7割が「海に行きたい」、親しみは「海を守る行動」へ―海に関する意識調査 (2019/7/17 政治山)
「海の日」直前の7月12日、東京・赤坂にて日本財団(会長:笹川陽平)は「海と日本人」に関する意識調査の結果を発表した。この調査は、四方を海に囲まれ、海の恩恵を受けて生活をしている日本人が海に対して持っている意識や行動の実態を明らかにすることを目的に実施したもの。
調査結果からは海へ「行きたいと感じている」人は全体の7割であることがわかり、その特徴として「子どもの頃に年に2~4回以上海に行っていた」(63%)、「海に対して子どもの頃の楽しい思い出をもっている」(86%)といった傾向が見られた。
また、海に行きたいと答えた人は、行きたくないと答えた人よりも総じて環境に配慮し、「海を守る行動」を実行している割合の高いことが明らかとなった。概要は以下の通り。
7割が「海に行きたい」
「海に行きたいか/行きたくないか」の質問では、7割が「海に行きたい」と回答。年代別でみても、どの年代でも7割を超え、大きな差分はみられない。
- 海に「行きたい」の特徴
- 「海へ行きたい」という気持ちは子どもの頃の原体験と関係
- →子どもの頃に海に行っている/海で楽しい思い出がある
- 子どものうちに海体験があることは9割が大切だと思っている
- 実際には海に行くことができておらず、自身の子どもへも、十分には海体験を提供できていないと感じている
- →行けない理由は「海まで時間がかかる」「忙しい」「休みがあわない」といった物理的な理由が目立つ
- 自分の普段の行動が「海」にどのように関係しているのか、意識している方が多い
- →浜辺で出したゴミを持ち帰る、生活排水に配慮している、などといった行動に現れている
「海に行きたい人」の8割が、この1年で1日以上海へ行っている/海に接している。「行きたくない人」の68%が、この1年で1日も海に行っていない。
- 海に「行きたくない」の特徴
- 「海へ行きたくない」という気持ちも、子どもの頃の原体験と関係
- →子どもの頃に海に行った頻度が少ない/楽しい思い出が少ない
- 子どもの頃に海体験があること「大切なことだと思う」は5割
- →(「行きたい」では9割)
- 自身の子どもへも海体験を提供できていない
- →「特に必要と思わない」「親側が海を好きではない」「行ったことが少ないので行かない」といった、海に行く経験が少ないことから出てくる項目も目立つ
- 海を守る活動に参加する気持ちはあるが、何をすれば良いかわからないため行動に移せていない
- →個人で何をしたらいいかわからない、としながらも、「ペットボトル回収機が利用しやすい場所にあれば利用したい」「環境にやさしい商品の利用に前向き」であった
今回の調査結果を受けて、日本財団海洋事業部海洋チームの宗近江里子氏は以下のように述べた。
「親が海での楽しい思い出や質の良い海体験をしていないと、子どもも海に行かないということが判明した。海に行かない理由として「日焼けが嫌だ」「ベタベタする」といった一般的な理由の他に、10代は「海に慣れていない」「海でしたいことはない」という回答が出たことに鍵があり、日本財団「海と日本プロジェクト」では、多角的なアプローチで、子どもに原体験を通じた海のことを知る・理解するという機会を提供・充実させていきたいと思う」
深刻さを増す水産資源の枯渇や海洋ごみの問題。豊かな海を守っていくためには、技術の発達だけでなく、海を知り、海に親しむ人が増えていく、そんな取り組みが不可欠と言えそうだ。
■「海と日本人」に関する意識調査 概要
対象エリア:全国
対象:全都道府県15歳~69歳の男女
サンプル数:有効回答数 11,600(男性:5,800、女性:5,800)
10代(15~19歳):2,200
20代~60代:9,400(各都道府県200)
調査期間:2019年5月24日~6月3日
調査手法:インターネット調査
■日本財団「海と日本プロジェクト」
https://uminohi.jp/
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