“舛添問題”に一石、政務活動費274万円を返還した水野県議からの寄稿 (2016/6/2 政治山)
舛添要一・東京都知事の政治資金流用疑惑や、甘利明・前経済再生大臣の口利き疑惑の不起訴など、「政治とカネ」の問題は参院選の一つのテーマとなりそうです。政治とカネの話になると、日ごろの雄弁が途端に聞こえなくなる議員も多い中、千葉県議会の水野友貴議員(33)は昨年度、余った政務活動費274万円余を返還しました。地方と国会合わせて3万人以上いる議員の中でも、政治資金の使途を限定してこれだけの多額を返金するケースはあまり耳にしません。水野議員にその真意を寄稿していただきました。
すべては税金であることを忘れていないか?
~地方議員の政務活動費と国会議員の文書通信交通滞在費~
水野友貴(千葉県議会議員・無所属)
年度末になると我々地方議員は政務活動費の書類を議会事務局に提出し、残余額は返納する。しかし、この政務活動費というのは各議会によって金額も使途も提出方法等もすべて異なる。これらのルールを決めているのは議会であり、行政側は関係ない。従って各議会の見識や資質が如実に表面化する一つの眼目となる。
千葉県議会では各議員に毎月40万円交付
私は昨年行われた千葉県議会議員選挙に当選し、現在に至るまで無所属を貫き、一人会派で行動をしている。それまでは千葉県我孫子市議会議員として活動していた。千葉県議会議員選挙にて訴えたことの一つに政務活動費と議員定数の見直しがある。千葉県議会では、政務活動費として、議員分一人当たり月額35万円及び会派分として所属する議員数により一人当たり月額5万円の合計40万円が毎月各議員に交付される。
政務活動費とは議員がその職責・職務を果たすために行う様々な政務活動を支えることを目的として交付されるものだ。政務活動費が注目されるきっかけとなったのは兵庫県議の一件以降だ。それまでも政務活動費について問題意識をもっていた議員や有権者は少なくない。我孫子市議会では月2万5千円が交付され年間30万円であった。年間30万円ですら残余分を返納していた年がある私としては千葉県議会で交付される政務活動費の額がこんなに必要であるか、という検証を自分の活動を通して行った。
全国でも厳しいことで知られる千葉県議会
まず、我孫子市議会では議会報告等に使う印刷代や折込み代として政務活動費を使うことができない。我孫子市議の報酬は約44万円であり、議会が終わる度に議会報告を作成し配布していた私はすべて自分の報酬から議会報告代約10~20万円を捻出していた。一方で、千葉県議会では県議会報告は案分計算で県民への報告・説明という観点からも政務活動費から出すことができる。また、事務所費や駐車場代、事務員等も適用できる。しかし、これらはすべて「案分」である。要は県政・県議会に関わる部分だけを計算する仕組みだ。
つまり、自分の名前やプロフィール部分は政務活動費の対象にならない。事務所等も政党活動、後援会活動に使用することもあることから全額適用されるわけではなく、さらには千葉県議会はすべて領収書の添付が義務付けられ、数か月ごとに議会事務局のチェックが入る徹底ぶりで、全国でも厳しいことで知られている。
交付額の6割以上を返還
私は無所属であり、政党活動は一切ない。さらに、打ち合わせや会議等は自宅や公共施設で行うようにし、事務所を構えていない。また、議会報告の配布等も私の後援会「我孫子ゆうき部」の部員(支援者)によるボランティアによって賄うようにし、税金である政務活動費を極力使わない努力をし、そのことを後援会幹部にご理解いただいている。結果、平成27年度に交付された440万円のうち274万4098円(約6割以上)を返還した。
事務員も月10万円を超えないようになるべく自分でスケジュール管理や資料整理等をしている。私の無所属という立場上、これは稀なケースではあるが、書籍も議会図書室を利用し、とにかく「節約」を心がけている。県民の税金である政務活動費を有効に且つ節約することは議員としては至極当たり前のことである。
問題なのは公開義務がないこと
しかし、『政治とカネ』の問題は後を絶たない。舛添要一都知事を皮切りにまたもや政治家のカネに対する意識が問われている。地方の首長や議員だけではない。国会議員の文書通信交通滞在費もクローズアップされている。文書通信交通滞在費は月100万円国会議員に交付され、第2の給与状態となっている。問題なのは使途の公開義務がないということだ。それでは歳費と何ら変わりはない。まず政治家に求められていることは「税金」である意識の徹底であり、有権者は自分の住んでいる地方議会に目を向けることであろう。
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