社会を動かす手法「コミュニティ・オーガナイジング」~第2回「Reading for Change」開催 (2014/10/31 有限責任事業組合 政策支援 細川甚孝氏)
政治・経済・社会の分野で活躍されている各界のトップランナーのガイドで書籍をひも解き、確実に「社会を変える」ための方法と効果的な動き方について具体的な実践論を探っていく「Reading for Change~社会を変える読書会」が10月25日、水道橋にある産学社で第2回が開催されました。東京都港区議会議員の橫尾俊成、産学社の末澤寧史、政策支援合同会社の細川甚孝の3氏によるコラボレーション企画です。
社会活動からビジネス分野までに効く、少人数ならではのとことんディープな読書会。第2回はCommunity Organizing Japan副代表の池本修悟氏をゲストに迎え、「池本修悟さんと読む『ハーバード流 社会を変えるリーダーシップ――コミュニティ・オーガナイジング』」を開催しました。発起人の1人である細川氏のレポートをお届けします(撮影:三枝直路(CAMP LIFE studio))。
この読書会の特徴は、1冊の本を精読するのではなく、ゲストが紹介した5冊の本について議論することです。今回の5冊は以下の通り。
- <課題図書>
- (1)ヘンリー・デイヴィッド・ソロー著 山口晃訳『一市民の反抗』文遊社 2005
- (2)Saul Alinsky 著『Reveille for Radicals』Vintage 1969
- (3)『コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップガイド(教科書)』(未出版)
- (4)玉村雅敏編著 横田浩一・上木原弘修・池本修悟著『ソーシャルインパクト―価値共創(CSV)が企業・ビジネス・働き方を変える』産学社 2014
- (5)マイ・ドリーム|バラク・オバマ:著 白倉三紀子/木内裕也:訳|ダイヤモンド社 2007
今回も、政治、行政、NPO、メディア関係の方を中心とした、少人数での中身の濃い内容でした。
ゲストの特定非営利活動法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン副代表理事・池本修悟さんに、社会を着実に動かす手法として注目されている「コミュニティ・オーガナイジング」について、5冊の本をもとに紹介いただきました。池本さんの生い立ちに始まり、そもそもどうしてこの手法にしたのかなどの幅広い議論をしました。そのベースは、1人ひとりのストーリーを引き出し、人と人を結び、関係構築をすすめること。大きな目標も小さな目の前の一歩からということでした。
中心となる考え方は、自身のストーリーを語って聞き手の共感を呼び(Story of Self)、聞き手と自分自身が共有する価値観や経験、“私たち”のストーリーを語ることで聞き手にコミュニティしての一体感を創り出し(Story of Us)、今やらなければ社会は変わらない、いつやるのかというストーリー(Story of Now)を語ることで共に行動する仲間を増やすことの重要さ、同時に、価値観を感情を通じて人々の行動を奮起させること。理論ではなく、経験を感情を通じて伝えることが大事ということでした。
今まさに行うべき小さなアクションの積み重ね、成功体験こそが活動を持続させるためにも大事だと学ぶ機会となりました。そして、個人と組織が相互に成長するための幅広いノウハウの蓄積こそが、「コミュニティ・オーガナイジング」の大きな考え方であるということを共有しました。今後の日本での応用的な展開が期待されます。
12月には「コミュニティ・オーガナイジング」の生みの親ガンツ博士が来日しシンポジウムが開催されるそうです。ご興味のある方はチェックしてみてください(Community Organizing JAPAN)。
読書会の第3回のゲストは調整中です。決まり次第、facebookページ等でお知らせしますので、ご参加のほどをお願い致します。
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ゲストが紹介する本を元に濃密な議論~第1回「Reading for Change」開催 (2014/9/30)
- 細川甚孝(ほそかわ・しげのり):有限責任事業組合 政策支援 代表組合員
2009年、早稲田大学大学院公共経営研究科修了(公共経営学修士)。2000年前後から自治体などの総合計画、行政改革などのコンサルティングに携わる。土木設計、大学機関、広告代理店などでそれぞれの持ち味を活かしたプランニング・コンサルティングを経験。2010年ごろから、活動範囲も政治・政策までに広げ、現在全国規模で活動中。
- 関連リンク
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