
――今後、どのような活動をされていきますか?
直近では、研修費用を確保しづらい地方自治体向けの研修・福利厚生サービス『地方公務員オンラインサロン for GOV』を始めました。弊社の経営理念は、「『人の根源的な幸せに繋がるが、儲からない事業』を、維持可能なビジネスへと育てる」というものなので、これからも儲からないので誰もやらない、だけれども社会的価値の高い事業に価値を感じて、取り組んでいきたいと思っています。
――ありがとうございました。
◇地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード
2017年から毎年開催され、5度目の開催。毎年約10名の地方公務員が表彰される。今年は8月に受賞者の発表、10月に表彰式を開催予定。
⇒地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワードの詳細はコチラ
◇株式会社ホルグが運営する地方公務員コミュニティ「地方公務員オンラインサロン」
2019年1月にオープンした、地方公務員限定のコミュニティ。毎月4回以上、活躍する首長や公務員等のウェブセミナー・ウェブ交流会に参加可能。新たな人脈の構築、士業などへの相談など、公務員が活躍する場を広げることが可能。2021年9月時点で約400人が在籍。
⇒地方公務員オンラインサロンの詳細はコチラ
◇地方自治体向け研修・福利厚生サービス「地方公務員オンラインサロン for GOV」
2021年8月に開始、1人あたりの研修費が民間企業の約10分1である地方自治体にインプットとモチベーション向上の機会をオンラインで提供。
⇒地方公務員オンラインサロン for GOVの詳細はコチラ
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