出産立ち会いのため1日だけ市議会を休んだ議長からの寄稿 (2016/3/18 政治山)
宇都宮市議会の熊本和夫議長(41)が、妻の出産立ち会いのため今月4日の本会議を1日だけ欠席し、15日の議会運営委員会で議長職の辞意を表明しました。定例会の最終日となる23日の本会議で辞表を提出する予定です。
会議規則に欠席理由「配偶者の出産」を追加
1日の議運で欠席報告した際、各会派代表は揃って出産立ち会いに賛同。現行の会議規則には「出産のため」という欠席理由しかなく、配偶者の欠席は「事故」扱いになるため、「本人又はその配偶者の出産のため」と変更する案が全会派の協力で作成され、23日の本会議で可決される見通しです。
第1子を無事に授かった熊本市議は、「生まれる日1日だけは父親としての役割を重要視させていただきたいと休みを申し出ました」として、今回の決断に至った経緯を政治山に寄稿していただきました。全文を下記に掲載します。
◇ ◇
生まれる日1日だけは父親としての役割を
今回の妻の出産の際、出産は、命にも関わる事であり、何があるかわからない。現場で重要な判断を求められるケースもあるかもしれません。子供は2人の子供ですので、責任は2人にあり、互いの親でも親戚でもありません。その場に父親として立ち会うことは重要なことであり、議長(議員)としての職は重いものがありますが、生まれる日1日だけは父親としての役割を重要視させていただきたいと休みを申し出ました。
この日に休み、立ち会えたことは良かった
私は今でもこの日に休み、立ち会えたことは良かったと思っています。その後、私も色々な場面を見てきましたが、出産が終わると直ぐに育児が始まります。体力を消耗した体で、昼夜を問わず3時間おきの授乳や、初めてのケースの方は、泣き声、動きちょっとしたことで不安になります。その際にも2人で居られることが妻や子供にとって良いことかと感じております。私は1日の休みでありましたが、産休(特に出産から産後)については数日の休みが取れるようになっていくことが、これからの家族にとって重要なことではないかと思います。
職性上、育休という制度は馴染まない
育児についても同じことが言えるかと思いますが、議員という職性上、育休という制度は馴染まないと思っております。我々の立場は非常勤であり、兼業も認められております。すなわち時間の使い方を規則で縛られているのではなく自分でコントロールできる仕組みになっているのです。よって、仕事と子育てのバランスを取れる環境を作れるかどうかは自分次第であります。そのような中に長期の休みをとれる制度を作るということは馴染まないと考えております。
議長は常勤であり、議会を代表する立場
その中で先日の報道では、議長を辞めるという見出しで記事が掲載されましたが、私の真意は、先ほど述べた議員の育休に対する考え方を基に、議長職については別に考えているということ。議長は常勤であり、議会を代表する立場にある。土日も休みがない日が多いなど議員との違いがあります。自分の中で、仕事と育児とのバランスを考え、時間のコントロールのできる立場に戻ること、議長を辞めるというのは選択肢の1つとして考えることだと答えていました。
産休については命の重さを考えれば、全国的にもっと積極的に
最後に、産休については命の重さを考えれば、全国的にもっと積極的に、育児については父親の参加はもっとやるべきと考えますが、議員の職性上、育休制度を確立してということは馴染まないと考えているところです。
今回の出産立ち会いのため休んだことは自分にとってはとても有意義で素晴らしい経験であったと思います。もしそのような機会に直面する議員がいた際には積極的に出産に臨んでいただきたいと思います。
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