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議員が休んだときの報酬はどうあるべきか―地方議員が本音で語るWOMAN SHIFT座談会(後編) (2017/9/12 WOMAN SHIFT)
●座談会メンバー(五十音順)
おぎの稔・大田区議(日本維新の会)
佐藤篤・墨田区議(自民党)
南雲由子・板橋区議(無所属)
本目さよ・台東区区議(民進党)WOMAN SHIFT代表
松嶋祐一郎・目黒区議(共産党)
企画:たぞえ麻友・目黒区議(都民ファーストの会)WOMAN SHIFT事務局長
休んだとき報酬は…?~そもそも議員の仕事って~
報酬について、現状は出産を理由として公務をお休みしても、制度上報酬は全額支給されますが、このことについてどうでしょう?
- 本目
- 何に対して報酬って支払われているんでしょう?議員は給与ではなく、報酬ですよね。例えば、8月は議会がないが報酬0ではなく満額支払われるけど、何に支払われているんでしょうか?議決ではないですよね。議会がない場合もあるので。
- 松嶋
- 民間だと育休中は、給与の何割が雇用保険から支給されるけど、我々は雇用されているわけではないので、社会保険に入れない。
- 佐藤
- 落選したら失業手当が出る、というわけにはいかないからね(一同 笑)。
- 本目
- でも、職業の一つとして考えるとどうですか?
- 田添
- 今回のメンバーは全員、専業議員ですね。
- 本目
- 23区以外でも違うよね。報酬だけでやっていけない地域は自然と兼業になる。
- 佐藤
- 村と区でも状況は違うし、専業兼業でも違う。
- 田添
- 話を少し戻しながら関連した事例を話すと、杉並区の選挙管理委員会の委員で半年間休んだ方がいた。職務を全うできなかったにも関わらず、区がその委員に対して休んでいた期間も報酬(24万円2千円/月)を支払っていたことに対して、東京地裁が返還請求するように区に命じたという判決がある。この判決が出てから、様々な議会でも、議員が休んだときの報酬に関する規定ができた流れがありますが、皆さんの議会ではどうですか?
- 佐藤
- 墨田区議会は制定した。
- 南雲
- 板橋区議会も1年以上休んだら、それ以降報酬8割に。
- 本目
- 他の自治体で聞いたのは、ご本人が意識不明になってしまって意思を発することもできない。それで規定がないので報酬が支払われてしまうという話。
- 松嶋
- 悪意があったわけではない。
- 佐藤
- 杉並区の事例もそうだった。
- 本目
- 先程の自治体は何カ月休んだら減額とか制定していると聞いた。
- 南雲
- 実際に体験してみて私は産休について報酬の減額についても期間についても、制度として制定したほうがいいと思いました。今は期間が決められていない分、個人差があって「あの人はがんばって出てきて、なのにあの人は出てこない」など言われるんじゃないかという気持ちもあったし、産休期間中も全額報酬は出るので、休むことに心苦しさがあった。
- 松嶋
- あくまで理想だけど、今は何割かしか出てないけれども、私は議員も民間企業に勤めている人も満額もらっていいと思うんですよ。理想ですけどね。その流れで行くと議員も報酬を減額するものかなと。でも、将来的には満額になって行くのではないかなと。まずは、議論した方がいい。
- 佐藤
- 代理投票があるという場合で考えると議員の仕事である議決ができるのであれば報酬は満額もらってもいいというのではないか。ない状態だと、労働者とは違うし、もしかしたら報酬は0かもしれないなと。これは議決だけが労働で、それに対する報酬だと考えた場合。
男性議員の育休
男性の育児休業取得への流れもある中で、男性議員の育休についてはどう思いますか?
- 本目
- 議員だけでなく、大企業なら取れるけど、中小企業やフリーランスは取れないだろうという議論もあるし、産休と育休はそもそも制度自体が違う。
- 佐藤
- 議員については、そこはがっちり固めない方がいいと思う。政治家ってそういうのに馴染まないと思いますよ。
- 本目
- 代理制度とかはあって使いたかったら使うとか?
- 佐藤
- 選択できればいい。使わなくてもいい。
- 松嶋
- 本来、議会であれ一般企業であれ男性も育休を取りたい人が取れるようになるのが理想的な姿だと思う。ただ議会だけで勝手に決めることではないと思う。次から次へと議員の不祥事が発覚していて政治不信がある中で、産休育休なんて取るなという意見もある。女性の妊娠出産、育休でもこれだけの批判があるのに、男性が育休なんて取れるのはまだ厳しいのではないかという感触がある。やっぱり議員だけで決めるのではなく、周りの理解がないと。議会のあり方だけの問題ではなく、子育てを経験した人もそうでない人も含めて、多くの市民と共同歩調をとっていかないと。
- 本目
- 社会の意識を変えるためにはどうしたらいいのか?また、公務員の制度を準用するという意見もあるが、そうしたら3年取れる※ことになるが、とりたいのか?(※「地方公務員の育児休業等に関する法」)
- 佐藤
- このルールだと理解は得られにくい。
- 南雲
- 制度がないと、個々人によって差が出てしまうことがどうかと思う。私自身も、自分と同じように任期中に出産した地方議員さんがいて、自分は休むと決めたのにその方と比べてしまったり、体を休めるはずの休みなのに気が焦ってしまうことがあった。ただ、佐藤さんがおっしゃる通り、いろんな意見の人が話し合う場が政治だから、はっきり決めてしまうと、政治家には馴染まないのかもしれませんね。
- 本目
- 産休は母体の健康のために取らなければいけない休みだけど。どこまで決めたら…。ただ、基準の制度があってもいいと思う。
- 田添
- 文京区長が前に育休とってましたね。
- 本目
- 宮崎議員の育休をとる時に民進党の若手で話した時も自分で決めたらいいんじゃないの?という声が多かった。でも、休んだら議決もできないし質問もできないという点が気になって。
- 佐藤
- 政治家は生き様そのものが商品のようなものだから、自分の選択という商品が、次の選挙で買われるかどうかの問題でしょう。
次のアクションは?
今日の議論を踏まえて、私たち地方議員ができることは何でしょうか?
- 本目
- 地方議会の実態を知って、国にも動いてもらいたいですね。
- 田添
- 地方議会だけでなく、国会議員にも適用してほしい。
- 本目
- 日本のジェンダーギャップ指数低い!
(参考:内閣府男女平等参画局) - 松嶋
- テレビ番組でコメンテーターもこんなだから女性議員が少ないと言っていましたね。
- 荻野
- いま産休という制度はないから、出産を理由とする公務の欠席なだけ。
- 本目
- 今は事故とか出産とか、議会を休む事由に規則で含まれているので、休めることは休める。
- 荻野
- 今のはただ休むだけですよね。意思があるんだったら表明できる方がいい。
- 松嶋
- 代理投票は地方自治法の改正じゃなきゃできないかな?地方議会のことは自分たちの議会で決めるんです、ということでできることはやっていきたい。
- 佐藤
- 公式には欠席になるけど、本人の意思はこうでした、というのを議会だよりとかに載せることはできるかもしれないですね。
- 荻野
- 議決は地方自治法。条例でどうこうできるレベルではない。
- 松嶋
- であれば、議長会とかに要望するとか。
- 本目
- 欠席の事由に出産を入れなさいというのも国から言われたから各議会での対応が進んだんですよね。全国市議会議長会の標準会議規則に盛り込まれたから。
- 南雲
- もし代理投票が進めば介護とか、いろいろ適用できる。
- 佐藤
- 出られない時にどう意思伝えるか。
- 荻野
- 一般質問の時にインフルエンザで休んだ議員さんがいます。
- 田添
- 通告したのに、休むだけ?振替とかはできない?
- 荻野
- 休むだけ。来られてもみんな困りますよね。
- 本目
- 休むのは妊娠・出産だけじゃない。
- 田添
- 妻の出産に立ち会った男性議員の事例もありますよ。
(参考:政治山「出産立ち会いのため1日だけ市議会を休んだ議長からの寄稿」) - 佐藤
- 介護もそう。そこで休みを取っても、取らなくてもそこは次の選挙で判断される。本目さんのいうように、この話しはこと出産に限らないのがいいかもしれない。
- 田添
- 産休はおそらく、事前に休むことが決まっていることがあるから批判も出るのかもしれないけど、実は休む事由って色々あるのが実態ですね。
●あとがき
政策実現できる女性議員を増やし、地方議員を女性のキャリアの一つとすることをミッションとしているWOMAN SHIFTとしては、この出産・妊娠についてのモヤっと感をクリアしないと女性議員は定着しない!増えない!という問題意識を持っています。また、妊娠が議員の仕事の妨げになるとも思っていません。住民の代表である議員は住民と同じように生活してこそ声を代弁できると思っています。しかし、妊娠・出産しながらも議員の仕事を全うしたいと思う中で、妊娠・出産に対応する『制度がない』ことで悩んでいる女性議員もいます。
医者の不養生、紺屋の白袴ではないですが、政治の世界の未整備は議員の姿勢を映す鏡だと思います。今回は議員の仕事の中でも最も重要だと考えられる議決について、「議場に来ることができない状況でも議決を可能にする」ことが妊娠への非難に対する一つの解として出たと思います。これを実現するためにチャレンジしてみたいと思います。次回へ続く…!?
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